プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から
バスリンク

24.茨城県北浦の沿岸帯におけるチャネルキャットフィッシュの摂餌特性

( 遠藤(茨城大学)ら,水産増殖(Aquacult. Sci.)63(1),49-58(2015))

 今やバス以上の嫌われ者になったチャネルキャットフィッシュは、1970年代に持ち込まれ、江戸川で確認された1982年以降は徐々に利根川水系へと拡大していった。バス同様に日本在来種の生態系を乱し水産業に打撃を与えているばかりか、胸鰭・背鰭のとげで人が負傷したり、網等が破損したりする被害も出ている。
 その嫌われ者は湖で何を食べているのか、茨城大と東京大による共同調査が行われた。


 本研究では 沿岸部に生息するチャネルキャットフィッシュの摂餌特性を調査することを目的とする。調査地点は北浦東岸の爪木と大船津を選んだ。両地点ともヨシ帯とコンクリート垂直護岸帯で構成されており、それらの岸際から沖に向けて50mの範囲は水深1.2m以浅の砂泥底で構造物のない「解放水面」となっている。

Fig.1 サンプリング位置


 調査は2013年4月から10月に、19:30から21:00にスルメイカを餌として釣獲調査を実施し、追加として投げ網漁を実施した。その結果、釣りで268個体、投げ網で31個体の合計268個体(14.7~59.1cm)を採集した。本研究では夏季(7~9月)に全標本の9割が捕獲された。体長35cm以上の大型個体は釣りだけで採集された。
 各地点の各生息場所で釣獲されたチャネルキャットフィッシュの個体数と体長をTable 1 に示す。30分当たりの釣獲個体数の平均値±標準偏差は,爪木のヨシ帯では0.5±0.3個体,護岸帯では0.2±0.2個体,開放 水面では0.5±0.3個体であり,護岸帯よりもヨシ帯または開放水面の方が明らかに多かったが(Wilcoxon signed-ranks test,ヨシ帯と護岸帯, z=-3.00, P < 0.017; 開放水面と護岸帯,z=-2.48, P < 0.017),ヨシ帯と開放水面との間では有意な差は見られなかった(ヨシ帯と開放水面, z=-0.32, P=0.75)。

Fig.2 採集されたチャネルキャットフィッシュの体長分布


 回りくどい言い方だが早い話、ナマズは護岸帯ではなくヨシ帯か開放水面に多くいたと言うことだ。
 
 調査期間中に採集されたチャネルキャットフィッシュ268個体のうち,91個体(34.0%)が空胃であり,胃充満度指数の平均±標準偏差は0.46±1.09であった。本種の胃内容物中に出現した餌項目は,小型魚類(タモロコ Gnathopogon elongatus elongatus, ワカサギ Hypomesus nipponensis, クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius,ブルーギル Lepomis macrochirus macrochirus,モツゴ Pseudorasbora parva,タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus,ヌマチチブ Tridentiger brevispinis の7種で,とくにヌマチチブとモツゴが大半を占めた),大型魚類の断片(ハクレン Hypophthalmichthys molitrix やコイ Cyprinus carpio などの大型コイ科魚類の肉片や鱗,骨,卵巣など),底生・半底生甲殻類(ニッポンドロソコエビ Grandidierella japonica,テナガエビ Macrobrachium nipponense,イサザアミ Neomysis awatschensis,アメリカザリガニ Procambarus clarkii),水生昆虫(コガタシマトビケラ Cheumatopsyche brevilineata,オオユスリカ Chironomus plumosus,ツヤユスリカ属の一種 Cricotopus sp.,カマガタユスリカ属の一種 Cryptochironomus sp.,メスグロユスリカ Dicrotendipes pelochloris,ハイイロユスリカ Glyptotendipes tokunagai,オオミドリユスリカ Lipiniella moderata のユスリカ類6種のほか,ミズアブ類 Stratiomyidae や ガガンボ類 Tipulidae など) ,陸上昆虫(コウチュウ類 Coleoptera,カメムシ類 Hemiptera,ハチ類 Hymenoptera,バッタ類 Orthoptera),陸上植物片(主にヨシの根や茎) ,貝類,糸状藻類など様々であった (Table 2)。

