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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

こんな時こそロッキンチェアフィッシング! (Vol.2)

Vol. 1雄蛇ヶ池へのロッキンチェアフィッシングを始めたが、まだ何も決まってはいない。先に進もう。
季節は6月初旬、梅雨入り目前。湖は既に初夏の雰囲気だ。特に2020年は暖冬で全国的に湖の季節進行が早い。要は水温が高めで推移している。バスはほぼスポーニングを終え、体力の回復を待っている状態だろう。ならば彼らはスポーニングエリアの周辺で、身をひそめる場所のあるエリアにいるに違いない。

では雄蛇ヶ池のスポーニングエリアはどこで、ポストスポーニングのポイントはどこか?
雄蛇ヶ池ほどのメジャーレイクなら、ポイント解説は山ほど出ているのでそれを見れば答えは一発で分かる。が、それではロッキンチェアフィッシングにならんのだよ。現地に行かず、現地情報も一切見ずに戦略を練る。そして釣り当日のあらゆる条件を仮想して、釣りのタクティクスを構築する。それこそがロッキンチェアフィッシングの面白さなのだ。

改めて地図と航空写真を見てみよう。
写真

お馴染みのGoogle Map でもよいが、Yahoo Mapだと以下の地形図が手に入る。これがとても重宝だ。

地形図

Vol.1 でも述べたように雄蛇ヶ池は房総半島の付け根、東京湾側と九十九里側を分ける分水嶺の上に位置していて、地形図上では大きな流入河川はないようだ。それでも内養安寺地域の雨水は雄蛇ヶ池に流れ込むしかない地形なので、明瞭な流入河川はないものの伏流水として雄蛇ヶ池に注いでいるものと思われる。ここは一つ、考える上でキーになる。
ただし水底面の状態を推定すれば、全体的に浅い雄蛇ヶ池の中でも岸からだらだらと遠浅なシャローが続き、しかも底面は泥土なのではないか。その点はスポーニングには適さない。プリやポストの季節のフィーディングエリアとしては大いに期待できると読んだ。
そして、浅いシャロー、風を避けられるワンド、伏流水の存在(の可能性)、という条件から、夏季には一大べジテーションエリアになる事が推定できる(ソウギョの食害が収まっていれば。。。)。リリーパッドを打ち抜くようなゲームをしているバサーも多い事だろう。

しかし、「32.真夏のベジテーション攻略法は大間違いだった!」で紹介したように、そこにはバスはいないと言う可能性も考えておこう。べジテーションの下は酸欠状態になるのだ。

ではどこを狙う? 地形図から見ると南側の大きなワンドにはシャローが広がり、底面は泥土と推定される。バスがスポーニングエリアに選ぶだろうか? ならば北側はどうか。北側はほぼまっすぐな湖岸に山地が迫る。地形的にはこのエリアはハードボトムではないか?そして航空写真では大きなインレットは確認できないが、山からの小さな流入はいくつかあるはずだ。小さなワンドを伴って。

まずはこのスポットを狙いたい。
6月5日現在、千葉県では10日前の5月26日から過去1週間は梅雨のような雨が続いたが、この1週間は雨は降っておらず、最高気温25℃以上の夏日が続く。雄蛇ヶ池北側の小さな山からの雨水はもう尽きただろうが、そろそろバスにとっての適水温を超える頃だし、北面のシェードとブレイク、インレット筋に身を潜めてベイトを待っているはずだ。
午前中はここでいい。小さなインレット跡、岬やワンドを全てチェックだ。

午後は? 前出の、「32.真夏のベジテーション攻略法は大間違いだった!」の通り、ウィードエリアに狙いを切り替えよう。リリパッドだけでなく、水中に沈むウィードも夜間は酸素を吸収し、水中の溶存酸素量を減少させる。朝一でウィード内を狙うのは、実は理にかなってはいない。
午後の日差しを受ければ、もちろんそこは魚に絶好の環境となる。ウィードを狙うのは午後だ。

リリパッド? 今の季節の南風では私は狙わない。北風が吹いてリリパッドの北縁に風が当たれば、縁を狙おう。真ん中は無視だ。
前日にでも雨が降って伏流水が期待できれば、ワンド最奥までボートを漕ぎ進めるかもしれない。あとはパッドの密度と水深を見極めながら臨機応変に。

以上が地形図と気象情報を元に立てたタクティクスだ。なので実際の、雄蛇ヶ池がどうなのか、近頃の釣りの状況がどうなのかは全く知らない。
でも面白いでしょ? いろいろな事を調べて考えるだけでも立派な釣り、これぞロッキンチェアフィッシングなのだ。
さあ、あなたも今日からロッキングチェアアングラー!

