プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題

  (山内(兵庫六甲農業協同組合)ら;水資源環境研究 Vol.26,1 2013 pp1~6)


 前回の琵琶湖における釣り有料化の議論に引き続き、再び琵琶湖における外来魚問題について考える。山内らは滋賀県の琵琶湖レ ジャー利用適正化条例施行から10年を経過した2012年に、外来魚駆除事業の実態を再確認すると共に、地域住民、バスアングラーへの聞き取り調査を実施し、琵琶湖における外来魚問題について考察した。

 滋賀県は、外来魚対策として琵琶湖レジャー条例により外来魚のリリースを禁止しており、その一環として、釣った外来魚をリリースしないようにするために、湖岸には外来魚の回収ボックス・回収いけすを設置している。また、滋賀県では漁協と共同で定置網による捕獲や、2012年度からは電気ショッカーによる駆除も導入されている(2012年7月8日産経ニュース記事より)。さらに、NPO団体や業界団体による、釣り大会形式の駆除活動も盛んに行われている。そのうちの一つである「外来魚(有効利用)釣り大会」は、滋賀県と日本釣振興会滋賀県支部が共同で主催する地域住民参加型の外来魚駆除イベントである。これは、琵琶湖レジャー条例に対して釣り人の反対意見が多かったものの、釣り人も琵琶湖の環境を保護するために施行されたレジャー条例に協力する義務と責任があるとし、釣り人側も条例に協力していることを公に認知してもらうために行っている。イベントは、琵琶湖において外来魚の中でも生息数が多いとされているブルーギルの駆除に特化した取り組みとなっている。図2に示されるように、ブルーギルは琵琶湖に生息する外来魚の大部分を占めており、ゲームフィッシュとして狙う釣り人がブラックバスのように多くないため、回収ボックス・いけすによる駆除も期待できないほか、在来種・外来種を問わず卵や仔稚魚を捕食する雑食性であるため問題視されている。しかしながら、ブルーギルは比較的容易に釣れる魚であることから、子供からお年寄りまで楽しみながら気軽に参加できるため、釣り大会形式の外来魚駆除活動として、ブルーギルを中心に駆除することは得策とされている。

 さあ、ここまでの議論で違和感を感じた処は?まずは「釣り人もレジャー条例に協力する義務と責任があるとし、釣り人側も条例に協力していることを公に認知してもらうために行っている。」のくだり。悪法だろうが良法だろうが、良識ある国民としては法や条例に従う義務があることは周知の通り。「悪法だろうが」が問題なんだけどね。しかし日本はイスラムや北朝鮮とは違うんだ。悪法は悪法だと正々堂々と議論すべきだ。これについては後段で論じよう。
 もう一つ意外なのが、外来魚駆除イベントの対象がブルーギルであったこと。著者も述べているように、実は在来種への影響はブラックバスよりもブルーギルの方が深刻なのかも知れないが、行政の意図するプロパガンダにはならないよね。それともバス釣り業界への忖度なのかな?
 論文に戻ろう。 


 また、2012年11月9日に実施した、琵琶湖南湖のA漁業協同組合への聞き取りによれば、滋賀県が同組合に対して、漁業被害に対する補助金として、駆除した外来魚1㎏あたりに300円を支給している。表1に示されるように、2011年の漁協の漁獲高に占める外来魚の割合は4割以上に達し、漁業者はこの補助金で生活が成り立っているという。漁業者は、以前のように琵琶湖の在来種のみで生活に必要な収入を得ることは難しく、この補助金がなければ生活していくことが困難な状況となっている。

表1

 う~ん、噂には聞いていたがこれほどとは・・・。漁業収入の約半分は外来魚駆除の助成金だったんだ。フナ、鰻以下は金額にして2%以下だぜ。衝撃的事実だな。これに対する漁業者の生の声が意外にも本論文には載っていない。

  また、ブラックバスを狙った釣り人の増加により、ルアーや釣り糸といったゴミが捨てられるほか、マナーを守らない釣り人が地元との軋轢を生み、社会問題にもなった(2012年9月9日における琵琶湖を戻す会4)への聞き取りより)。
 こうした文化への影響や社会問題に対して、地域住民自身が気付きにくくなっていることが滋賀県によって指摘さ れている。これには、滋賀県外から移住してきた住民が多く存在することや、社会やライフスタイルの変化に伴い、琵琶湖と人とのつながりが希薄になっていることのほか、水辺に近づくことが危険とされている最近の社会的風潮も原因とされている。
 しかし、外来魚の侵入による在来種への悪影響が数多く報告されている中、水域に外来魚が生息しているにも拘らず、在来種の繁殖が確認されている例がある。滋賀県の西の湖では、外来魚の生息密度が高いのにも拘らず、多様な在来種の繁殖が確認されており、繁殖に適した地形環境や、水辺の生態系が整っていることが条件とされている(藤田ほか2009)。また、山梨県の山中湖では、ブラックバスを「おおくちばす漁業」による漁業権魚種として認定し、放流しているもこれについてはのの、在来種の繁殖が確認されている。むしろ捕食されるはずのワカサギの個体数が増えすぎ、個体の委縮化が進んだため、毎年行なっているワカサギの放流の量を減らす方針である。在来種の繁殖との強い関係性をもつのは、良好な水質ではないかと指摘する漁業者の意見もある(2012年9月12日における山梨県河口湖漁業協同組合への聞き取りによる)。
 以上から、外来魚が生息している水域でも、環境が整えば在来種の繁殖が不可能ではないと考えられる。また、在来種の減少には水質悪化による影響も大きいものと考えることができる。そのため、従来からの外来魚駆除に加え、在来種の生息環境の保全や水質の改善も並行して行うことによって、在来種繁殖において更なる効果をあげることが期待できると思われる。