Table.2 摂餌内容物分類

 チャネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中から出現した小型魚類の体長との関係を Fig. 4 に示す。チャネルキャットフィッシュによって捕食されていた小型魚類の体長の平均±標準偏差は,ブルーギルで 2.2±0.4 cm,ヌマチチブで2.7±0.5 cm,モツゴで4.0 ±1.1 cm,タモロコで6.0±0.5 cm,ワカサギで6.0±2.4 cm,クルメサヨリで10.4±1.2 cm であった。
 チャ ネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中に出現した小型魚類の最大体長との間には有意な正の直線関係が認められ(単回帰分析, n=20, r²=0.499, P < 0.001),本種は成長するにつれてヌマチチブやモツ だけでなく,タモロコやワカサギ,クルメサヨリな のより大きな魚種も餌として利用することがわかった。

Fig.3 体長別の摂餌内容物の割合

 ちょっとくどかったかも知れないが、要はキャットの主なエサは魚、特にヌマチチブとモッゴだということ。そしてキャットにこそ「ビッグベイト ビッグフィッシュ」が成り立っているということだ。

 本種は12~3月には水深4~12 mの平場から深場(離岸距離約600~800 m)に主に出現するが, 4~9月には平場から深場だけでなく水深1 m 程度の 浅場(離岸距離約50 m)でもよく出現するようになることが確認されている(半澤・荒山 2007)。
 なお,本種は夜行性で昼間は物陰に隠れる習性があるが(Brown et al. 1970; Hubert 1999),本調査地の沿岸帯にはヨシ帯のごく浅い場所を除いて隠れ家となる構造物がなく,昼間の沿岸帯での地曳網調査では全く採集されないことが知られているため(碓井 ら 2014),夜になって沖側のかけ上がりや石積みの離 岸堤などの休息場からヨシ帯へと摂餌のために来遊している可能性が高い。

Fig.5 捕獲場所別の摂餌内容物の割合

 本研究では,霞ヶ浦での成熟サイズ(体長約39 cm)(半澤・ 野内 2006)を超えた体長40cm 以上の個体で空胃率が52.9%と著しく高いことが確認された。これには,繁殖に関わる個体の摂餌意欲の低下や(Bailey and Harrison 1948),オオクチバス Micropterus salmoides などの他魚種で指摘されているように成長期の若齢魚と比べて高齢魚ではあまり摂餌しなくなること(淀・ 木村 1998)などが関わっている可能性が示唆される。

 やっぱりそうなんだ。デカキャットもデカバスもあんまりエサを食べなくなるんだ。当たり前か。人間と違ってでかい魚はデブな訳ではなく、歳を取っている魚だからね。人間だって若いデブはたらふく食うけど、年寄りはたいして食べない。一緒だな。

23.白樺湖における生物操作に伴う移入種オオクチバスの食性変化

      (河ら(信州大), 陸水学雑誌76:(2015) )

 今回の文献は俺的には色々な意味で衝撃的であった。長野県の白樺湖でも、お馴染のバス害魚論が展開されていたのだが、ここの場合はちょっと事情が違ったみたいだ。「生物操作」って?バスの食性変化って? そんなことが起こるし、そんなことをやっていたんだ。井の頭公園のかい掘り以上にショックだったな・・・
例によって私のコメントは青字で、文献の引用は黒字で示している。



 オオクチバスは魚食魚として知られているが、その食性には柔軟性があり、日本ではヨシノボリ類やワカサギなどの魚類に加え、エビ類、昆虫類など幅広い生物分類群への食害に関する報告がある。
 本研究で調査対象とした長野県白樺湖(36ha,最大水深9.1m)では、密放流によって1985年には既にその存在が確認されていた。白樺湖は1946年に農業用温水溜池として作られた人造湖であり、生息する魚類は公式・非公式を問わずほとんどが放流によって定着したもものである。この湖では2000年に湖水の透明度改善を目的とした生物操作(Biomanipulation)が行われ、その前後で生態系構造が大きく変化した。具体的には、過剰に増えた植物プランクトンの増殖を抑制するため、大型ミジンコ類のカブトミジンコ(Daphnia galeata,体調1.5㎜程度)を放流した。また生物操作以前に数多く生息していたワカサギがカブトミジンコの増殖を抑制することから、ワカサギの捕食者としてニジマスの稚魚5000~8000尾を2000年から2003年まで毎春1回放流した。
 白樺湖の透明度は生物操作実施当初、平均2mだったが、2005年には平均3mを越えるようになった。一方で沿岸帯では透明度の上昇に伴いコカナダモを中心とする水草帯が広がった。