こんな時こそロッキンチェアフィッシング! (Vol.1)

自粛自粛自粛!
いつ行っても大きな湖にポツンポツンとしかボートの浮いていない津久井湖の沼本ボートも、このご時世で休業中。いや、海だろうが川だろうがどこもかしこもだ。津久井湖なんて一番近くで釣っているボートまで300mは離れている。これでウィルスを移してみろってんだ!
などと吠えたところで仕方がない。これでノコノコ出掛ける奴は、休業要請を破って営業しているパチンコ屋に押し寄せる中毒患者と同じだと思おう。ジョーシキ的な大人はStay Homeなのだよ。
ならば正しい大人のバサーはどうすればいいのか。お教えしよう。

こんな時こそロッキンチェアフィッシングだ。

バスフィッシングは頭脳のスポーツ。いつも言いているよね。それを突き詰めれば湖に行かなくたって結構楽しめるのだよ。ロッドもリールもルアーもなくたって、大いに楽しめるのだよ。
例えば例えば。。。

今日は雄蛇ヶ池に出掛けるとしよう。千葉のメジャースポットの一つである雄蛇ヶ池は東金市に位置する湖。私は50年近くも前にヘラブナ釣りに行ったきりだ。もう全く覚えていない。今回はここに決めよう。
まずは地形だ。
Map.jpg

雄蛇ヶ池は面積25万㎡、周囲4.5kmの農業用貯水池。最深部で水深4m、地図で分かる通り、房総半島の付け根に位置し、東京湾と九十九里浜との分水嶺にあたる高台にある。標高は15m、流出する北幸谷川から真亀川を経由し、九十九里の河口まで約12kmだ。高台の上にあり地図上では大きな流入河川は確認できないが、地形から見て東側から南に何本かのインレットがあるはずだ。そして東側に農業用水路へ続く水門がある。

そしてこの湖は人間に翻弄され続けているのだ。私の記憶する雄蛇ヶ池は、石積みの護岸に釣り座を構えて20尺近い長竿でヘラブナを狙ったこと。それがたしか1975年くらい。その頃の雄蛇ヶ池は入り江と言う入り江はリリーパッドに覆われていた。バスなんてまだほとんどいなかったと思う(放流されたのは1971年という記録もある)。当時は外来生物法もないので放流は違法でも何でもないが、生態系などあまり考慮せずに放流したのだろう。
その後1980年代に、雄蛇ヶ池は広がりすぎたリリーパッド除去を目的としてソウギョを放流する。するとリリーパッドを始めとする水草は激減。そこに棲む小魚は減り、それを食していたバスも減った。しばらくするとまた水草が繁茂し、またまた2006年にソウギョを追加放流する。
何をやっているんだか。。。人間の愚かさの象徴のような湖なのだ。

そこは今回の主題ではないのでこのくらいにして、肝心のロッキンチェアフィッシングに出掛けよう。
平地にある湖だと周囲の農耕状態や町の下水、工場排水等をチェックしてインレットの良し悪し、狙い時期等を推察するのだが、雄蛇ヶ池の場合、それらを経由するインレットはなさそうだ。すなわち水は置換率が低く淀んでいる。当然、水質は冨栄養。夏にはアオコに悩まされることだろう。

ちなみにもしも雄蛇ヶ池が東金市の真ん中にあり、農業用水が流れ込んだり、町の下水が流れ込んだりするような場所にあったらどうするか。私は市のHPから農業の状況や上下水道の情報を仕入れる。例えば東金市役所のHPを見ると、市の人口は53000人、うち1次産業従事者は1600人。農耕面積は23万aで、田が18万a、畑が3.6万aとなっている。Google Mapを見ても御蛇ヶ池周辺には水田が広がっていて、ここに雄蛇ヶ池の水が供給されているのだろう。
逆に御蛇ヶ池にこの田畑の水が流れ込んでいるとしたら、調査する項目が一気に増える。何を植えているのか。その栽培、収穫の時期はいつか。水田ならば代掻きはいつか、水抜きはいつか。今年の冬は雪が多かったか。去年の秋の台風はどうだったか。夏の暑さはどうだったか。梅雨の雨量はどんなだったか・・・
これらをかき集めて仮説を立てる。例えば、
・去年の夏は異常な暑さで、田畑は害虫に悩まされただろう。すると田畑では農薬を多く使ったはず。そして台風による雨も少なく、この春の雨によりそれが一気に湖に流れ込んだ可能性が高い。
あるいは別の年なら、
・去年は雨が多く、梅雨時も台風シーズンも異常なほどの雨量だった。通常は町の下水で淀んでいた流入河川の水質はよかったはずだ。そこへこの春の少雨。湖のインレット付近は水底の状態は良く、水の動きも緩い。
などなど・・・

要は妄想を膨らますのだ。
長くなったので後編に続くのだ・・・

2年連続だ。 「琵琶湖の深呼吸:全層循環、今年も確認されず」

やはり今年もか。。。
京都新聞の4月2日付け記事に
「琵琶湖の深呼吸」全層循環、今年も確認されず 暖冬影響か
と言う記事が掲載された。2019年に続き2年連続だ。

全層循環とはバサーにお馴染み、ターンオーバーのこと。昨年も「琵琶湖がターンオーバーしていない事の影響について」で述べたが、今津沖の水深90mの第一海盆で、例年であれば冬季の表層の冷却により水底までの水が表層の水と循環して発生する全層循環が起きなかったのだ。
そして滋賀県の見解として
県琵琶湖保全再生課は「昨年同様に暖冬で、表層と底層の水温差が縮まらず混ざりにくい状況だった」と分析。ヨコエビなど湖底生物への影響は確認できていないが、全層循環の未確認は「未知の状況」だとして、今後も継続的な調査を続ける。
としている。

