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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

MENU更新。だいぶ文献が溜まったからね。

MENU を更新しました。

読み解いた文献も30を超えたので、自分でも昔の文献を探しにくかった。
少しは整理されたかな?

ついでに私的に非常におもしろかった文献のBest 5 を挙げておこう。

3.琵琶湖における水温、水流の年間変化
 春から夏のサーモクライン、秋のフォールターンオバーの正体が分かる。

8.実験池におけるオオクチバスの釣られやすさに見られる個体差
 バスにも個性がある。よく釣られるバスと慎重なバスの差ってなんだ?

9.琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる摂餌生態の推定
 琵琶湖のバスを解剖して何を食べているのかを解析した。Mutch the bait は基本だね。

30.琵琶湖のバスの行動パターンを追跡する
 琵琶湖の冬バスに超音波発信機を取り付けて、どこを回遊しているのかを解き明かした。すごい時代になったねぇ。

32.真夏のベジテーション攻略法は大間違いだった!
 これも驚きの文献。そんなバカなという声が聞こえてきそうな内容だ。


科学文献を追っていくと、自分の経験やバス釣りの常識と思われていた事にそぐわない事例がいくつも出てくる。それを頭から否定してしまっては進歩はない。自分の釣りも科学界も。
 「もしもそうだったら?」
 「この事例とこの湖は何が違ったんだ?」
そんな目線で考えていけば、また新たな発見がある。
それこそが「考えるバスフィッシング」の楽しさなのだ。

池の水ぜんぶ抜く。。。で、その後は?

毎度おなじみテレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く」。
今年も正月からやっていたね。今や名物番組だ。
人工的な池のかい堀自体は悪いことじゃない。溜まったヘドロを定期的にきれいにして、再び魚たちを池に戻す。なんて素敵な行為なんだ。

しかし何だかネットが騒がしい。どうやら11月放映で長崎の公園の池から大量のボラが出てきて、それらを全て殺してしまったらしい。その数3000匹!
20151113214115.jpg


この番組では毎度毎度、ブラックバスブルーギル、カミツキガメなどの外来生物を捕獲し、まとめて処分することが目玉となっている。番組にボランティアで参加する子供たちにもそれらの生物が悪魔の手先のように紹介され、実際に殺処分するため水のない桶に放り込まれていく。
この回のボラについては殺処分するつもりはなかったようだが、逆に大事に再放流するつもりもなく狭い水槽にすし詰めにしたものだから、ほとんどの魚は死んでしまったらしい。
番組の様子はこちらから。

この問題は文春オンライン等のネットニュースでも取り上げられ、保護団体等から批判を浴びていて、テレビ東京、池の掃除を依頼した大村市、それを受けた専門家が責任のなすり合いをするという微笑ましい光景が展開されている。別にその責任の流れ着く先などに興味はない。

気に障るのが生物の扱い方だ。それはボラだろうが外来生物だろうが一緒。生きとし生けるものに対するリスペクトがなさすぎるのだ。文春オンラインでコメントしているNPO法人「おさかなポストの会」の代表も言っているように、せめてその生を活かせないものなのか。
この番組のような趣旨で捕獲された外来生物を、大事に再放流しろとは言わない。しかしその生を活かすことはできるはずだ。可能ならば人が食べればいい。食べられなければ他の動物の餌にするのもいい。そうやって生を循環させることが自然なんじゃないのか。
そこに生きていることが人間にとって不都合な生物は打ち捨てられていいのか。ゴミ箱に捨てて焼却処分するのは、生物を冒涜するに等しい。それは外来生物だって同じ。そこに生きている魚や動物に何の罪があると言うんだ。

これはバスの再放流禁止にも言える。琵琶湖にある外来魚回収ボックスも同じ。滋賀県の水産課によれば、釣り人の再放流を禁じて集めたバスやギルは魚粉にして養殖魚の飼料にしているらしい。

ちゃんとそれが実施されているのなら、私的にはギリギリ許容範囲かな。
でも琵琶湖のバスなら食べたらいいんじゃないの?

