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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

本山博之さんのご冥福をお祈りします

ご本人のブログ本山博之さんが亡くなられた旨のご報告がありました。

近年は裏磐梯のスモールマウスバスのガイドとしてご活躍されていましたが、私の中ではトーナメントにおける「霞が浦の雄」のイメージが強く残ります。バスだけでなく渓流や海の釣り、いや釣りだけではなく山や川、自然を愛されていた事が伝わってくる人物でした。

ご冥福をお祈りいたします。


本山氏はまだ60歳になったばかり。早すぎます。
自分もオーバーラップしてきますが、バスフィッシング黎明期の釣り人は田辺哲男、沢村幸弘、下野正希、今江克隆・・・。みんな還暦を過ぎてしまった。

As time goes by ・・・

清水に魚住まずだぁ?

カンテレで放送された番組内容がYahoo Newsで配信されている。
  「大阪湾が『キレイ』すぎて…地元漁業に『深刻なダメージ』。一体なぜ??」

大阪湾の水、特に南方の海水が綺麗になって来たのは事実らしい。関西空港の付け根にある阪南市の海水浴場の水はかなり綺麗になったようだ。しかし合わせてその周辺の漁場での水揚げ量が激減したと言うのだ。その原因としてカンテレは以下の2点を挙げている。

(1) 工場排水や生活排水の浄化が進み、大阪湾に栄養分が流れ込まなくなった
(2) 関西空港神戸空港が建設されて、大阪湾奥への海流が変わってしまった

排水処理が進歩して水が綺麗になったから、魚が住めなくなったって?
おいおい、それじゃ工場も洗剤もなかった江戸時代の大阪湾には魚は居なかったってことかい? バカを言うんじゃない。
確かに排水は綺麗にして川に流すようになったが、それは「元に戻している」だけだ。「あるべき姿にしている」だけだ。大阪湾を豊かにしてきた有機物は別に工場排水から供給されて来たんじゃない。山や森や田畑を流れる川からだ。なぜそれらが歪められてしまったからだと思わない。

かつて様々な広葉樹で溢れていた関西の山や森は、今どうなっている。杉しか植わっていない。
堆肥による有機栽培(そんな言葉はなかったけどね)を営んでいた田畑は?殺虫剤と化学肥料をばらまき続けている。
そこから流れ出す川が昔のような豊かな海をもたらすとは思えない。

浄化され過ぎた水が大阪湾の魚を奪ったなど、妄想も甚だしい。

東京湾の事を思い返してほしい。東京湾も50年も前には工場排水と生活排水でドブのような有り様だった。その後の水質改善のよって多摩川や隅田川は綺麗に変身し、それにつれて東京湾の水もずいぶん綺麗になった。結果どうなった?
一時は絶滅したと言われたアナゴが戻り、横浜海の公園や三番瀬にはアサリが自生する。悪いことなんか何もない。水を綺麗にし過ぎたせいだなんて、とんでもない言いがかりだ。


(2)の方は納得できる。関西空港の付け根から対岸の淡路島までは約25km。そこに長さ5kmの関西空港島が出現した。これは何らかの海流の変化をもたらすだろう。普通に考えれば、湾奥と入口の海水の交換が妨げられるようになる。この記事が述べているように湾奥の有機物が南方の湾入口に降りてきにくくなる。有機物と同じく魚だって行き来しにくくなる。

大きく自然を変えようとすれば、自然からしっぺ返しを喰らう

「原理」でしょ。大阪湾でも起きたし諫早湾でも起きた。霞が浦の漁獲高激減だって利根川水門のためだ。
(詳しくは 「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」 参照)
これから辺野古でも東北の防護壁でも起きる。

もういい加減に学ぼうよ。

続 琵琶湖の外来魚、捕獲量激減 ~ フナやモロコが獲れないのはバスのせい?

前回の「琵琶湖の外来魚、捕獲量激減」の裏には根強いバス=害魚論があることは自明。
改めて問う。



フナやホンモロコが獲れなくなったのはバスのせいなのか?
 
滋賀県のまとめた「滋賀県の水産業」によれば、琵琶湖の総漁獲量は昭和30年には10000t。50年代末まで5000t。平成に入って大幅に減少しH28年は外来魚を除き947tになった。その外来魚は約400tだ。内訳を見るとS30年には8000tであった貝類、主にシジミがH28年では53tと激減している。フナ類が836tからニゴロブナの52tへ、ホンモロコも250tから25tに減少した。一方、アユは461tで実はS30年代から変わらない。ワカサギに至ってはS30年の統計なしから66tとむしろ増えている。