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     (京都新聞より)

本当に生態系への影響はないのだろうか? もう少し深堀していこう。

ターンオーバーの正体については「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で詳しく述べた。夏季に温められた表層と、水温の低いままの底層の間で発生するサーモクラインが、冬季の気温低下に伴う表層水温低下により底層の水と温度差がなくなり、全層にわたって還流が発生する。同時に溶存酸素を使い切ってほぼ酸欠状態となっている底層に、表層の豊かな酸素が供給され、逆に表層にはプランクトンの栄養源である硝酸態窒素が底層より供給される。
自然の摂理とは実にうまくできているのだ。しかしここに人間の手が加わると、自然界はバランスを崩してしまう。ここでは地球の温暖化が影響したのであろうか。

表層と底層の水質の季節変化を深堀していこう。
滋賀県琵琶湖環境科学研究センターでは通年にわたって琵琶湖の各地点で水質観察を行っており、そのデータを公開している。下図にそのデータから、過去3年間の今津沖の表層と底層の水質の季節変化をグラフ化して示す。

2017年度

2018年度

2019年度

2017年度は例年通り、1月以降に底層の溶存酸素濃度は急上昇し、表層と同レベルとなった。これは1月以降に底層以浅の水温が低下して底層と同じになり、全層循環が発生した事を示している。
一方2018年度においては、3/4,5の溶存酸素濃度が一度上昇しているものの表層と同じレベルには至らず、以後再び低下に転じた。
そして2019年度は、これも3/2,3に一度上昇したが、3/23のデータでは差が拡大している。ただしその差は2018年度に比べれば小さい。
3月下旬のデータでは溶存酸素濃度の表層-底層の差は、
 2017年度  0.7 (mg/L)
 2018年度  7.6
 2019年度  2.2
となっていた。今年は全層循環に至ってはいないものの、昨年に比べれば改善されていると言ってよい。

また2019年度は台風19号の影響で、19号通過後の10月中旬に一度、全層循環っぽい現象が観察されている。「47.「琵琶湖、台風19号の強風で深呼吸」の持つ意味」で取り上げた通りだ。
その時は、全層循環とまでは言えないものの、台風による強風の影響が底層にまで及び底層の溶存酸素濃度が上昇している。今春の琵琶湖底層の溶存酸素濃度が2018年度よりも高いのは、それが影響している可能性もある。


地球は確実に暖かくなりつつある。今後、琵琶湖において毎年のように全層循環が発生しないという現象が起こらないとも限らない。今年はその影響は小さいと言っても、毎年続けば間違いなく琵琶湖の生態系は変わってしまう。
自然のバランスを保つ事は難しい。我々も自然の恩恵を受けて生き楽しみ憩わせてもらっているのなら、せめて自分にできる範囲で自然を守る努力をしていこう。ゴミのポイ捨てなんて言語道断だ。

津久井湖惨敗の敗因を探る

13日の金曜日、コロナ禍でジェイソンさえも活動を自粛した呪いであろうか、
絶好のコンディションの津久井湖でオデコを食らった。正確には仔バス1尾。しかし気温20℃、水温12℃、適度な南風、増水したワンド、と言う絶好のコンディションにあってはオデコに等しい。惨敗だ。コテンパンだ。

当日の様子は前編をご覧いただくとして、ここではその敗因を深堀していこう。
・何を読み間違えたか。
・どう釣り損なったか。
・何が足りなかったのか。


結論から言えばバスは見つけ出せていた。しかし食わせられなかった。
前編でも書いたように当日の狙いは狙うならワンドの奥および島周りのシャローだった。冬の冷え込みの浅かった今年の水温は、例年に比べて冬の最低水温が2℃以上高かった。現在の水温は早や4月中旬並み。バスの暦も1か月前倒しされているはずだ。すなわちバス達はもうスポーニングを意識してシャローに出ている。水温の変化等によりベイトを追うスイッチが入るはず。ならば水深2m以浅の水草の中から、急に増水した水面を意識している。あるいはより浅い岸沿いのストラクチャーに身を寄せている。

その読みは当たっていた。2mラインで仔バスを掛け、40cmクラスのチェイスもあった。そして何より島のブッシュに潜む50upを目撃しアプローチした。スレ掛かりのバスもあった。
バスはそこにいたのだ。
しかし食わせられない。

その象徴的な場面はやはり50upとのやり取りだ。振り返ろう。
ヤツは上からブッシュが覆いかぶさる島の岩盤際にいた。水深30cm、ゴロタ石の底面、ブッシュは岸から2~3mは伸びている。これが非常に厄介。水草ではない。枝だ。それも水底に沈んだ枯れて何年も経つ木ではない。言わば新鮮なのだ。するとどうなるか。ゴツゴツと折れ曲がり、節々がささくれている。つまりラインが容易に絡みつく。ただでさえルアーを繰り込む隙間がないのに、ラインが枝に触れただけで絡みつく。