本山博之さんのご冥福をお祈りします

ご本人のブログ本山博之さんが亡くなられた旨のご報告がありました。

近年は裏磐梯のスモールマウスバスのガイドとしてご活躍されていましたが、私の中ではトーナメントにおける「霞が浦の雄」のイメージが強く残ります。バスだけでなく渓流や海の釣り、いや釣りだけではなく山や川、自然を愛されていた事が伝わってくる人物でした。

ご冥福をお祈りいたします。


本山氏はまだ60歳になったばかり。早すぎます。
自分もオーバーラップしてきますが、バスフィッシング黎明期の釣り人は田辺哲男、沢村幸弘、下野正希、今江克隆・・・。みんな還暦を過ぎてしまった。

As time goes by ・・・

清水に魚住まずだぁ?

カンテレで放送された番組内容がYahoo Newsで配信されている。
  「大阪湾が『キレイ』すぎて…地元漁業に『深刻なダメージ』。一体なぜ??」

大阪湾の水、特に南方の海水が綺麗になって来たのは事実らしい。関西空港の付け根にある阪南市の海水浴場の水はかなり綺麗になったようだ。しかし合わせてその周辺の漁場での水揚げ量が激減したと言うのだ。その原因としてカンテレは以下の2点を挙げている。

(1) 工場排水や生活排水の浄化が進み、大阪湾に栄養分が流れ込まなくなった
(2) 関西空港神戸空港が建設されて、大阪湾奥への海流が変わってしまった

排水処理が進歩して水が綺麗になったから、魚が住めなくなったって?
おいおい、それじゃ工場も洗剤もなかった江戸時代の大阪湾には魚は居なかったってことかい? バカを言うんじゃない。
確かに排水は綺麗にして川に流すようになったが、それは「元に戻している」だけだ。「あるべき姿にしている」だけだ。大阪湾を豊かにしてきた有機物は別に工場排水から供給されて来たんじゃない。山や森や田畑を流れる川からだ。なぜそれらが歪められてしまったからだと思わない。

かつて様々な広葉樹で溢れていた関西の山や森は、今どうなっている。杉しか植わっていない。
堆肥による有機栽培(そんな言葉はなかったけどね)を営んでいた田畑は?殺虫剤と化学肥料をばらまき続けている。
そこから流れ出す川が昔のような豊かな海をもたらすとは思えない。

浄化され過ぎた水が大阪湾の魚を奪ったなど、妄想も甚だしい。

東京湾の事を思い返してほしい。東京湾も50年も前には工場排水と生活排水でドブのような有り様だった。その後の水質改善のよって多摩川や隅田川は綺麗に変身し、それにつれて東京湾の水もずいぶん綺麗になった。結果どうなった?
一時は絶滅したと言われたアナゴが戻り、横浜海の公園や三番瀬にはアサリが自生する。悪いことなんか何もない。水を綺麗にし過ぎたせいだなんて、とんでもない言いがかりだ。


(2)の方は納得できる。関西空港の付け根から対岸の淡路島までは約25km。そこに長さ5kmの関西空港島が出現した。これは何らかの海流の変化をもたらすだろう。普通に考えれば、湾奥と入口の海水の交換が妨げられるようになる。この記事が述べているように湾奥の有機物が南方の湾入口に降りてきにくくなる。有機物と同じく魚だって行き来しにくくなる。

大きく自然を変えようとすれば、自然からしっぺ返しを喰らう

「原理」でしょ。大阪湾でも起きたし諫早湾でも起きた。霞が浦の漁獲高激減だって利根川水門のためだ。
(詳しくは 「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」 参照)
これから辺野古でも東北の防護壁でも起きる。

もういい加減に学ぼうよ。

続 琵琶湖の外来魚、捕獲量激減 ~ フナやモロコが獲れないのはバスのせい?

前回の「琵琶湖の外来魚、捕獲量激減」の裏には根強いバス=害魚論があることは自明。
改めて問う。



フナやホンモロコが獲れなくなったのはバスのせいなのか?
 
滋賀県のまとめた「滋賀県の水産業」によれば、琵琶湖の総漁獲量は昭和30年には10000t。50年代末まで5000t。平成に入って大幅に減少しH28年は外来魚を除き947tになった。その外来魚は約400tだ。内訳を見るとS30年には8000tであった貝類、主にシジミがH28年では53tと激減している。フナ類が836tからニゴロブナの52tへ、ホンモロコも250tから25tに減少した。一方、アユは461tで実はS30年代から変わらない。ワカサギに至ってはS30年の統計なしから66tとむしろ増えている。

