プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

4.湖の水流を決定するもの

(遠藤、最近の測流結果からみた琵琶湖の流況、地質学論集第36号 1990)より

 湖の水流を決めるものは何なのだろう?湖面を渡る風、川からの流れ込み・流れだし。もちろん大きな要因だ。そのほかには?大きなファクターとして、温度が挙げられることを前項で示した。
しかし論文を読み進めていくと、どうも水流のファクターは意外なところにもあるようだ。遠藤は琵琶湖における水流の測定結果から、湖水の流れの季節変動を、原因・時間・空間スケールの違いにより分類した。ここで示されている水流の原因は大きく分けて3つ。
①熱 ②風 ③転向力 である。

 熱については既に説明した通り。暖められた(あるいは冷やされた)水による対流が引き起こす流れである。また風についても、説明するまでもないだろう。季節毎、あるいは1日の中で定常的に吹いている風により促されて水流が発生する。
 ③の転向力とは何か?いわゆるコリオリの力である。地球の自転により北半球では左回りのねじりの加速度が常に加わっている。風呂の水栓を抜くと水は左回りの渦を描いて下水に吸い込まれていく。あれである。琵琶湖のような大きく深い湖では、このコリオリの力により発生する慣性円運動流(あるいは環流)が見られる。図1を見てみよう。

hokkokita.jpg

 これは漂流ブイの位置をレーダーにより追跡したものである。これによると北湖では2、3日で左回りに湖を1週する水流(第1環流とよぶ)が発生し、その流速は10~30cm/secに達する。魚類の生態にとっては決して無視できるほど遅い流速ではないだろう。

hokko.gif

 さらに図2には、第1環流のいわば反流として発生する第2環流が北湖南側に存在することを示している。これは明神崎沖で西から東に流れる水流に引っ張られるように発生すると考えられる。第2環流もまた、2,3日で湖を1周する。

 すると、明神崎沖というのは、宮城の金華山沖のように南北の水流の合流地点となる訳だ。ここってそんなに好ポイントだったっけ?まあ海と湖は違うからね。
いずれにしろ北湖では明神崎を境界にして左右の回転方向に、ダイナミックな水流があることは覚えておいた方がよさそうだ。ただし環流は沿岸部では支配的ではないので、その点ご注意を。

 もう一つ、遠藤によると、この環流は琵琶湖にしか見られないであろうとコメントしている。コリオリの力が支配的に作用するには、十分な大きさと深さが必要であることからの推察である。小さな湖、細長いダム湖のようなところでは考慮する必要はなさそうだ。とはいうものの、霞ヶ浦や芦ノ湖のような広い、あるいは深い湖ではちょっと気にとめておいた方がいいかもしれない。風のない、流れも期待できない日には、左回りの水流が起きているかもしれない。


 さて、どう釣るか?
正直言って僕は琵琶湖沖の釣りというのをやったことがない。当然、そういう水域のこともわからない。よってあまり偉そうなことも言えないのだが、まあ通い詰めた北浦、芦ノ湖のつもりで分析してみよう。

①まず環流は1年を通して定常的に発生していることに注目。いわば流れのない湖に川のような流れが存在することになる。とすると、岬や島あるいはワンドに対してのアプローチの方向性がはっきりしてくる。たとえば多景島。北湖北側の多景島には左回りの環流が絶えず南から当たっている。推測するに島の南側は水流により岩場が多く、北側には砂、泥が堆積する。(当たってる?だれか教えて!)
その他の岬等も同様の考え方ができる。姉川河口であれば、南側の方が北側よりシャローが多いとか・・・。あとはその日その時の状況により、ドン深の岩場がいいのか、土のシャローがいいのかを考えていけばいい。