プランではハードルアーをメインに据えていたのだが、さすがにここはワームの出番。クローを軽めのテキサスに組んで枝の隙間から落とし込もうとした。が、実際に狙おうとすると、とても無理。少し狙い場所をずらし、ヤツの目線の先のちょっとだけ隙間のある地点の岸に当てて水面に落とす。軽めのシェイク、小さなジャーク、長めのステイ。
振り向かない。もっとタイトに攻めないとだめだ。
ヤツの前に戻って、リスクは承知でダイレクトに狙おうとした。スピニングに持ち替え、ノーシンカーのパドルを送り込もうと試みた。直線的なルートはない。あるとすれば上からチョウチンだ。フリッピングで上の枝から落とし込むと、、、ラインが枝に絡まった。巻かれた訳ではない。単に擦れただけ。それでもカサカサしたこの枝にPEラインは絡みついた。

The End....
当然、50up君は砂塵を上げて逃げて行った。

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(木の上に打ち揚げられたボートが何物かを語る・・・)

ここでの問題点は大きく分けて2つ。一つはテクニカルなスキル。それも2つに分けられて、一つはもちろんキャッスティング。あの絡み合った枝の奥の奥にルアーを送り込むスキルは私にはない。と言うか、できるのかな?あるとすれば私が試みたような上からのチョウチン釣りくらいしか思い浮かばない。バックスライドなんてせいぜい数10cmでしょ。2mはスライドしてくれないと、あそこには届かない。スキッピング?無理無理。
もう一つは操船スキルだ。風はそこそこあった。3~5m程度か。この風にハンドエレキ搭載のレンタルボートがあおられる。大場所ならいざ知らず、「そこにいるバスにこの枝の隙間からルアーを送り込む」には「ここ」しかない。その「ここ」にボートを止めておけないのだ。フットだともう少しコントローラブルなのだろうが、私のハンド操作術ではあれよあれよと流される。

大きく分けた2つ目の問題点はタックルだ。今回で言えばラインだ。
今回のプランではハードルアーに重点を置いたので持ち込んだのは、
①スピナベメインのクランキングロッド+カルカッタ+14lbナイロン
②ジャークベイト、サーフェースプラグ用のショートロッド+ABU4600+8lbナイロン
③ラバジ,チャターベイト用6ft+ABU4600+12lbフロロ
④ワーム用スピニングロッド+チームダイワS+16lbPE

なのでノーシンカーには④を使用した。しかし前述の通りここのブッシュをPEで狙うのは非常に困難。かと言って細いナイロンではたとえバスを掛けられたとしても、ブッシュから50upを引き出す事は難しい。
よりヘビーなタックルが必要だった。6.6ftのフリッピングロッドに20lbナイロンを巻いたベイトリール。ノーシンカーは諦めて軽めのテキサスで上から何とかルアーを落とし込み、じっとバスが振り向くのを待つ。そんなところか。

バックスライドってもっと距離が稼げないのかな?
引いてルアーを上に上げ、フリーフォールで奥に泳いでいく。風上に進むヨットの要領でしょ。
理論的にはできるよ。真面目に考えてみようかな。

バスにオデコはない。釣るか学ぶかだ・・・

NHKの「奇跡のレッスン」をご存知か。毎回、スポーツのレジェンドが子供達を指導する。これが我々大人たちにとっても深~いのだ。1か月ほど前に放送されたのはテニスのサーシャ・バイン。ご存知、大坂なおみをトップスターに押し上げたコーチだ。彼が大阪の高校テニス部を指導した時に言った言葉。
「試合に負けはない。勝つか学ぶかだ。」

さすが。ポテンシャルは十分なのにメンタルが弱くてくすぶっていた大坂を、1年足らずで全米を取るまでに成長させた名コーチのいう事は違う。
トーマス・エジソンも電球の開発で何度も失敗していた事を新聞記者に質問された時、
「私は実験に失敗した事など一度もない。この材料では点灯しないという実験を100通りも繰り返していただけだ。」
と答えている。そしてアインシュタインも言う。
「失敗したことのない人間とは、何も挑戦したことのない人間である。」


「何をグダグダ言ってるんだ。要はオデコ食らったんだろ?」
・・・・・・
そうとも言う。が、フーテンの寅は言う。
「言っちゃったね。それを言っちゃあお仕舞よ。」

時は3月13日。コロナの影響でジェイソンさえ活動を自粛するとの声明を出した13日の金曜日、あろうことか津久井湖に出掛けた。悪い外来魚をお仕置きしようと。。。
相模地方はここ3日間は春めいたいい天気。この日も朝から穏やかで最高気温は20℃。風は午前中は穏やか。午後から風が強まったが、気温の高い今日なら大歓迎だ。
宮ケ瀬ダムからは3t/s放流。城山ダムは全放流量17t/sと平常運用。結果、3日前のまとまった雨のおかげで水位は微増し、満水から-0.5mとなった。

絶好のバス釣り日和。悪い訳がない!当初のプランはこうだ。
冬の間、冬水位でほぼ満水だった津久井湖は、ここ1か月の雨の少ない間に1.5m減水した。それが3日前の雨と宮ケ瀬の放流により、沼本ワンドには道志川からまとまった水が流れ込み、水位は1m上昇した。道志川に開くワンドの入口付近の水はまだ水温は低いだろう。狙うならワンドの奥、島周りのシャローだ。
一大スポーニングエリアである沼本ワンドにネストを張るには早すぎるが、スポーニングを意識したデカバスはもうワンドに入っている。そして水温の上昇する午後には盛んにベイトを追うだろう。ならば今日はフィネスは要らない。ハードルアー一本勝負!
水草と枯れ木で覆われた浅瀬を攻めるにはスピナーベイトとフローティングミノーだ。強気にジョイクロも追加しよう。爆釣の予感がする。自己ベスト更新かも。。。