 この辺の議論は以前に紹介した「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」でも述べた通り。何を今さらの感があるが、広く承知してもらう事に異議はない。
 筆者は引き続き外来魚を釣りに来る釣り人の聞き取り調査を行った。

 琵琶湖レジャー条例が施行されてから約10年を迎えた今日において、釣り人の条例に対する非協力的傾向が想定される中、問題の当事者でもある釣り人の意識や、釣り人が外来魚駆除に協力しているのかを確認する必要があると考える。さらに、地域住民の水辺離れも指摘されているなかで、外来魚問題のより効果的な解決策を導くためには、外来魚対策に関する地域住民の意識も明らかにする必要があると考える。
そこで、実際に地域住民に対して、2012年6月17日に行われた外来魚有効利用釣り大会での一般の参加者16名 に対して聞き取りを行った(表2)。また、釣り人に対しては、2012年7月22日に滋賀県大津市、草津市の湖岸で主にバス釣りを行っている釣り人28名に対して、筆者を含む学生4名で聞き取りを行った(表3)。
 外来魚有効利用釣り大会は、滋賀県と日本釣振興会滋賀 県支部が主催するイベントである。当日の参加者のうち約 9割は滋賀県内在住者で、初めて駆除イベントに参加した人もいれば、他の団体が主催する駆除イベントに参加している人もいるなど、バラつきが見られた。また、参加者の 多くは子供や孫の通う小学校で配布されたチラシによってイベントを知った人が多く、聞き取り対象者に家族連れが多かったことの理由ではないかと考えられる。外来魚に対するイメージを尋ねたところ、ほとんどの回答者が「悪い」と答えた。その理由の多くが、在来の魚を捕食するというものであった。イベントの主催者については、ほとんどが知らないと回答した。イベントの感想については、全員が好意的な意見で、今後も是非参加したいと答えた。

 これは想定内の結果。ブルーギルを対象とする「外来魚有効利用釣り大会」と称したイベントへの参加者の意見としては、至極まっとうだろう。続いてバスマンの意見聴取を行った。

 この日行った聞き取りの対象者の28名のうち、17名が県外からの釣り人であり、主に京都府、大阪府、愛知県、三重県からブラックバスを釣りに訪れていた。琵琶湖で釣りをする頻度は、週1〜月1回など、バラつきがみられたが、県外から来ている釣り人は、月1回程度の頻度がもっとも多かった。条例によるリリース禁止については全員が認識し、必要性も理解していたが、キャッチ&リリースが主流とされているバス釣りにおいて、釣ったブラックバスを回収ボックスへ入れて殺すことへの抵抗から、リリースを行っている釣り人が半数以上いた。
 以上から、リリース禁止条例自体に対しては賛成で、協力しなければならないと考えている釣り人もいるが、実際にリリース禁止に協力している釣り人は多くないことが確認できた。その理由として、一般的にバス釣りにおいてキャッチ&リリースがルールとされているほか、釣った外来魚を殺すことへの抵抗が大きいことが考えられる。また、外来魚駆除のイベントについての認知はされているものの、実際に参加している人がいないことや、釣振興会の認知度が低いことも伺えた。

 ここ、どうなの?みんなはキャッチ&リリースがバス釣りのルールだからバスを殺さないの?バス以外の魚ならハゼでも小メジナでも陸におっぽり投げて殺すの?違うでしょ。生き物だからだよね。生きているものを何の理由もなく、即ち食べるでも食べさせるでも役に立てるでもなく無駄に殺すなんてことをしたくないからだよね。なんでそこが分からないのかな。
 結論を聞こう。


 現代の日本においては、外来魚問題に対する認識は高まり、小規模な河川や湖沼における外来魚駆除については、ある程度の成果はあがってきていると思われる。しかし、琵琶湖については、日本最大の面積を有するため、県が目指す外来魚の根絶は不可能である。だが、根絶は不可能であっても、繁殖を抑制する外来魚の駆除や条例によるリリース禁止は非常に重要であり、今後も琵琶湖の生態系を維持していく上では欠かすことができない取り組みである。

 これは本当にそうなのか?前段で環境改良こそが在来種を増やす有効な手段だと紹介していたのは、どこへ行った?そもそも釣り人の釣った魚程度の量で、抑制に有効な手段となり得るのか、検証が必要だろう。