②風の全くない日でも、環流は表層から深層まで流れていることを覚えておこう。すると沖合のストラクチャー、ホールや水中島へのアプローチ方向もおのずと決まってくる。特にディープの釣りでは結構、キーポイントになると思うよ。
たとえば犬上川沖に水中島を見つけたとしよう。(そんなもん、あるのかどうか知らん!)ここは第1、第2環流が合流して対岸側から南西に流れが絶えない。とすると、バスは水中島の南西側に東北を向いてサスペンドしている確率が高い。それがわかれば船の位置、キャストの方向でよけいなプレッシャーをバスに与えることのないようなアプローチ法がとれる。

③植生に与える影響も考えてみよう。水流はウィードエリアの形成にも大きく関係する。ウィードの育成には十分な日照と、適度な水流が必要となる。その点から言えば、環流の作用はウィード育成にちょうどよい水流を与えていると考えられ、この環流の当たるエリアにウィードが育っていると推測される。
また遠藤によれば、環流には水平方向の流れだけでなく、垂直方向の流れが存在する。それは環流の中心(すなわち湖の中心)では下向きに、周辺部では下から上向きに流れている。ただし0.001cm/secという非常に遅い速度である。しかしこれにより湖の浮遊物質の内、比較的粗い粒子は湖中心に堆積し、細かな粒子は外側から巻き上げられるようにして湖を巡っていくことになる。沿岸部のウィードにとってこれもまた望ましく、深層の硝酸塩等の栄養物が絶えず供給されることになる。
こう考えると、環流の当たる明神崎南側、姉川河口、愛知川河口等は絶好のウィードエリアということになるのだが・・・。(これまた誰か教えて!)

 まあ、琵琶湖なんていう超メジャーレイクで、今さらここがポイントだ!なんておこがましいし、過去の実釣データの方が当てになることはわかっている。でも初めて訪れた湖で地図を眺めながらポイントを絞り込んでいくとき、きっとヒントになると思う。何より考えるというバスフィッシング本来の楽しみを与えてくれると思うよ。現に僕なんか最近、すっかりロッキンチェアアングラーだ。金もいらなきゃ時間もかからん。あ~こりゃこりゃ。

3.琵琶湖における水温、水流の年間変化

(園,野村,琵琶湖生態系モデルに関する研究-1次元水温モデル,滋賀衛環セ所報 25,44-56,1990)※1 より

湖の水温を決定する因子は、気温、降水量、気流、地形、蒸発量、流出量等、多岐にわたっている。園、野村(滋賀県立衛生環境センター)は、これらにより決定される琵琶湖の水温、溶存酸素濃度を、測定とコンピュータシミュレーションによって求めている。

琵琶湖北湖の平均水深は44m。この水が、夏期には表面への日照、気流、降雨等により暖められ、冬期には冷やされる。それにより湖の水は、表面から底部へ伝熱すると共に対流を起こす。図1を見てもらいたい。
図1は、これらの現象をコンピュータシミュレーションし、各水深での水温の変化を求めたものである。同時に表層の測定温度も示している。ここからわかることは
(1) 表層温度は8月に29℃と最高値を示し、2月に6℃と最低値を示す。
(2) 水深40mより深いところでは、水温は6℃で年間を通して一定となる。
(3) その間の水深の水温は年間変動を起こすが、春と秋で全く違う。
(4) 春(4月から7月)は表層から暖められていくため、水深に応じた水温の傾斜が形成され、夏に近づくにつれてその差(グラフの間隔)が広がっていく。
(5) 秋(9月から12月)は逆に、夏までに形成された水温の傾斜が、上から冷やされることにより次第に解消してくる。

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この水温の傾斜のことを、水温躍層、カタカナ好きのバサーの言うところのサーモクライン:Thermo-cline と呼ぶ。図2に示した、月毎の垂直方向の水温分布を見れば、よりわかりやすいだろう。測定地点は北湖今津沖(水深90m)、および北小松沖(水深60m)。水温躍層の形成される部分の水温グラフは、図2では傾斜線で示される。
 ここからわかることは
(1) 4月から8月までは30m以浅で傾斜線が見られ、夏に近づくにつれ傾斜がきつくなっている。つまり深くなるにつれ、急激に水温が低下していく。
(2) 9月を過ぎると、この傾斜線の上部つまり表層部が平らになってくる。10月であれば20m以浅の水温は一定になってしまう。
 この水温が平らな部分では対流が発生しており、表層と底部の水が撹拌されることで一定の水温の層ができていいる。これがいわゆるフォールターンオーバーというやつである。冬に近づくにつれて一定水温層は深部に広がっていくのがわかる。