 ここまでで既に4回ほど驚かされた。
1)あの高原に広がる爽やかな白樺湖が農業用溜池だったこと。
2)そこに生息する魚は全部放流だったこと。
3)そして、透明度改善のためにミジンコを放流したこと。
4)さらに、そのミジンコを食べるワカサギを減らすためニジマスを放流したこと。
「生物操作」何という不気味な言葉だ。Bio-manipulationだよ。その裏には恐らくアンブレラ社が暗躍しているに違いない。そしてその目的である白樺湖の水質改善は、別に湖の生態系を守ろうなどという高尚な目的のためではなく、恐らくは観光客目当てであった。ニジマス放流にしても釣り客の増加を見込んだものであることを、当事者自身が認めている。

文献を先に進めよう。


23-Fig_1.jpg

 オオクチバス等の魚類採集はSt.1およびその周辺を中心に1998年8月と2000年6,8,9月に計回行われた。オオクチバスについては個体を実験室で解剖し、胃内容物を取り出して顕微鏡下で観察した。胃内の餌生物を動物プランクトン,水生昆虫,ワカサギ,モツゴに分け、空胃率(VI)と餌生物ごとの餌料出現率 (%F)を算出した。
 
 生物操作後の魚類最終と食性の調査はSt.1,St.2の2地点において、2009年5月から10月にかけて隔週で行われた。オオクチバスの胃内容物の同定は可能な限り下位の分類群まで行ったが、最終的には6つ(カブトミジンコ,ノロ,ユスリカ類,その他水生昆虫,陸生昆虫,魚類)の分類率に分けた。また飼料個体数比(%N)、餌料重量比(%F)を算出した。
 
1999~2000年の4回の漁獲調査では、全長10cmを越える魚類が合計156体捕獲された。
 オオクチバス 80.1%
 ゲンゴロウブナ  5.8%
 コイ 3.8%
 ウグイ 3.8%
 ニジマス 2.3%
 イワナ 1.9%
 アマゴ 1.3%
 シナノユキマス  0.6%
一方、全長が10cm以下の魚類547個体では、
 ワカサギ 80.4%
 オオクチバス 12.4%
 モツゴ 6.8%
 ヨシノボリ類 0.4%

 生物操作後の2009年の漁獲調査では計100個体が捕獲された。そのうち99個体がオオクチバスで、残りの1個体はフナ類であった。

 おっと、放流したニジマスはどこに行ったんだ? 生物多様化どころかバスしかいなくなっちゃったじゃないか。目的のワカサギの絶滅(?)は果たしたようなので、当事者としては成功なのかね。
では、今回の主題であるバスの食性はどうなったのだろうか。


 2009年におけるオオクチバスの胃内容物の餌料重量比(%W)を図2に示す。

23-Fig2.jpg

 オオクチバス個体群の身体サイズ毎の餌料重要度指数(%IRI)を図3に示す。

23-Fig3.jpg

 餌料出現率(%F)が特に高かったのはユスリカ(幼虫と蛹)の91.8%と、カブトミジンコの83.7%で、ノロ(50.0%)や水生昆虫(48.0%)も比較的高かった。魚類は胃内から合計3個体観察された。

 いかがであろうか。生物というもののしたたかさ、強さが如実に現れた調査結果と言える。バスはベイトフィッシュがいなくなればエビや昆虫を、それさえいなければプランクトンを食べて生き延びる。これはおそらくバスに限ったことではないのであろう。でも Match the bait は難しいよ。ミジンコルアーを作るかい?

 そして結果的に生物操作なるものの成果が水質改善には現れたようだ。しかしここで生物学者と行政の手によって行われた事は、本来白樺湖には生息しないカブトミジンコとニジマスの放流という、国内外来種移植だったことを忘れないように。この辺の議論は生物操作が行われた2000年にNHKが放送で取り上げたことから盛んに議論されていたようだ。「生態メーリングリストJECONETの論議」に詳しく記載されているので、興味のある方はリンクを辿ってみられたし。

 他の記事でも書いたが、生態系保護なんて当事者の都合によっていくらでも読み替えることができるのだ。そしてそのあおりを食らうのはいつでも既にそこに生息している生物たちだ。
もういい加減にやめたらどうだ?