さて沼本ボートで親父さんに話を聞くと、一昨日は50upが2本、休校になってヒマな小学生も40upを上げている。ほらぁ絶好のコンディションじゃん。これは行けるぞぉ。
で、プラン通りワンド内を30分ほど撃っていくと、島周りの3mラインでロングAに元気なバスがヒット!難なく抜き上げると25cmのチビ。ほらほら、やっぱりね。津久井でこんなに早くバスをゲットできる事なんてないから。子バスだろうが何だろうが。
俄然やる気を出して同じようなラインをトレースしていく。
1時間、2時間。。。
釣れない。

おかしいなぁ。ちょっと作戦を変えるか。より岸にタイトに近づきブッシュや水草をかき分けるようにルアーを送り込む。
いた。
しかもでかい。50cmは余裕で超えるバスがブッシュの奥、水深ほんの30cmの岸際に貼りついている。しかしあそこにルアーを送り込む手段がない。少し先回りしてルアーを打ち込める位置で待ち伏せていたが、ボートが風で流される。しかもルアーの狙い所はごく限られた1か所だけ。岸にテキサスに組んだクローをぶつけてから水に落とし、シェイクを繰り返したが結局バスは逃げてしまった。

IMG_20200313_082141a.jpg
(この左手のブッシュの奥に奴はいた)


この時の水温は表層、下層とも12℃。ちなみに今年の冬は最低でも水温は最低7.5℃。例年より2℃以上高かった。当然、水の中の春の訪れは早い。12℃と言えば4月中旬の水温だ。だからバスはシャローに出ている。
読みは外れていない。
でも釣れない。

その後も40cmクラスの見えバスにアプローチし、チェイスさせるもヒットに至らず。さらに道志川のワンドへの入口の岬でスピナベにスレ掛かり。
結局、型を見ずに4:30投了。今日の状況でチビバス1匹は私の望んだ結果ではない。オデコに等しい惨敗だ。
帰って来てボート屋の親父さんに聞くと、今日のバサーはあと一人。彼も1匹掛けたもののバラして、結局オデコ。それも手ごたえは大きかったと言う。

バスはいる。その手ごたえはあった。しかも2日前には50upが3本も上がっている。釣れる要素はアリアリだった。
それでも釣れない。なぜ?
これを分析しなければ「学び」はない。失敗を失敗で終わらせてはいけない。次回、じっくりと分析しよう。

51.茨城県北浦のヨシ帯と護岸帯での魚類群衆構造の比較

(碓井(東京大学院)ら,日本水産学会誌 80(5),2014)

「この季節なら護岸のハードボトムだ。しかもこの風でベイトは護岸に吹き寄せられる。」
「いや、フィーディングに来るバスはヨシ帯にいる。今の時間帯はヨシ原だ。」
喧々諤々。いいのだよ、それで。考えて考えてバスの居場所を推理するのだ。それをやらずして何のバスフィッシングだ。何がおもしろいのだ。

前回「50.水草の密度と大きさからバスの有無を知る」では、水草帯の密度によりバスの捕食位置が変わってくることを示した。ではその水草帯にはどのような魚が潜んでいるのだろうか。
そして水草帯と対比される護岸帯には、どのような魚がいるのか。本研究では我がホームレイク北浦でヨシ帯と護岸帯に棲む魚類を捕獲し比較した。
論文を読み進めよう。

碓井らの調査した北浦は、言わずもがなの関東のメジャーバスレイク。そこは今回の研究テーマとは関係なく、筆者のテーマは「ヨシ帯の減少が湖の生態系にどのような影響を与えたか」であった。日本の大多数の湖と同様、北浦においても護岸のコンクリート化が進み、自然なヨシ帯はほとんどと言っていい程、残されていない。わずかに流入河川沿いに残っている程度だ。さらに護岸帯においては、垂直護岸に当たった波の反射波が周囲のヨシを倒壊させることで、さらにヨシ帯が減少していく。
本研究では雁通川流入部に位置し波の影響を受けにくい波崎と、西岸のフラットな湖岸線にある爪木を調査地点に選び、各々の地域にあるヨシ帯と護岸帯から小型地引網により魚類を採集し、春から夏にかけての生息魚類の違いを調査した。

51-Fig1.jpg

採集は2009年と2010年の4,6,8月。小型地引網は袖網長4mで岸に沿って人が砂泥底表面を20mにわたって歩き採集した。即ちヨシ帯の中の魚は採集できていない。ここは要注意。
採集された全魚種をTable.1に示す。

51-Table1A.jpg

表中赤字には魚種の学名に日本語表記を付記した。
表中のFGは各魚種の食性を表し、Bは底生無脊椎動物食、Fは魚食魚、Pは植物食魚、Tは陸生昆虫食魚、Zは動物プランクトン食魚を示す。採集年度下のRSはヨシ帯、BHは護岸帯を示す。
同時に各水域での水温・電気導電度・溶存酸素量を測定した。その結果、水温、水質については季節変動はあるものの地域間の差はないことが分かった。ヨシ帯と護岸帯で水質の差はないのだ。