これがある漁協に限ったデータでは
2011年の総漁獲量63tのうち、外来魚の捕獲量は50t。実に全漁獲量の約80%が外来魚なのだ。
 
では、フナが獲れなくなったのはバスの食害のためなのか?
OSK200901280059.jpg 

フナもバスも浅瀬で産卵し、稚魚時代はそのまま浅瀬で過ごし、成魚になった後は主に深場に移動する。特に冬季においては水深の深い場所を好む。なのでマクロにはフナとバスの生息域は重複する。
しかしミクロに見たら? 釣り人も漁師も知っている。フナの群れの中にバスがいる事は少なし、バスの群れの中のフナはもっと少ない。ゲンゴロウブナは沖合の表・中層で生活し、主として植物プランクトンを捕食する。ニゴロブナであれば沖合の中・低層で生活し、水底の底生動物、動物プランクトン、付着藻類を捕食する。即ち底面の土質は砂または泥の地域を好む。対してバスは? ハードボトムやストラクチャ廻り、泥の地域は嫌うはずだ。フナを狙ったポイントに定置網を仕掛けたらバスなんか掛からない。
 
そして現在の結果は? 漁獲量の8割が外来魚だ。それはフナが絶滅してバスしかいなくなったからじゃなく、バスを狙って網を仕掛けているからじゃないのか?
漁師にとって外来魚は憎き敵、根こそぎ獲りたくなるなる気持ちは分かる。そしてそれが獲れれば、県からの買取価格はフナの2倍だ。じゃあどっちを狙うか。自明であろう。
 
別に非難する気は毛頭ない。ただ県や研究機関はより深く事象を掘り下げてほしいだけだ。あたかも琵琶湖に生息する魚類の80%が外来魚になってしまったように書かれているが、その真実はどうなのか? 在来種が減少した真の原因は何なのか?
 
霞が浦水系の在来種激減ついては「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」で解説した通り、茨城県内水面水産試験場の調査報告として、その原因は外来種ではなく水質悪化と沿岸開発にあるとされている。本報告書にはバスのバの字も、ギルのギの字も出てこない。茨城県内水面水産試験場の研究者は冷静で公平な調査報告をしたのだ。ぜひ振り返って欲しい。

では琵琶湖の在来種は? いくつかの研究報告がなされていて、そこには水質悪化を主な原因とする文献も少なくない。しかし琵琶湖を管理し条例を制定する滋賀県の見解は、外来種による食害という事になっている。それは恣意的であり合理的なデータに基づく結論とは言い難い。
滋賀県自体も水質悪化という客観的事実に目をつぶることはできず、2015年発行の「琵琶湖の現状及び課題について」では
  • 1990年以降にCODが急増していること
  • 溶存珪酸が増加し珪藻類が激増していること
  • ・ オバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウ等の外来浮遊植物が湖面を覆う程増殖し水質を悪化させていること
を報告している。



外来種がどこにでもいていい訳はない。それは分かっている。何度も言うが私は合法違法に関わらず、これ以上バスの生息地を広げる事には反対だ。絶対数としてももっと少なくても良いと思っている。バス釣りはもっと難しくていいんだ
それら全てを認識した上で、それでも在来種減少の原因はバスであり、完全駆逐が必要だと。それはバスが増えたタイミングと、在来種の減ったタイミングが合致するというだけの理由だ。では上記のCODや外来植物の急増とは何の関係もないのか?


しかし日本全国に分布してしまったバスを絶滅させるなんて事は現実的に不可能だ。非現実的な目標を掲げたがために無駄な金と時間を費やした例が今までどれだけあったか考えてほしい。
 
そしてバスは生き物なんだということを再認識して欲しい。ウィルスや病原菌をまき散らす害虫でもなければ、人に危害を加える害獣でもない。そのバスを食べるでもなく食べさせるでもなく、単に殺して焼却する。よくて肥料がわりか。
外来魚を駆除する役目を負わせた琵琶湖ルールキッズの子供達には、どういう説明をしてバスを殺させているのかな。この魚は悪い奴で生きる資格がないんだって教えているのか?ナチスのユダヤ狩りと同じか
 
漁師たちは今のままで満足なのかな。漁に出るモチベーションを維持できるのかな。自分達は肥料を獲っているんだと思って今日も網を上げるのかな。


 
仮にバスを根絶やしにできた時が来て、それでもニゴロブナやホンモロコが帰ってこなかったら、初めて自分達の愚かさに気が付くんだろうか。やるべき事は他にあったんだと。
 
 





琵琶湖の外来魚、捕獲量激減

2018/8/21付け京都新聞に、今年の琵琶湖の外来魚捕獲量が例年に比べ激減しているとの記事が載った。

内容は、漁業者が7月までに捕獲したブルーギルブラックバスの捕獲量が過去最低の34tにとどまり、これは前年同時期の半分に満たないという。琵琶湖での外来魚捕獲量は2008年までは年間400t、2013年以降は200t前後となっている。県の推定している琵琶湖全体での外来魚生息量は1150t、その内バスは200t程度となっていて、生息量に大きな変化はない中で捕獲量が激減した事に困惑していると言う。

琵琶湖の外来魚駆除問題については「27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題」で取り上げた。
そこで衝撃を受けた現在の琵琶湖の魚業実態について繰り返すと、表1の通りだ。今の琵琶湖の漁業者の収入の約半分は外来魚駆除の補助金なのだ。より具体的には外来魚に対して県から300円/kgの補助金が出ている。ちなみに表1から計算した他の魚種のキロ単価は、鮎が824円、ワカサギが386円、フナが163円だった。漁業者にとってブルーギルやバスは十分割の合う獲物なのだ(失礼な言い方かもしれない)。