22.仮説:デカバスは子バス淘汰が生み出す

今回は100%私のオリジナル説だ。大うそかも知れないのでご了承を。

今釣れているバスの平均サイズが大きいのはどこだ? 安定して毎週50upが上がり、60の可能性を感じさせるレイクは? 琵琶湖、もちろんだ。池原、まだイケてる。あとは関東なら亀山、津久井くらい。霞、北浦はペケ。河口湖はナチュラルじゃない。芦ノ湖もなあ。西はどう?早明浦くらいしか知らないな。
それはなぜ?なんで霞や北浦なんていう、いかにもバスの好みそうな湖に巨大魚がいない、育たないのか。逆に亀山や池原なんていう、元来バスが生息していた場所とは異なると思われる環境の小さな湖で、デカバスが育ったのか。今回はそこを謎解きしていこう。

まず巨大なバスが育つための条件を推定しよう。
 1)適度な水温・水質
 2)豊富なエサ
 3)外敵および競合者がいない
 4)人間に釣られない、取られない

1) 2)は当然だ。琵琶湖はバスには最高だろう。が、前述の霞・北浦だって適しているだろう。逆に今の琵琶湖は4)がネックになるな。今後は釣られたデカバスが駆除されてしまうのか、リリースされるのかに掛かってくる。で、池原・亀山はどうなの?もともとフロリダやネバダの沼に棲んでいたはずのラージマウスバスにとって、急深でクリアな水は最適とは言えない。それに小さなダム湖に生息している小魚もそんなに豊富にいるのか?じゃあ何が奴らをあんなにデカくしたんだ? 4) の優位性はあるだろう。まだ琵琶湖以外のメジャーなバスレイクで、明確にリリース禁止をうたった自治体はないと認識している。

さて本論。私の結論は3)の優位性だ。何が優位なのか?己のコンペティターが少ないためだと推察している。バスにとって餌をとったり産卵をしたりという、生きていくための最大の競合者は誰か。言うまでもなくバス自身だ。日本のヤワな湖ではバスは食物連鎖の頂点に立っている。まあ空の上やボートの上からは狙われているんだけどね。その中でより多く餌を捕食してデカくなるためには、実は他のバスがジャマなのだ。
でも水の中はどうだったか。一時期の北浦なんてベイトの数より子バスの方が多いくらいに思えたくらいだ。そう、バスは増えすぎてしまったのだ。霞・北をはじめとする多くの湖では、その湖の生態的なポテンシャルを越える所までバスは増えてしまった。ギルと子バスだらけになってしまったのだ。それはバスやギルの、ネストを作って親魚が卵や稚魚を守るという、日本在来魚にはなかった生態によるところが大きい。生存競争の苛烈な彼らの故郷では、そのような生物的戦略が不可欠だったのだ。しかし日本では?いわば過大な自己防御手段だ。それが増えすぎるバスを生み、己自身に苛烈な生存競争を作り出した。そんな状況で巨大なバスに育っていくか。難しいだろうな。

では前述のデカバスレイクは何が他の湖と違うのか? 私は大胆な仮説を立てた。
・湖の水位の変化がネストにいる卵や稚魚を減らし、子バスを少なくしている。
・これがバス自身の競合者を少なくさせ、デカバスにまで育つ環境を作った。

デカバスレイクは全て水位調整を行っているダムまたは水門を持っている。あの琵琶湖でさえ水利や洪水防止のために瀬田川洗堰 や琵琶湖疎水を調節し、最大で2mほどの水位変化をもたらしている。他のダム湖は言わずもがな。その水位変化の季節パターンは大まかに
 冬:小雨または雪による湖への流入量減によって、水位は低下
 春:雪解けと共に徐々に水位は上昇
 梅雨前:洪水に備え水位を低く調整
 夏前:夏の水需要に合わせて水位を上げる
 夏~秋:徐々に水位低下
琵琶湖の水位変化については、水資源機構のHPを参照されたし。
これがダム湖ではもっと極端になる。下図は早明浦ダムの水位変化を示すが、5月から6月にかけて水位がガクンと落ちているのが分かる。