では採集された魚種について詳しく見て行こう。筆者は統計的手法を用いて分析しているが、ここではTable.1について読み取れることをザックリと述べていきたい。
まず採集された魚類の総数を見ると、ヨシ帯の方が護岸帯よりも多い。特に宇崎ではヨシ帯では護岸帯の約2倍の魚類が採集されている。次に宇崎と爪木の比較では、宇崎の方が圧倒的に多かった。その比は8~11倍になる。やはり宇崎は1級スポットなのだ。

次に魚種毎の比較だが、ヨシ帯で多い傾向にあった魚種は、ヨシノボリ、ヌマチチブ、クルメサヨリ、ブルーギル。特にブルーギルの多さに驚かされる。モッゴ、ウキゴリもヨシ帯に多い。
一方、シラウオは護岸帯に多く、ワカサギはヨシ帯・護岸帯の差はなかった。この2種が護岸帯に多いのは食性によるものだろう。主に動物性プランクトンを食べているシラウオとワカサギは、それが多く出没する護岸帯をクルーズしているのだと推察される。
一方、ヨシノボリやモッゴ、クルメサヨリ等は植物食か底生無脊椎動物食なので、それらの生息するヨシ帯を好む。もちろんバス等の捕食者からの隠れ家としてヨシ帯を利用しているという側面も見逃せない。

北浦で風が強く吹き付けた時のシラウオパターンはよく知られる戦略だ。しかしそれを狙うのなら護岸帯とだいう事は憶えておいて損はない。逆に護岸帯で底生のヨシノボリを模したワームでジグヘッドと言うのも、ちと違うかな。

また注目されるのが、採集された魚類の中にオオクチバスがほとんどいない事。総数としてブルーギル:4105尾に対して、オオクチバスはたったの21尾。これはないだろう。おそらくは採集が徒歩での地引網という事から、バスは人の気配を察知して逃げてしまったのだろう。対して小さなベイトフィッシュは大きく泳いで逃げることができず、間口4mという大きな網に捕まったと考えられる。
また、地引網がヨシ帯の中までは入り込めていない事にも留意したい。ヨシノボリやウキゴリ等のヨシの中に潜んでいる魚は捕らえられていない。おそらくこれらの魚種はヨシ帯の中にもっと多く生息しているはずだ。


なおヨシ帯に生息する魚類については、「20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化」で同じ筆者らが詳しく調査しているので、こちらも参考にされたし。

50.水草の密度と大きさからバスの有無を知る

「外来魚による捕食を軽減する植生の効果」
   坂野(水産総合研究センター)日本水産学会,78(5),988-990(2012)

バスはAmbush Predator、すなわち獲物を待ち伏せして捕食するのが基本的な生存戦略だという事を、「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」で述べた。
芦原の奥の奥に潜んでいるバスをフリッピングで叩くと言うのは、特に夏のバスの基本的攻略法の一つだ。
一方で水草が密度濃く生い茂る植生の中は、ベイトフィッシュにとっては格好の隠れ家になる。水草がびっしりと生い茂る広い植生エリアにはバスは入り込めないか、入れたとしても小魚たちに容易に逃げられてしまう。
ならばその境目があるはずだ。どんな水草エリアならバスは入り込んでベイトを捕食しようとするのか?どこまで密集すればバスは入れこめなくなるのか?

本論文はここに着目し、在来魚保護の観点からどの程度の密度、どの程度の大きさの植生であれば、在来魚がバスの攻撃から逃れられるのかを実験により確かめた。裏を返せば、ここで述べられた密度・大きさの植生エリアの中にはバスはいない、という事だ。我々バサーにとって大いに参考になるかもよ。

坂野は、直径2m、高さ1.2mの円形の実験用水槽にモツゴオオクチバスを放し、その中央に植生としてクサヨシを規定量配置し、一定の実験期間を経過した後のモツゴの生存匹数を比較した。実験に使用したクサヨシは水辺で普通に見受けられるイネ科の抽水植物。

クサヨシ

これを鉢に植えて所定の密度、面積で実験水槽に並べて行った。
 A) 低密度:125本/㎡
 B) 高密度:250本/㎡
 a) 小面積:水槽の40%=1.26㎡
 b) 大面積:水槽の80%=2.51㎡
小面積ではクサヨシ帯の周囲に37cmのスペースが残り、大面積では11cmしか残っていないことになる。

50-図1

ここに大型モツゴ(4.0g)4尾と、小型モツゴ(1.4g)16尾、オオクチバス2尾を投入し、2週間観察実験を行った。実験期間中の水温は14.9℃から20.7℃と言うから、バスは活発に活動できる環境だ。
植生密度125本/㎡はクサヨシ1本当たり80㎠、すなわち約9cm毎にクサヨシがびっしりと並んでいることになる。同様に250本/㎡なら1本当たり40㎠、すなわち約6.3cm毎に並んでいる。かなりのジャングルだ。