 実際に外来魚を釣って楽しむのは釣り人自身である。その真偽が定かではないとされているものの、外来魚の生息域拡大は釣り人の不正放流が原因とされている。湖岸のゴミ問題やマナーを巡るトラブルといった問題を起こしてきたのも、一部とはいえ釣り人であることは間違いない。ブラックバスやブルーギルといった外来魚が水域にいることによって利益を受けるのは、釣り具メーカーやレンタルボート店、フィッシングガイドといった釣り関連業界である。業界団体として、こうしたイメージを改善するために外来魚有効利用釣り大会などの駆除イベントを実施しているものの、イベントの参加者は主催者が誰かといったことは気にしていなかった。そこで、主催者が誰であるか参加者に一目でわかるように、PRの方法を工夫する必要があると考える。 また、少数の心ない釣り人の行動は、ブラックバス釣りを行う釣り人全体のイメージダウンにつながるため、業界団体としての取り組みに加え、琵琶湖で釣りを行う全ての人の意識を変えていくことが重要であると考えられる。
 なお、釣り人の外来魚問題に対する意識が高いことからも、生きたまま回収するいけすを湖岸に増設すれば、生き物を殺すことへの抵抗が軽減されるため、リリース禁止にむけてさらなる協力を促すことが可能ではないかと考えられる。また、影響力の強いバスプロらによって、琵琶湖の環境や生態系の保全を尊重するようなバスフィッシングのルールが作られ、それが実践されれば、釣り人側の社会貢献として広く世間に認知され、一般の釣り人の意識をも変えることができるのではないかと思われる。
 一方で、子供や孫の参加が動機となって外来魚駆除イベントに参加していた地域住民は、外来魚問題に対する認識度が高いことが聞き取り調査から伺うことができた。子供からお年寄りまで気軽に参加でき、楽しみながら行える地域住民参加型の釣り大会形式の外来魚駆除イベントは、地域住民が本来身近である水辺に目を向ける機会となり、琵琶湖の生態系や環境に対する問題意識も芽生えることから、外来魚の駆除を促進する上で有効といえる。このイベントは、簡単に釣れ、かつ生息数も多いとされるブルーギルの駆除に特化した取り組みであり、琵琶湖の生態系を維持していく上でも有効であると考える。

 釣り人自身の引き起こすゴミ投棄等の問題については、全面的に賛同せざるを得ない。これは前回の「琵琶湖のバス釣り有料化?」で述べた通り、厳罰に処してでもやめさせるべきだ。
スポンサーサイト

26.琵琶湖北湖における外来魚ブルーギルの繁殖生態

(中尾ら(滋賀県立大学);魚類学雑誌,53(1):55-62)

ブラックバスのネストを見たことのある人も多いと思う。私自身は大阪の野池で何回も目撃した。それは50cmほどの浅瀬に直径50~60cmほどの円を描いて、1,2mおきに点在していた。小さな野池だったのでそれ程多くはない数であったが、時にはバスが1匹、ある時は2匹が張り付いていた。
そんな個人的な思い出レベルの話ではこのHPに相応しくないので、文献調査を行った結果の一つが「14.移植されたコクチバスの繁殖特性」であった。
http://longislandclub.blog.fc2.com/blog-entry-26.html
ではブルーギルはどのような繁殖生態を示すのか? 本論文で詳しく述べられている。
例によって文献は抜き出して紹介しており、それらは黒字で、私のコメントは青字で示した。


ブルーギル lepomis macrochirusはサンフィッシュ科に属するアメリカ大陸中東部原産の淡水魚で日本に持ち込まれたのは1960年である。1990年代半ば、特に琵琶湖南湖で爆発的に増加した。
原産地である北米では本種の繁殖に関する研究例は比較的多い。それらによると,本種は繁 殖に際して産卵床を作り,卵と仔魚の保護を行う。さらに,産卵床は集合してコロニーを形 成する(Swingle and Smith,1943;Gross,1982)。コロニーを構成する産卵床の数は,時には400-500に達する(Swingle and Smith,1943)。ブルーギルの卵・仔魚は,他のサンフィシュ科魚類やイクタルルス科のナマズBrownbullhead Ameiurus nebulosusなどにより捕食される場合
がある(Gross and MacMillan,1981)。一方,琵琶湖では,ブルーギルのコロニーは,大きくても数 十産卵床程度から成るとの報告がある(服 部,1997)。また,日本には本種の卵・仔魚を捕食するようなサンフィッシュ科魚類は同種以外には存在しないため,本種の繁殖を取り巻く種 内および種間関係は原産地と大きく異なると予想される。
そこで本研究では潜水による直接観察により,これまでに十分に明らかにされていない琵琶湖のブルーギルの繁殖時期やコロニー形成,あるいはコロニーあたりの産卵床数,産卵場所 などの基礎的な知見を蓄積するとともに,季節や水温変化に伴う産卵床保護期間の変化や コロニーサイズと繁殖成功との関係を明らかにすることを目的とした。