早明浦2012

この時期にバスは何をしているのか。そう、子育ての真っ最中なのだ。もう産卵は終え孵化もしているかもしれない。だが親バスの元を離れるにはまだ早い。ネスト内でじっとしているはずの稚魚に容赦なく水位低下が襲い掛かる。で多くの稚魚は取り残されるであろう。子バスは駆逐されるのだ。
湖の水位低下が子バス駆除に繋がる件については、既に、「13.さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響で紹介している。前述のデカバスレイクは、知らないうちにこの水位調整による子バス駆除を行っているのだと推察した。現に津久井湖では最高のスポーニングエリアである沼本ワンドが、4月に満水だった水位が5月には干上がるほど減水している。ネストは全滅だろう。
逆の現象が起きたのが、「21. 稚魚まで食べるブラックバスの駆除も“リバウンド現象”で稚魚が急増だったのであろう。自然とはなんとも皮肉なもんだ。

ねっ、だから言ったでしょ。子バスなんてこれ以上増えなくっていいんだよ。バス釣りはもっと難しくっていいんだって。
ネストは撃つべしっ!

21. 稚魚まで食べるブラックバスの駆除も“リバウンド現象”で稚魚が急増

2017/5/20のサンケイWESTのこの記事を読んだ人も多いだろう。琵琶湖内湖の曽根沼で滋賀県水産試験場が行った駆除調査において、オオクチバス成魚の駆除後に稚魚が駆除前よりも増えてしまったという記事だ。その元ネタは以下の調査報告書だった
「琵琶湖における外来魚駆除技術の開発と内湖における 駆除効果の評価 」


内容はサンケイ記事の通りのところもあるが、一部読者の猜疑心というか反感を煽り立てているような部分もあるのはさすがサンケイ。私は報告書の通りに記載する。

曽根沼は琵琶湖周辺に点在する内湖の一つで、彦根市三津屋町に位置する水域面積 21.6ha の沼である(図 23)。水深は最大でも 2.5m であり、全体的に浅い。、2003 年より漁業者により外来魚の駆除が開始された。また、同時に当場による魚類相調査や駆除調査を継続的に行っており、現在まで約 9 年間の駆除データが蓄積した。
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9 年間を通じたオオクチバスの駆除の状況は 2003~2007 年と 2008~2011 年の 2 期に大別される。2007 年までは、小型定置網やブルーギルを対象とした釣りで捕獲される小型~中型魚の駆除が主体であり、タモ網による稚魚の捕獲などの繁殖抑制も行っていない
2008 年からはオオクチバス中心の駆除を開始し、繁殖抑制としては、産卵期前後の電気ショッカーボート(以下、EFB)での親魚の駆除を中心として、その後浮上した稚魚群のタモ網による駆除も行った。また、年間を通じて小型定置網による小型魚の駆除、遮光型カゴ網による中型魚の駆除を行い、全てのサイズを駆除対象とした。
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繁殖抑制の効果を検討するため、指標として 6~12 月に計 12 回実施した小型定置網によるオオクチバス当歳魚捕獲尾数の推移を検討すると(図 26)、2002 年から年々増加傾向が見られ、2008 年に最も高くなった。この年はEFB を初めて実施した年であったが、EFB での駆除中にすでに浮上稚魚群が多数みられていたために、かえって稚魚への成魚による捕食圧が低減したことも要因の一つと思われる。これらを防ぐために 2010 年、2011 年は産卵期前(4 月中旬)に EFB を集中的におこなった。その結果、タモ網による稚魚の捕獲尾数は、2009 年は 93,900 尾であったが、2011 年は 42,500 尾と半数以下となり、また当歳魚の発生レベルも調査開始以来、最も低い水準で抑制されていた(図 26)。
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報告書では産卵期前の制御捕獲により稚魚の捕獲尾数は半数以下となり、稚魚数抑制の効果があったことを示している。これに対してサンケイ記事では、
「電気ショックは成魚に一定の効果のあるものの、体の小さい稚魚には効きにくい。また並行して進める網での捕獲では、稚魚が網の目をすり抜けてしまうことが多く、決定打になっていないのが実情だ。」
とまとめていて、対策がないことを危惧し、読者の反感を煽っている。表現にしたって「稚魚まで食べる」ことが悪魔の所業のような書き方だが、魚はみんなそうなのよ。ウチで飼っている小さな熱帯魚だって、ほっとけば水槽で生まれた稚魚を食べちゃうよ、知ってるサンケイさん?