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この水の対流、即ちターンオーバーはバサーには忌み嫌われている。対流による湖底部のよどみが表層にまで広がって、釣りにならないと言うのだ。。が、湖の生態系にとってターンオーバーは非常に重要な意味を持つ。それは底部への酸素供給および表層への硝酸態窒素供給に象徴される。
 夏期、表層に近い水域ではプランクトンの活動がきわめて活発となる。結果、この付近のプランクトンの栄養源である硝酸態窒素の濃度は次第に低下し、9月においては表層から水深10mまで硝酸態窒素濃度はほぼ0となる。逆に底部においては、プランクトンによる有機物の分解により酸素の消費がなされ、酸素の供給がない夏から秋にかけて酸素濃度は減少していく。10月における溶存酸素量は飽和濃度の10%にまで減少する。
 これがターンオーバーによる水の循環により解消されるのである。秋以降のターンオーバーにより、表層から酸素を含む水が供給されることで、底部の溶存酸素濃度は上昇し、2月には溶存酸素濃度はほぼ飽和濃度に達する。同様に植物プランクトンの死骸等として下層に蓄積された硝酸態窒素は、秋以降、上部に拡散していく。
これが年間の琵琶湖の水温、水流の周期である。湖の生態系を決定する上で、こういった水の循環は大きな意味を持っているのである。

 さらにその年の気候の変動が影響を与える。底層へ供給される酸素は表層が冷却されることによって起こる水の循環による。例えば、北湖平野部の冬期の積雪量が多いか、冬期の気温が低い年には循環量が多くなり、溶存酸素量は増加する。また降雨量の多い年には雨による表層への酸素の供給が活発化することで、溶存酸素量は増加する。こういった様々な気象条件が湖の水温、水の循環を支配している。

 さて、ではどう釣るか?
答えはすでにデータの中に表されているようなものだ。ターンオーバー中の対流の中では、底部の溶存酸素濃度の低い水が表層に上がってくることで、バスにとっては住み難い環境が急に現れることになる。これがバスの活性が落ちる原因であろう。これにさらに濁りが追い打ちをかける。となれば、ターンオーバーの中をわざわざ釣るのは賢明ではないことは簡単にわかるだろう。
 ではどこを釣る?答えは水深とエリアだろう。
冬に近づくにつれてターンオーバーの深度が次第に深くなっていく。それなら、まだターンオーバーを起こしていない深度で釣ればいい。たとえば10月初旬なら10~15mのどこかにターンオーバーしていない水深がある。これは実際に水温を計ってみないと、今どこまでターンオーバーが進んでいるのかわからない。秋の釣りに水温計は欠かせない。

 エリアについて話そう。
ターンオーバーといっても湖全体が一気にドロドロになるわけではない。ここはバス釣りのセオリーである水のよいところを探すにかぎる。よく言われるのは水通しのよいエリアということ。でも本当だろうか?水通しがよいといえばインレット、これは正解。当然、新鮮な水が供給されて、低くなった溶存酸素濃度も、濁りも解消されるだろう。
あとは岬?、メインチャンネル?いやいや、ちがうでしょ。水通しがよいところは水平方向の流れもあるが、垂直方向の水の循環も起きやすい。となると、ターンオーバーの水も流れてくることになり、ターンオーバーの影響はむしろ受けやすくなる。
 むしろ岬の陰の部分だろう。垂直方向の水の循環は至る所で無制限に起こるわけではないだろう。何かのきっかけにより比較的小さな水の循環が、個々のエリアで起こっているのだ。どこで?どうやって?カギはやはり水流。