琵琶湖・北湖の北端部に位置する通称"奥出湾"(滋賀県伊香郡西浅井町菅浦地先)の南西端の 小湾(136゜7'31"E,35028'35"N)で調査を行った(Fig.1)。調査地の湖岸および湖底の底質は,主 に礫や砂礫で構成されていた。湖岸から沖合いに向かって2-3mの範囲は水深1m以浅の,比較的ゆるやかな傾斜(斜度20°程度)の礫底が岸に沿って帯状に広がっていた。その沖側に は急勾配(斜度45゜程度)の礫斜面が続き,水深4-6m付近で再び緩やかな勾配(斜度20゜程 度)となり徐々に泥底へと移行していた。また,"谷"状の地形の箇所には,落葉枝による厚い 堆積層が形成されていた。湖岸沿いには数カ所,水位上昇時に冠水する陸生植物や,小規模 な抽水植物群落が生育していた。水深約6m以浅のほぼ全域に,センニンモPotamogeton maackianus,フサモMyriophyllum verticillatum,エビモPotamogeton crispus,コカナダモ
Elodea nuttalliiなどから成る沈水植物群落が発達していた。

26-Fig1.jpg


調査は2002年および2003年の5月下旬から9月上旬にかけて実施した。
本研究では,保護雄が卵・仔魚を保護しているのが観察された場所を産卵床と定義し,産卵 床が集合した状態をコロニーとした。データ解析に際しては,単独で存在した産卵床も便宜上コロニーとして扱った。コロニーが形成された場所を産卵場所(A,B,Cなど)とした。スノーケリングまたはスクーバ潜水により差し渡し約100mの小湾内を岸伝いに巡回し,産卵状況の観察を行った。

ブルーギルの仔魚は卵黄吸収を終え自由遊泳期に達すると産卵床を離れ,保護雄も産卵床を去る(Gross and MacMillan,1981など)。そこで本研究では,仔魚が卵黄吸収を終え遊泳可能な状態に達して産卵床内から泳出し,保護雄も確認できなくなった場合,繁殖成功と判断した。それ以前の発育段階で卵・仔魚が確認できなくなった場合は繁殖失敗と判断した。

調査結果はTable.1にまとめられている。すなわち産卵のピークは6月10および20日、ネスト数380および192、1コロニー当りのネスト数は6.9および6.2、雄による保護期間は平均8.3日となっている。


26-table1.jpg

Fig.2には日毎のネスト数と水温の変化を図示している。ネスト数はスポーニング初期の6月上旬が最も多く、8月まで漸減していく。筆者は2003年の7月上旬に一時的にネスト数が減少しているのは、同時期にまとまった降雨があったため湖底に湧き水が増え、水温が局地的に低下したためと見ている。Fig.2に示した水温は湖底ではないため、そのような変化が捉えられていないものと考えている。


26-Fig2.jpg

Fig.4に、日毎のコロニーサイズを示す。
2002年のコロニーサイズ(コロニーを構成する産卵床の数)は1-48(n=55)産卵床であり,平均(±標準偏差)は6.9±8.7産卵床であった(Table1)。2003年は1-31(n=31)産卵床で,平均6.2±7.9産卵床であった。両年とも30産卵床を越える大きなコロニーは,繁殖期初期である6月から7月初めにかけて形成された。

26-Fig3.jpg

ブルーギルが保護を行うのは仔魚が浮上するまでで(中村ほか, 1969;Morgan,1951;Gross and MacMillan,1981;Gross,1982),その期間は4-9日(中村ほか,1971),あるいは7日(Gross and Mac Millan, 1981)などとされている。本研究で確認された,繁殖に成功した産卵床における保護期間は5-10日間で,従来の知見より保護期間に幅がみられた。また,水温上昇に伴 う保護期間の短縮が示された。中村ほか(1971)によると,孵化後,仔魚が浮上するまでの時間は18.50Cで138時間,24.5℃で90時間, 28.5℃で64時間と,水温の上昇とともに短縮される。本研究でも,繁殖期初期には後期仔魚期まで成長するのに10日程度かかっていたが,繁殖期後期では4-5日にまで短縮される様子が観察された。
以上のことから,今回観察された保護期間の短縮は,水温上昇にともなって卵・仔魚の成長 が早まり,浮上までの期間が短くなったためと推察される。
繁殖期初期は保護期間が長いため,後期と比較してより多くの繁殖努力が必要となる。にもかかわらず,産卵の最盛期は初期であった。Shoup and Wahl(2003)によると,初期に産まれ,最初 の冬までにより大きく成長したブルーギルの0歳魚は,後期に産まれてより小さな個体よりも冬期の生存率が高い。つまりブルーギルにとって早期に産卵することは,子の生存率を通 じて個体の適応度を高める上で有利にはたらくと考えられる。このため,繁殖期初期に産卵 の最盛期を迎えるのかもしれない。