これがある漁協に限ったデータでは
2011年の総漁獲量63tのうち、外来魚の捕獲量は50t。実に全漁獲量の約80%が外来魚なのだ。
 
では、フナが獲れなくなったのはバスの食害のためなのか?
OSK200901280059.jpg 

フナもバスも浅瀬で産卵し、稚魚時代はそのまま浅瀬で過ごし、成魚になった後は主に深場に移動する。特に冬季においては水深の深い場所を好む。なのでマクロにはフナとバスの生息域は重複する。
しかしミクロに見たら? 釣り人も漁師も知っている。フナの群れの中にバスがいる事は少なし、バスの群れの中のフナはもっと少ない。ゲンゴロウブナは沖合の表・中層で生活し、主として植物プランクトンを捕食する。ニゴロブナであれば沖合の中・低層で生活し、水底の底生動物、動物プランクトン、付着藻類を捕食する。即ち底面の土質は砂または泥の地域を好む。対してバスは? ハードボトムやストラクチャ廻り、泥の地域は嫌うはずだ。フナを狙ったポイントに定置網を仕掛けたらバスなんか掛からない。
 
そして現在の結果は? 漁獲量の8割が外来魚だ。それはフナが絶滅してバスしかいなくなったからじゃなく、バスを狙って網を仕掛けているからじゃないのか?
漁師にとって外来魚は憎き敵、根こそぎ獲りたくなるなる気持ちは分かる。そしてそれが獲れれば、県からの買取価格はフナの2倍だ。じゃあどっちを狙うか。自明であろう。
 
別に非難する気は毛頭ない。ただ県や研究機関はより深く事象を掘り下げてほしいだけだ。あたかも琵琶湖に生息する魚類の80%が外来魚になってしまったように書かれているが、その真実はどうなのか? 在来種が減少した真の原因は何なのか?
 
霞が浦水系の在来種激減ついては「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」で解説した通り、茨城県内水面水産試験場の調査報告として、その原因は外来種ではなく水質悪化と沿岸開発にあるとされている。本報告書にはバスのバの字も、ギルのギの字も出てこない。茨城県内水面水産試験場の研究者は冷静で公平な調査報告をしたのだ。ぜひ振り返って欲しい。

では琵琶湖の在来種は? いくつかの研究報告がなされていて、そこには水質悪化を主な原因とする文献も少なくない。しかし琵琶湖を管理し条例を制定する滋賀県の見解は、外来種による食害という事になっている。それは恣意的であり合理的なデータに基づく結論とは言い難い。
滋賀県自体も水質悪化という客観的事実に目をつぶることはできず、2015年発行の「琵琶湖の現状及び課題について」では
  • 1990年以降にCODが急増していること
  • 溶存珪酸が増加し珪藻類が激増していること
  • ・ オバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウ等の外来浮遊植物が湖面を覆う程増殖し水質を悪化させていること
を報告している。



外来種がどこにでもいていい訳はない。それは分かっている。何度も言うが私は合法違法に関わらず、これ以上バスの生息地を広げる事には反対だ。絶対数としてももっと少なくても良いと思っている。バス釣りはもっと難しくていいんだ
それら全てを認識した上で、それでも在来種減少の原因はバスであり、完全駆逐が必要だと。それはバスが増えたタイミングと、在来種の減ったタイミングが合致するというだけの理由だ。では上記のCODや外来植物の急増とは何の関係もないのか?


しかし日本全国に分布してしまったバスを絶滅させるなんて事は現実的に不可能だ。非現実的な目標を掲げたがために無駄な金と時間を費やした例が今までどれだけあったか考えてほしい。
 
そしてバスは生き物なんだということを再認識して欲しい。ウィルスや病原菌をまき散らす害虫でもなければ、人に危害を加える害獣でもない。そのバスを食べるでもなく食べさせるでもなく、単に殺して焼却する。よくて肥料がわりか。
外来魚を駆除する役目を負わせた琵琶湖ルールキッズの子供達には、どういう説明をしてバスを殺させているのかな。この魚は悪い奴で生きる資格がないんだって教えているのか?ナチスのユダヤ狩りと同じか
 
漁師たちは今のままで満足なのかな。漁に出るモチベーションを維持できるのかな。自分達は肥料を獲っているんだと思って今日も網を上げるのかな。


 
仮にバスを根絶やしにできた時が来て、それでもニゴロブナやホンモロコが帰ってこなかったら、初めて自分達の愚かさに気が付くんだろうか。やるべき事は他にあったんだと。
 
 





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