外来魚の弊害はよく分かっていますよ、サンケイさん。我々まっとうなバサーだって、それは理解している。でも誇張やウソは報道機関としてはイケナイんじゃないですか。慰安婦問題にしたって、朝日だけじゃなくサンケイも誤報ねつ造に絡んでいましたよね?

20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化

(碓井ら;日本水産学会誌 81(6)964-972 (2015) )

東京大学、茨城大学、茨城県水産試験が共同調査した本研究は、北浦のヨシ原に生息する魚類の構成を年間を通して調査し、その季節変化を追跡したものだ。Match the bait を標榜するバサーなら知っておいて損はないよ。
例によって論文に記載されている内容は黒字で、私のコメントは青字で表示した。


ヨシを主要な構成種とする抽水植物群落(以下、ヨシ原)は日本国内の湖沼や河川下流域の典型的な水辺植生であり、多種多様な魚類が出現する場所である。抽水植物帯は、沈水植物帯と比べて水中での構造的な複雑性が小さいものの、沈水植物帯と同じように魚類の餌場や捕食者からの避難場として機能していると言われている。最近では保障の岸際がコンクリートで護岸されてヨシ帯が消失すると。7魚類の種多様性と総個体数の低下が起きることが報告されている。
本研究では,霞ヶ浦を構成する湖の一つである北浦に 残存する典型的なヨシ帯において,小型地曳網による 2年間の定量採集を行い,ヨシ帯に出現する魚類の種数, 個体数,種組成,体長といった魚類群集構造の季節的変化を明らかにしたので,ここに報告する。

かつて北浦の湖岸全域には広大なヨシ帯がみられたが,1971 年からの霞ヶ浦総合開発事業の干拓や埋立て,護岸整備によりヨシ帯の多くが直接的に破壊された。近年でも,治水利水のために高水位管理が行われている時期には,波浪による浸食作用などが原因でヨシが倒壊し,ヨシ帯の劣化や消失が続いている。現在,北浦のヨシ帯は流入河川の河口付近や入り江の湾入部など,波浪の影響を受けにくい場所にわずか に存在するのみとなっている。
本研究では,北浦の西岸に位置する宇崎地先のヨシ帯 を調査地に選定した(Fig. 1)。本調査地は入り江の湾入部に位置しているため,波浪の影響を受けにくく,湖岸線に沿って長さ800 m 程度の大きなヨシ帯が存在している。また,水深は1m以浅で,底質は砂泥である。調査地から400 mの位置には,小規模な河川(雁通川)が流入している。

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ヨシ帯に出現する魚類の季節変化を明ら かにするために,2009 年 4 月から2011 年 3 月にかけ て,宇崎のヨシ帯前縁において(Fig. 1),毎月1 回の 頻度で日中に魚類の採集を行った。採集には小型地曳網 (袖網長4m,高さ1m,目合2 mm×2 mm胴網部の 長さ4m,目合 1 mm×1 mm)を用いた。
ヨシ帯において,小型地曳網により採集した魚類の種数と総個体数および優占種の個体数は,1 曳網(80m2)あたりの平均値で示した。

調査地のヨシ帯における水温,電気伝導度,濁度,溶存酸素量の経月変化をFig. 2 に示した。電気伝導度の平均値は0.18~0.33 mS/ cm の間で推移し,水温と同じように夏季に高く,冬季に低くなる傾向がみられた。一方,濁度溶存酸素量の平均値は,調査期間中それぞれ約18~57NTU と 7.5~14.8 mg/L の範囲で変動し,季節的な変化は認められなかった。