多くのコロニーで,1-2日間に集中して産卵が行われる傾向が確認された。このような同時性(synchrony)については,原産地である北米のブルーギルにおいても観察され,その意義が考 察されている。北米ではブルーギルや同属のPumpkinseed Lepomisgibbosus,あるいは両種の 交雑個体,ナマズ目のBrown bullheadやYellowbull
head Ameiurus natalisなどがブルーギルの卵・仔魚を捕食し,特に2種のナマズ類はしばしば 産卵床内の卵・仔魚を全て食べてしまうことが報告されている(Gross and MacMillan,1981)。これに対しブルーギルのコロニー内での産卵の同時性は捕食者に対する防御効果,あるい は捕食の際の希釈効果を増大させ,またコロニー間での同時性は繁殖に参加する個体が増 加することで,捕食者となりうる同種個体の数を減少させる効果がある(Gross and MacMillan,1981)。
琶湖北湖ではヨシノボリ類Rhinogobius spp.がブルーギルの卵を捕食しているとの報告が あり(服部,1997),本調査地でもヨシノボリ類,ヌマチチブTridentiger brevispinis,ビワヒガイsarcocheilichthys variegates micmoculus,オイカワZaccop latypus,そしてブルーギルによる捕 食がみられたが,中でもブルーギルによる捕食が最も多く観察された(中尾,未発表データ)。捕食者の種構成は原産地と大きく異なるものの,琵琶湖のブルーギルの保護雄も北米のブルーギルやハリヨの場合と同様,同時的な産卵によって捕食者に対抗したり,安定した個体 間関係を構築することで,繁殖成功率を高めていると考えられる。

従来,日本の水域にブルーギルが定着できた一要因として,繁殖に際し卵・仔魚の保護を行 う点が指摘されてきた(寺 島,1977;横 川,1992)。本研究の結果から,さらに,本種がコロニー を形成するという繁殖生態をもつことにより,在来種あるいは同種からの卵・仔魚の捕食が軽減され,その結果,繁殖成功率がより高められていることが示唆された。このような繁殖様式が,琵琶湖をはじめとする日本各地の水域で本種が爆発的に増加した一要因と考えられる。

25.北浦の水層構造の数値解析

(北澤(東京大学),小松(茨城県霞ケ浦環境科学センター);生産研究速報60巻1号,2008)

 秋が深まって来た。我々、湖を主戦場とするバサーにとっては、盛夏の高水温から回復したバス達が盛んにベイトを追ういい季節になって来た。しかし並行して、いやな季節も近づいてくる。それはFall Turn Over。表層部の水温低下と共に湖の上下水層が入れ替わるアレである。日本最大の湖:琵琶湖のFall Turn Overについては、「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で詳しく紹介した。
では我がメインレイク、北浦ではどうなのか? ちゃんと解析してくれています。

 北澤らは、琵琶湖で行われた解析と同様の方法により、北浦の流動場、密度場を3次元解析した。いつものように私のコメントは青字、著者の論文は黒字で示す。

 図2に北浦の格子分割方法を示す。水平方向に500m、鉛直方向に50cmの格子で分割し、最大水深は8mとしたため、最大で16層に分割した。各格子において、流速と圧力、密度の変数をスタッガードに配置し、2.1の基礎方程式を有限差分法により解いた。
 タイムステップは30秒とした。計算期間は2006年3月1日~9月30日とし、風摩擦、熱フラックスの条件を計算するための気象データとして水戸、館野の気象観測データおよび釜谷沖の風向、風速データを用いた。また計算結果と比較をを行うための観測結果として、江川沖の水温データと阿玉沖の流速データを用いた。

25-Fig2.jpg

 図3に2006年6月20日~9月30日の江川沖(水深約7m)の水温観測値と計算値との比較を示す。
6月から7月にかけては、観測結果、計算結果ともに比較的長期間にわたって表層と底層とで水温差が生じていた。特に6月20日から7月5日までは、安定な成層が形成され、表層と低層とで最大約4℃の差が見られた。図4に、2006年6月20日~9月30日のバルク法により推定された湖面での熱フラックス流入量と風速の変動を示す。6月20日から7月5日にかけて、湖面への熱フラックス流入量は多く、7月5日に熱フラックスが流出(冷却)に転じたことで、コメンが冷却され、成層が一時的に消滅した。しかしながら、その後は再び湖面への熱フラックス流入量は多い時期が続き、7月18日頃まで比較的長期間の成層が形成された。
 一方、8月になると成層構造が長期間維持されることはまれになり、日成層、または数日間の成層が形成されるにとどまっていた。これは、低層の水温が成層期初期より少しずつ上昇し、6~7月は表層と底層の水温がほぼ同じ温度になるためである。
 9月になると、日成層もほとんど観測されなくなり、水温は鉛直方向にほぼ均一となる。特に、9月13日頃に、強い風と湖面冷却の進行により、湖水の鉛直混合が強まると共に、数日間で水温が5℃程度も低下した。これらの水温変化の特徴は数値シミュレーションによって概ね再現された。

25-Fig3.jpg
25-Fig4.jpg

 ちょっと意外じゃない? いわゆるサーモクラインは夏の初めまでで、8月にはむしろ解消しているんだ。真夏は底層の水温の低い層にバスはいるって思いこんでいませんでした? 少なくとも北浦の底層は、水温は高いは酸素は薄いは、いい事ないみたいだよ。

 図5に、2006年8月28日~9月6日までの阿玉沖(水深約4.5m)表層と底層の南北方向流速変動を示す。計算結果においては、表層では風の向きとほぼ同じ方向に流れが生じ、底層では表層と逆向きの流れが形成された。流速は最大で0.2m/s程度であった。一方、観測結果は、10分ごとのでーたであるため高周波の変動があるが、計算結果と同様に表層と底層とで逆向きに流れが生じる様子が見られた。
 流速計測が行われた阿玉沖は、その北側から巴川と鉾田川が流れ込み、かつ湖底が勾配を持つ水域であるため、流れが河川からの密度流の影響を受けた可能性がある。