さて2週間にわたる実験の後、オオクチバスに捕食されずに生き残ったモツゴの数が問題だ。

50-図2

図2に示されたのは、植生の面積を無処理・小面積・大面積と変えた場合のモツゴの生存尾数である。植生の面積が大きくなるほど、小モツゴの生存尾数が増えていく
一方、植生の密度を変えた実験では、密度の大小による生存尾数の差は見られなかったと言う(具体データなし)。
ここから筆者は、在来魚をオオクチバスから保護するためには、ある程度の植生の広さが必要であると結論付けた。

植生密度については他の研究者による、ベイトとしてブルーギルの仔魚、捕食魚としてオオクチバスを用いた実験により、植生密度50本/㎡まではバスはブルーギルを摂餌できるが、250本/㎡ではほとんど摂餌できなくなることが確認されている。
また別の研究者が、ベイトとしてブルーギルとファットヘッドミノーを用い、植生密度1000本/㎡の疑似水生植物(イミテーションであろう)と共にオオクチバスの摂餌活動を観察した実験では、バスは植生の中に入り込んでブルーギルを捕食した。一方でファットヘッドミノーに対しては植生の外側で待ち伏せして捕食するという行動を見せた。
ファットヘッドミノーとは北米大陸に生存するハヤの仲間だ。おそらくは1000本/㎡(すなわち3.1cm毎に1本)という密な植生の中での遊泳能力の差が、ブルーギルとファットヘッドミノーに対する摂餌活動の差に繋がったのであろう。むしろ3.1cm毎などというジャングルにバスが突っ込んでいって仔ギルを捕食できる事が驚きだ。この点は前述の研究と食い違っているが、自然科学の分野ではよくある事と思った方が良い。実験条件のちょっとした違いで結果が異なってしまう。


これらをまとめると以下のようになるだろう。
①ベイトフィッシュは水草の植生の中に隠れてバスの襲撃を逃れることができる。水草が密に生い茂っているほど、植生エリアが広いほど、ベイトフィッシュは逃げやすい。
②3.1cm毎に水草が生い茂るような密な植生エリアでは、バスはシャッドの類を捕食することは難しい。この場合、バスは植生の外側でシャッドを待ち伏せる戦略を取る。
③6.3cm毎に水草が生い茂っている程度の植生であれば、バスはその中でベイトフィッシュを捕食できる。特に仔ギルのような遊泳能力の低い魚は容易に捕食する。


水草はベイトフィッシュにとっての隠れ家になるのと同様、バスにとっても格好の隠れ家になる。釣り人によるプレッシャーが高ければなおさらだ。その意味からも水草エリアは重要なポイントなのだ。さらにその植生密度に注目することにより、水草エリアの中を狙うべきか、外を狙うべきかが判断できる。何でも中がいい訳じゃない。

これからは水草の密度にも着目して釣りをするとしよう。

49.琵琶湖底層の溶存酸素濃度と台風の関係

前回前々回に引き続き、台風19号の琵琶湖底層に与えた影響を考えてみたい。元資料は滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの琵琶湖の水質調査データである。
 https://www.lberi.jp/learn/biwako/water

前回の考察で、今回の今津沖中央底層部に生じた溶存酸素濃度の飛躍的上昇は、台風の強風による全層循環とは言い切れないのではないか、という疑問点を提示した。もっと長いスパンで比較しなければならない。そう考えて同データの10月第1週から第2週の間の底層の溶存酸素濃度を、年度毎に比較した。

琵琶湖底層

琵琶湖環境科学研究センターの公開データから10月第1週から第2週の間の底層の溶存酸素濃度をプロットしたものが上図である。琵琶湖第一湖盆の底層部の水は一年を通じてほぼ固定され、初春に湖水温が最低となり全層循環を発生するまでは、水温も溶存酸素濃度も急激な変化は示さない。この場合には10月第1週と第2週の間の溶存酸素濃度は変化を示さず、図の青点と赤点はほぼ重なる。春になってターンオーバーが全層に渡った時、初めて底層の溶存酸素は増加し、グラフは上方に動いていくことになる。
そこでは2019年を除いて、この期間に大きく溶存酸素濃度が変化した年度はない。2019年のデータだけが10/12に飛来した超大型台風19号の強風のために底層水が循環し、10/7と10/16の溶存酸素濃度に飛躍的な変化が生じた、とされている。

ちょっと待て。超大型台風なら2019年以前にも飛来している。記憶に新しいのは2017年の台風21号。近年では初めてとなる超大型台風の来襲として話題となり、全国で10名もの犠牲者を出してしまった。この台風の上陸は2017/10/23。上図のタイミングのもう一つ後のデータを調べればよい。
すると、

台風

2017年は、2019年と同様の飛躍的変化を示していたのだ。その後、2017年の底層の溶存酸素濃度は3.6mg/Lまで漸減したが、湖底水温が例年よりも高い8℃程度であったため、翌年の1月中旬には全層循環に至っている。

今年のパターンと非常によく似ている。この10月の台風直後に表れた湖底水の溶存酸素濃度の増大を「全層循環」と言っていいかは疑問だが、比較的湖底水温の高い2019年にあっては、来年の早い時期に全層循環を迎えるのではないだろうか。

つまり今年の琵琶湖の様相は2017年に非常に類似しているのだ。琵琶湖をホームレイクとしている諸君は2年前のことをよ~く思い出してみるべきだろう。
・バスはどこで釣れた?
・どうやって釣れた?