表1
(山内ら,水資源環境研究,Vol.26,1 (2013))

話を元に戻そう。京都新聞によれば外来魚の生息量は変わらないのに漁獲量は激減していると。その原因は何なのだろうか。いくつか仮説を立ててみよう。
(1) 外来魚の生息量が減っている
 湖沼における魚類の生息量予測法については今後取り上げようと思っているのだが、ちゃんと予測するためにはそれなりの手数と時間が必要になる。滋賀県には琵琶湖博物館や滋賀県水産試験場があり、それなりの精度の下に行われているのだろうが、水産試験場の行った「平成28 年秋における外来魚生息状況調査結果」を見てもデータは変動幅が大きく、ここからどのように琵琶湖全体の生息量を推定したのかがよく分からない。
これだけを見るとH28年のオオクチバスは激減だが、ブルーギルは前年の4倍だ。なのになぜ琵琶湖の外来魚生息量は微減なのか?

琵琶湖_図1
琵琶湖_図2
(平成28 年秋における外来魚生息状況調査結果, 田口ら)

(2) 外来魚が定置網に掛からなくなった
 「30.琵琶湖のバスの行動パターンを追跡する」では定置網(エリ)周辺に生息するオオクチバスの行動をバイオテレメトリーにより追跡した。これによるとバスは夜をエリ周辺で過ごし、朝になると岸近くに移動する。
このバスはエリになんか掛かりゃしない。「続、バスの記憶は遺伝する」でも仮説を述べたが、より慎重でルアーや網に掛からない個体が増えているとしたら、定置網による漁獲量が減ってきても不思議ではない。

(3) 一時的に今年春の漁獲量が減っただけ
 (1)で紹介したデータでも年毎、エリア毎の生息数データのばらつきは大きい。それが今年の春の漁獲高に表れただけではないか。

(4) 漁業者の意欲が失われた
 H25年のデータだが琵琶湖の漁業就業者数は687人。うち60歳以上が525人、70歳以上が274人。実に40%が70歳以上であり、毎年5%のペースで就業者が減っている。そして漁に出れば漁獲した魚の80%が外来魚であり、それらは誰に食べられるでもなく廃棄される
虚しくなるだろうな。何のために漁に出ているんだと。誰にも喜ばれない、誰もその魚を待っていない。
生活のため? 仮に琵琶湖の総漁獲高 3459万円が全て均等に漁業就業者に分配されたと仮定しても、平均年収は487,000円。やってられないよね。もう漁をやめようと思う人も増えるだろう。


現時点ではまだ原因は不明だが、(1)ではないだろう。(3)(4)についても、もう少し状況を見定めれば明らかになるはずだ。
(2)が原因だったら? 私的にはそれが一番おもしろいんだけどね。

続、バスの記憶は遺伝する

仮説:バスの記憶は遺伝する」で適当な事をぶち上げたが、もう少し真面目に考えようと思う。

1.記憶は遺伝するのか?
大真面目に言う。記憶が遺伝することはある
蝶は誰に教わらなくても花においしい蜜があることを知っている。ツバメは教わらなくても冬は南に行けば暖かい事を知っている。ブルック・シールズとクリストファー・アトキンズは二人きりの青い珊瑚礁で××な事を△△すれば赤ちゃんができる事を知っていた。なぜ?
人はそれを本能と呼ぶ。しかしそれは「記憶の遺伝」と言い換えてもいいんじゃないか。組み入れられたDNAにそうすることがいいんだと記憶されているんだ。
もしバスが規則的にプルプル動く硬そうな物は餌ではない事をDNAに組み込んだら、クランクベイトに未来はない。クルクル回って光る物も危ないと思われたら、スピナベもおしまいだ。
ただし遺伝子レベルにこういう情報が刻まれるには、数10世代、数100世代が必要だとおもう。そこがどうかな?

2.慎重なバスほど生存競争に打ち勝つ
一見もっともらしいが、事はそう単純ではない。
ルアーに対して慎重なバス君は、リアルベイトに対しても慎重なはずだ。するとノー天気なバス君よりも餌にありつける確率は低くなってしまう。成長は遅くなるだろうし、繁殖のチャンスもノー天気君に遅れを取ることになりそうだ。それではより多くの子孫を残すのは難しいという事になる。
逆にノー天気君はルアーに引っ掛かったり、網に追い込まれたりする確率も高い。めでたくリリースされればいいが、このご時世、そうもいかなそうだ。要はリスクとチャンスのバランスだな。
これも人間界と同じだな。お気楽にギャルに声をかけまくるノー天気君が、多くのチャンスを活かして幸せな結婚をして明るい夫婦生活を営んでいるか、あるいは実直な慎重君が選りすぐりの女子に狙いを定めてめでたくハッピーなカップルになれるのか。
どっちもありなのだよ。どっちもありだから日本はノー天気君ばかりでも慎重君ばかりでもない、いいバランスを取っているんだ。

えっ、かの国はノー天気君ばかりみたいだって? その国はギャルを引っ掛けるのもバスを釣るのも超簡単なんじゃないの?
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