25-Fig5.jpg

 図6に2006年6月30日、9月6日の阿玉沖を通る長手方向鉛直断面の流速、水温分布を示す(右側が概ね北の方向)。6月30日は比較的長期的な成層が形成されている時期であった。この時は南寄りの風により表層では北向きの流れが生じ、また比較的温度が高い水が風下側に拭き寄せられるため、北側では水温が高くなった。さらに中層と底層では表層と逆向きの流れが生じており、湖内の水収支と保っていた。一方9月6日は、成層が消滅し、湖内全域の水温がほぼ30℃となっていた。北寄りの風が吹いたことによって、表層水が南向きに流れ、中層水と底層水は北向きに流れていた。いずれの場合においても、鉛直断面においては鉛直循環流が見られ、水平流速は0.1m/s程度、鉛直流速は0.1mm/s程度となっっていた。
 成層が存在している場合は、成層面での鉛直方向の運動量輸送が抑制されるため、表層と底層とで逆向きの流れが生じやすく、鉛直循環流が湖全体で発達しやすい傾向にあった。このように成層面の有無は鉛直循環の形態に影響を及ぼし、日成層が形成される浅水湖においてはその重要性が増すものと考えられる。

25-Fig6.jpg

 成層構造の変化は、北浦における貧酸素水塊の形成や消失に関与すると思われ、実際に北浦の複数の地点で6~7月に底層水が貧酸素化し、8月に回復する様子が観測されている。このような水質変化を再現し、流動場モデルと低次生態系モデルを結合した数値モデルにより、富栄養化や底層水の貧酸素化のメカニズムを解析する必要がある。


 この表層と底層の水平流の違いは憶えておいて損はない。底層において常時0.2~0.4m/sの流れが存在しているって事は、バスやベイトの動き、水草や水底の沈殿物・土砂の状態に間違いなく影響する。「ロッキンチェアー アングラーの1日 Vol.2」で検討した通りだ。
 そしてこれから湖はFall Turn Overの時期を迎える。バスもベイトもちょっと元気をなくす季節だが、だからこそ狙い処は絞り込める。頭を使おう、頭を!

24.茨城県北浦の沿岸帯におけるチャネルキャットフィッシュの摂餌特性

( 遠藤(茨城大学)ら,水産増殖(Aquacult. Sci.)63(1),49-58(2015))

 今やバス以上の嫌われ者になったチャネルキャットフィッシュは、1970年代に持ち込まれ、江戸川で確認された1982年以降は徐々に利根川水系へと拡大していった。バス同様に日本在来種の生態系を乱し水産業に打撃を与えているばかりか、胸鰭・背鰭のとげで人が負傷したり、網等が破損したりする被害も出ている。
 その嫌われ者は湖で何を食べているのか、茨城大と東京大による共同調査が行われた。


 本研究では 沿岸部に生息するチャネルキャットフィッシュの摂餌特性を調査することを目的とする。調査地点は北浦東岸の爪木と大船津を選んだ。両地点ともヨシ帯とコンクリート垂直護岸帯で構成されており、それらの岸際から沖に向けて50mの範囲は水深1.2m以浅の砂泥底で構造物のない「解放水面」となっている。

Fig.1 サンプリング位置


 調査は2013年4月から10月に、19:30から21:00にスルメイカを餌として釣獲調査を実施し、追加として投げ網漁を実施した。その結果、釣りで268個体、投げ網で31個体の合計268個体(14.7~59.1cm)を採集した。本研究では夏季(7~9月)に全標本の9割が捕獲された。体長35cm以上の大型個体は釣りだけで採集された。
 各地点の各生息場所で釣獲されたチャネルキャットフィッシュの個体数と体長をTable 1 に示す。30分当たりの釣獲個体数の平均値±標準偏差は,爪木のヨシ帯では0.5±0.3個体,護岸帯では0.2±0.2個体,開放 水面では0.5±0.3個体であり,護岸帯よりもヨシ帯または開放水面の方が明らかに多かったが(Wilcoxon signed-ranks test,ヨシ帯と護岸帯, z=-3.00, P < 0.017; 開放水面と護岸帯,z=-2.48, P < 0.017),ヨシ帯と開放水面との間では有意な差は見られなかった(ヨシ帯と開放水面, z=-0.32, P=0.75)。