それらを思い出せば、これからの季節を先回りしておいしい釣りができるかも知れない。

真のデータフィッシングとはそう言うものだ。先週どこでバスが釣れたなんて言うネット情報を追いかけまわす事じゃない。
俺はそう思うよ。

48.琵琶湖水深別水質調査における溶存酸素濃度

前回は京都新聞に掲載された記事についてコメントしたが、その元データは滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの琵琶湖の水質調査データだ。
 https://www.lberi.jp/learn/biwako/water

滋賀県琵琶湖環境科学研究センターでは毎月2回琵琶湖の水深別水質調査を実施しており、随時データを公開している。京都新聞の記事は2019/10/21までのデータについて述べており、10/16の時点で第一湖盆底層溶存酸素濃度が一気に上昇し、例年並みとなったとされていた。これは10/12に通過した台風19号による強風のため、全層循環がなされたためであると推測している。

しかし私は、全層循環であれば表層温度も一気に下がっているべきだと考え、その矛盾が引っかかっていた。今回、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの全データを入手し、再検討してみた。ここには10/21以降のデータも含まれている。それを京都新聞と同じフォーマットでグラフ化した。

琵琶湖循環

2019/10/16のデータでは確かに、それまでの底層の溶存酸素濃度は例年に比べ大きく下回っていたものが、2018年の同時期のそれに追いついた形となっていた。しかしその後の推移を追跡すると、11/9時点では再び2018年データから大きく下回る数値となっている。
そこで同地点の水温データについて比較した。今津沖中央部の表層(0.5m)と底層(水深90mの底から1m地点)の水温の変化を下図に示す。

琵琶湖水温

図には、季節により表層水温が大きく変化しているのに対して、底層水温はほぼ一定で推移している。そして2019年の底層水温は2018年に比べて終始約1℃高くなっている。これは台風19号の通過した10/12前後にあっても変わっていない。

水温から見る限り、10/12に全層循環が起こったとは考えにくい

では2019/10/16の溶存酸素データは何だったのか?仮説をいくつか挙げてみる。

a. データの揺らぎの範囲内
 より長い目で見れば、本年度程度の低酸素状態はあり得ることであり、取り立てて珍しいことではない。
b. 局所的データだった
 局部的なターンオーバーは確かに発生したが、全層をかき回すほどの規模ではなく、全体としての溶存酸素濃度は台風前に戻っていった。
c. 誤測定
 台風により測定器・送信機等に異常が生じ、誤差を含んだデータが測定された。

私としてはa.の可能性が高いように思えるのだが。。。
もう少し追跡調査してみよう。

 49.琵琶湖底層の溶存酸素濃度と台風の関係
につづく

47.「琵琶湖、台風19号の強風で深呼吸」の持つ意味

11月20日付けの京都新聞に
琵琶湖、台風19号の強風で「深呼吸」 接近後に酸素濃度一時回復
という記事が掲載された。
biwako.jpg
                (京都新聞 11/20配信より転載)

憶えているだろうか? 昨冬の高温の影響で、今年の初春に琵琶湖は全層循環が発生しなかったのだ。北湖今津沖の第一湖盆と呼ばれる100mを超える最深部の水まで、表層の水が循環することなく春を迎えてしまっていたのだ。詳しい考察は「琵琶湖がターンオーバーしていない事の影響について」で述べている。
この時に指摘した通り、第一湖盆の湖底ではイサザやヨコエビが死滅し、その死骸が発見されていると言う。私は合わせて、ベイトフィッシュの分布にも影響を及ぼし、それは即ちバスの居場所にも影響するのではないかと指摘した。今年のこの水域でのバスの釣果がどうであったか情報を持っていないが、少なくとも底層生態系への影響は大きかった。

その第一湖盆が台風19号の影響により湖底水までターンオーバーしたのだ。例年であれば秋の進行に合わせて、湖の表層部から次第に水温が低下し、次第に深部にまで及んでいくフォールターンオーバーが、今年は10月12日の台風の日に一気に湖底部まで進んだことになる

フォールターンオーバーという現象については、バサーであれば今さら、という感じであろうが、「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で詳しく述べているので、ご興味あればリンクをたどってほしい。
この変化が一日で終了してしまったことになる。

琵琶湖の秋冬の釣りは一変するんじゃないか?
少なくとも台風一過で濁ってしまった湖水は、実は雨風による濁流の流入によるものだけでなく、湖底からのターンオーバーによる濁りが加わっていたのだ。気が付かなかった!

台風以降の釣果って例年と比べてどうなっているのだろうか?
ただ、よく分からなないのは、溶存酸素濃度は湖底水まで混ざり合ったことを示しているようだが、その割に水温が変化していないこと。知りえた限りでは、台風前後で少なくとも表層水温は20℃前後で変わっていない。琵琶湖の湖底水は1年を通じて約5℃。これが全層循環していれば、表層温度も一気に下がっていいはずだが?

もう少し考えた方がよさそうだ。
 48.琵琶湖水深別水質調査における溶存酸素濃度
 49.琵琶湖底層の溶存酸素濃度と台風の関係
につづく
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