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調査期間を通して採集された魚類は, 9 科 22 種 13,892 個体であった(Table 1)。科別の種数はコイ科が9 種と最も多く,次いでハゼ科の5 種で, 残りの7 科では1 種もしくは2 種のみであった。個体数では,ハゼ科が8,873 個体と最も多く,全体の63.9%を占め,次いでサンフィッシュ科(2,781 個体,20.0 %),シラウオ科(1,161 個体,8.4%)であった。最も優占した種はヨシノボリ属の一種Rhinogobius sp. で全採集個体数の47.1%を占め,次いでブルーギルLepomis macrochirus macrochirus(19.8%),ヌマチチブ Tridentiger brevispinis ( 12.5 %), シラウオSalangichthys microdon(8.4%),ウキゴリGymnogobius urotaenia(3.6%),モツゴPseudorasbora parva(2.9%),ワカサギHypomesus nipponensis(2.0%),クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius(1.4%)であった(Table 1)。これらの 8 種で全採集個体数の 97.7% を占めた。
優占種上位8 種の個体数密度の経月変化をFig. 4 に示した。
ヨシノボリ属の一種は主に春季から夏季にかけて採集され,6 月に個体数密度のピークがみられた。ウキゴリとクルメサヨリの2 種は春季から夏季の数か月間にのみ出現し,5 月から 7 月に個体数密度のピークが存在した。一方,ブルーギル,ヌマチチブ,シラウオ,モツゴ,ワカサギの5種は半年からほぼ周年にわたって出現し,4月から9月に個体数密度のピークがみられた。

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ここまでで、あれって思った人はいます?そう、成魚がいないのよ、バスの。北浦のヨシ原ならば少しは捕まってもいいと思うが、2年間で捕獲総数25匹、最大長 307mm、出現率は13892尾中の0.18%。これは解析圏外だな。でも、捕獲方法が小型地引網なので、成魚は素早く逃げた可能性が高い。春のヨシ原で全くバスがいないっていうのは寂しいよね。

本研究で採集された魚種の多くは水温が上昇する春季から夏季にかけて繁殖し,成長するものであり,調査期間中にはそれらの成魚や仔稚魚も多く採集された。したがって,このような種数,総個体数,種組成の季節変化は,春季から夏季に繁殖や成長のために多くの魚類がヨシ帯やその近傍に来遊してくることによるものと考えられる。

いずれの種も岸近くで産卵するが産卵時期や産卵基質は種によって異なっており,モツゴは春季に植物体の枝や茎に,ブルーギル は夏季に砂礫底に掘ったすり鉢状の巣に,ワカサギとシラウオは冬季から早春に砂底に,ヌマチチブは春季から秋季に礫などの下に産卵することが知られている。
ワカサギとシラウオについては,沿岸帯から沖帯まで湖全体の表層から底層を遊泳し,ヨシ等の構造物に群れる習性はなく,ヨシ帯での個体数密度は近接する護岸帯と同等,またはそれより低いことも確認されている。

通過遇来型にはヨシノボリ属の一種のみが属した。本種は夏季(主に初夏)に仔稚魚が大量に出現したが, ヨシ帯で成長する傾向は認められなかった。霞ヶ浦において,本種の成魚はウキゴリと同様に流入河川に主に生息するが,仔魚は湖沼で浮遊生活を送り,底生生活へ移行した稚魚が河川へと遡上することが知られている。

以上のことから,本調査地のヨシ帯の魚類群集構造は 春季から秋季の期間と冬季の期間でまったく異なるこ と,またヨシ帯が多くの魚種によって一時的な成長の場,あるいは定住の場として利用されていることが示唆された。


なるほどね。我々が抱いていた感覚と大きなズレはないが、やはり参考になる部分が多い。
1)ヨシ原に最も魚が集まるのは春から夏。特に6月から8月だ。
2)逆に冬季にはほとんど魚が見られなくなる。わずかにモッゴとブルーギルが見られるが、その数は夏季の1/10程度。
3)ヨシノボリ等のハゼ類が圧倒的に多い。ついでモッゴ等のシャッド系。ワカサギはあまり寄ってこない。

という事で、我々が春から夏にヨシ原を撃っているのは見当外れではない。ベイトがいるからバスがいて、バサーもいるのだ。ヨシノボリチックなジグヘッドやラバジで底を叩くのも正解。
一方でシラウオかワカサギを連想させるダウンショットってどうなのか?ヨシ原じゃやらない? それで正解!
シャッドは?ヨシ原でシャッド系かぁ。どうしようか。そういやぁシャッド系ソフトルアーってないよね。いわゆるシャッドテールはあるけど、あれでモッゴを連想できる? 形も動きも違うよなぁ。もっと平たくて、ピッツピッと跳ねる感じ。姿勢制御が難しいからかな。フックを工夫すればできると思うけど、どっかで作ってないかしら?



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