Fig.2 採集されたチャネルキャットフィッシュの体長分布


 回りくどい言い方だが早い話、ナマズは護岸帯ではなくヨシ帯か開放水面に多くいたと言うことだ。
 
 調査期間中に採集されたチャネルキャットフィッシュ268個体のうち,91個体(34.0%)が空胃であり,胃充満度指数の平均±標準偏差は0.46±1.09であった。本種の胃内容物中に出現した餌項目は,小型魚類(タモロコ Gnathopogon elongatus elongatus, ワカサギ Hypomesus nipponensis, クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius,ブルーギル Lepomis macrochirus macrochirus,モツゴ Pseudorasbora parva,タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus,ヌマチチブ Tridentiger brevispinis の7種で,とくにヌマチチブとモツゴが大半を占めた),大型魚類の断片(ハクレン Hypophthalmichthys molitrix やコイ Cyprinus carpio などの大型コイ科魚類の肉片や鱗,骨,卵巣など),底生・半底生甲殻類(ニッポンドロソコエビ Grandidierella japonica,テナガエビ Macrobrachium nipponense,イサザアミ Neomysis awatschensis,アメリカザリガニ Procambarus clarkii),水生昆虫(コガタシマトビケラ Cheumatopsyche brevilineata,オオユスリカ Chironomus plumosus,ツヤユスリカ属の一種 Cricotopus sp.,カマガタユスリカ属の一種 Cryptochironomus sp.,メスグロユスリカ Dicrotendipes pelochloris,ハイイロユスリカ Glyptotendipes tokunagai,オオミドリユスリカ Lipiniella moderata のユスリカ類6種のほか,ミズアブ類 Stratiomyidae や ガガンボ類 Tipulidae など) ,陸上昆虫(コウチュウ類 Coleoptera,カメムシ類 Hemiptera,ハチ類 Hymenoptera,バッタ類 Orthoptera),陸上植物片(主にヨシの根や茎) ,貝類,糸状藻類など様々であった (Table 2)。

Table.2 摂餌内容物分類

 チャネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中から出現した小型魚類の体長との関係を Fig. 4 に示す。チャネルキャットフィッシュによって捕食されていた小型魚類の体長の平均±標準偏差は,ブルーギルで 2.2±0.4 cm,ヌマチチブで2.7±0.5 cm,モツゴで4.0 ±1.1 cm,タモロコで6.0±0.5 cm,ワカサギで6.0±2.4 cm,クルメサヨリで10.4±1.2 cm であった。
 チャ ネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中に出現した小型魚類の最大体長との間には有意な正の直線関係が認められ(単回帰分析, n=20, r²=0.499, P < 0.001),本種は成長するにつれてヌマチチブやモツ だけでなく,タモロコやワカサギ,クルメサヨリな のより大きな魚種も餌として利用することがわかった。

Fig.3 体長別の摂餌内容物の割合

 ちょっとくどかったかも知れないが、要はキャットの主なエサは魚、特にヌマチチブとモッゴだということ。そしてキャットにこそ「ビッグベイト ビッグフィッシュ」が成り立っているということだ。

 本種は12~3月には水深4~12 mの平場から深場(離岸距離約600~800 m)に主に出現するが, 4~9月には平場から深場だけでなく水深1 m 程度の 浅場(離岸距離約50 m)でもよく出現するようになることが確認されている(半澤・荒山 2007)。
 なお,本種は夜行性で昼間は物陰に隠れる習性があるが(Brown et al. 1970; Hubert 1999),本調査地の沿岸帯にはヨシ帯のごく浅い場所を除いて隠れ家となる構造物がなく,昼間の沿岸帯での地曳網調査では全く採集されないことが知られているため(碓井 ら 2014),夜になって沖側のかけ上がりや石積みの離 岸堤などの休息場からヨシ帯へと摂餌のために来遊している可能性が高い。

Fig.5 捕獲場所別の摂餌内容物の割合

 本研究では,霞ヶ浦での成熟サイズ(体長約39 cm)(半澤・ 野内 2006)を超えた体長40cm 以上の個体で空胃率が52.9%と著しく高いことが確認された。これには,繁殖に関わる個体の摂餌意欲の低下や(Bailey and Harrison 1948),オオクチバス Micropterus salmoides などの他魚種で指摘されているように成長期の若齢魚と比べて高齢魚ではあまり摂餌しなくなること(淀・ 木村 1998)などが関わっている可能性が示唆される。

 やっぱりそうなんだ。デカキャットもデカバスもあんまりエサを食べなくなるんだ。当たり前か。人間と違ってでかい魚はデブな訳ではなく、歳を取っている魚だからね。人間だって若いデブはたらふく食うけど、年寄りはたいして食べない。一緒だな。

23.白樺湖における生物操作に伴う移入種オオクチバスの食性変化

      (河ら(信州大), 陸水学雑誌76:(2015) )

 今回の文献は俺的には色々な意味で衝撃的であった。長野県の白樺湖でも、お馴染のバス害魚論が展開されていたのだが、ここの場合はちょっと事情が違ったみたいだ。「生物操作」って?バスの食性変化って? そんなことが起こるし、そんなことをやっていたんだ。井の頭公園のかい掘り以上にショックだったな・・・
例によって私のコメントは青字で、文献の引用は黒字で示している。



 オオクチバスは魚食魚として知られているが、その食性には柔軟性があり、日本ではヨシノボリ類やワカサギなどの魚類に加え、エビ類、昆虫類など幅広い生物分類群への食害に関する報告がある。
 本研究で調査対象とした長野県白樺湖(36ha,最大水深9.1m)では、密放流によって1985年には既にその存在が確認されていた。白樺湖は1946年に農業用温水溜池として作られた人造湖であり、生息する魚類は公式・非公式を問わずほとんどが放流によって定着したもものである。この湖では2000年に湖水の透明度改善を目的とした生物操作(Biomanipulation)が行われ、その前後で生態系構造が大きく変化した。具体的には、過剰に増えた植物プランクトンの増殖を抑制するため、大型ミジンコ類のカブトミジンコ(Daphnia galeata,体調1.5㎜程度)を放流した。また生物操作以前に数多く生息していたワカサギがカブトミジンコの増殖を抑制することから、ワカサギの捕食者としてニジマスの稚魚5000~8000尾を2000年から2003年まで毎春1回放流した。
 白樺湖の透明度は生物操作実施当初、平均2mだったが、2005年には平均3mを越えるようになった。一方で沿岸帯では透明度の上昇に伴いコカナダモを中心とする水草帯が広がった。

 ここまでで既に4回ほど驚かされた。
1)あの高原に広がる爽やかな白樺湖が農業用溜池だったこと。
2)そこに生息する魚は全部放流だったこと。
3)そして、透明度改善のためにミジンコを放流したこと。
4)さらに、そのミジンコを食べるワカサギを減らすためニジマスを放流したこと。
「生物操作」何という不気味な言葉だ。Bio-manipulationだよ。その裏には恐らくアンブレラ社が暗躍しているに違いない。そしてその目的である白樺湖の水質改善は、別に湖の生態系を守ろうなどという高尚な目的のためではなく、恐らくは観光客目当てであった。ニジマス放流にしても釣り客の増加を見込んだものであることを、当事者自身が認めている。

文献を先に進めよう。


23-Fig_1.jpg

 オオクチバス等の魚類採集はSt.1およびその周辺を中心に1998年8月と2000年6,8,9月に計回行われた。オオクチバスについては個体を実験室で解剖し、胃内容物を取り出して顕微鏡下で観察した。胃内の餌生物を動物プランクトン,水生昆虫,ワカサギ,モツゴに分け、空胃率(VI)と餌生物ごとの餌料出現率 (%F)を算出した。
 
 生物操作後の魚類最終と食性の調査はSt.1,St.2の2地点において、2009年5月から10月にかけて隔週で行われた。オオクチバスの胃内容物の同定は可能な限り下位の分類群まで行ったが、最終的には6つ(カブトミジンコ,ノロ,ユスリカ類,その他水生昆虫,陸生昆虫,魚類)の分類率に分けた。また飼料個体数比(%N)、餌料重量比(%F)を算出した。
 
1999~2000年の4回の漁獲調査では、全長10cmを越える魚類が合計156体捕獲された。
 オオクチバス 80.1%
 ゲンゴロウブナ  5.8%
 コイ 3.8%
 ウグイ 3.8%
 ニジマス 2.3%
 イワナ 1.9%
 アマゴ 1.3%
 シナノユキマス  0.6%
一方、全長が10cm以下の魚類547個体では、
 ワカサギ 80.4%
 オオクチバス 12.4%
 モツゴ 6.8%
 ヨシノボリ類 0.4%

 生物操作後の2009年の漁獲調査では計100個体が捕獲された。そのうち99個体がオオクチバスで、残りの1個体はフナ類であった。

 おっと、放流したニジマスはどこに行ったんだ? 生物多様化どころかバスしかいなくなっちゃったじゃないか。目的のワカサギの絶滅(?)は果たしたようなので、当事者としては成功なのかね。
では、今回の主題であるバスの食性はどうなったのだろうか。


 2009年におけるオオクチバスの胃内容物の餌料重量比(%W)を図2に示す。

23-Fig2.jpg

 オオクチバス個体群の身体サイズ毎の餌料重要度指数(%IRI)を図3に示す。

23-Fig3.jpg

 餌料出現率(%F)が特に高かったのはユスリカ(幼虫と蛹)の91.8%と、カブトミジンコの83.7%で、ノロ(50.0%)や水生昆虫(48.0%)も比較的高かった。魚類は胃内から合計3個体観察された。

 いかがであろうか。生物というもののしたたかさ、強さが如実に現れた調査結果と言える。バスはベイトフィッシュがいなくなればエビや昆虫を、それさえいなければプランクトンを食べて生き延びる。これはおそらくバスに限ったことではないのであろう。でも Match the bait は難しいよ。ミジンコルアーを作るかい?

 そして結果的に生物操作なるものの成果が水質改善には現れたようだ。しかしここで生物学者と行政の手によって行われた事は、本来白樺湖には生息しないカブトミジンコとニジマスの放流という、国内外来種移植だったことを忘れないように。この辺の議論は生物操作が行われた2000年にNHKが放送で取り上げたことから盛んに議論されていたようだ。「生態メーリングリストJECONETの論議」に詳しく記載されているので、興味のある方はリンクを辿ってみられたし。

 他の記事でも書いたが、生態系保護なんて当事者の都合によっていくらでも読み替えることができるのだ。そしてそのあおりを食らうのはいつでも既にそこに生息している生物たちだ。
もういい加減にやめたらどうだ?
バスリンク
バス記事満載、釣りブログはこちら
にほんブログ村 釣りブログ バスフィッシングへ
にほんブログ村 釣りの世界
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。