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縦方向に循環しようとしているターンオーバー時には、どこかに水平方向の流れが生じればそこにたやすく水の循環が発生する。例えば風により表層に水流が起これば、風下では下方向への、風上では上方向への循環が発生するだろう。もちろん湖全体を覆うような大きな循環とは限らないが、この方向への小さな循環が連続して発生していると考えられる。となると、風上では低層に溜まっていた硝酸態窒素、濁りが表層に浮き上がってくる。風下にもそれはいずれ流れてくるが、表層の風に触れた分、酸素濃度は高くなっているだろう。こう考えるとターンオーバー期には風下を狙えということになる。

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さらに水温の水平分布にも大いに関係する。水に比べて陸地は比熱が小さく、暖まりやすく冷えやすい。琵琶湖においては、北湖の水温は沿岸部に比べ中央部が4℃も低い。湖全体の平均では陸地と水温の差は2℃となる。暖かい岸寄りの水域では上昇水流が発生し、それを補うように低層では沖から岸へ、表層では岸から沖への循環が発生すると考えられる。ここでも岸寄りの水は濁りが多くなるだろう。ただしこれは岸の傾斜が急で、水深が急深になっている場所に限る。広大なシャローは別。

そう、シャローはターンオーバーの影響が最も少ない場所の一つとなろう。沖との水流の程度にもよるが、シャローの中だけでのターンオーバーというものは考えにくく、この時期最も安定して狙えるエリアであろう。
それでは本日のまとめ
(1)春から夏にかけてはサーモクラインの動きに注意する。どこかにバスの住み易い水深がある。
(2)秋から冬にかけてはターンオーバーの水深を探る。冬に近づくほどディープを狙う。
(3)ターンオーバー期の選択エリアは
 a.インレット
 b.シャロー
 c.風上
 d.流れに対して岬の裏

 さらに湖の流れを決めるもう一つの大きなファクターがあった。それは・・・
ゴメン、次回アップまでおあずけ!




2.魚類の色彩感覚について

 人における色の認識においては、原色と呼べる色が4つ存在する。赤、青、緑、黄の4色であり、これらを、unique color と呼ぶ。これは物理的な意味ではなく(例えば緑は黄と青の混色となる)、認識的な意味で用いる。つまり純粋な緑を見て、緑以外の色の要素が浮かんでこないという事である。これに対し、紫等の他の色では、その色から他の色を連想させることから、unique color とはならない。

 ではそれらの色情報を、どのように受容しているのだろうか。色情報の受容器である錘体には、人の場合では3種類の色素が含まれており、各々の吸収波長域が異なっている。図1にそれら3種の錘体における吸収スペクトルを示す。いわゆるR(赤)G(緑)B(青)を各々ピークとする吸収スペクトルになっている。つまり各錘体はそれらの波長の光にのみ反応する。
各錘体で3種類の波長ごとに受容された光は、視神経を経由して脳に到達し、ここで画像情報に再構築される。この信号処理方法については何説かの学説がある。その中で我々にもっとも受け入れやすいのは、RGBの3原色を混合する事で、すべての色を表現できるという、いわばテレビカメラにおける画像表現と同じ手法により、脳内で処理されているという説である。
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 さて魚類における色認識についてである。まず魚類の錘体における反応スペクトルであるが、人と同様、3種類のピークを持つ3種類の錘体に分類される。ただし反応するピーク波長はRGBではなく、より長波長側にシフトした赤、橙、緑となる。つまり魚類の見ている色世界は、人のそれよりも赤から橙、黄のスペクトル域についての色分解能が高く、逆に青に近いスペクトルには感度が低い。(鯉、鯛についての研究結果)

 こう書くと、思い当たる節もあろうかと思う。バス用のルアーの色にはなぜか橙から緑の色が数多く、また細かな色区分で存在している。一方青系統のルアーは思いの他、少ない。パンプキン、アボカドグリーン、チャートリュース etc.これらの色が多いのは別にルアーメーカーが上述のような魚の色感を知っていたからではないだろう。長年の試行錯誤の末、生き残ったルアー達なのである。これらがよく釣れるのは、これらの色が魚によく見えるからなのである。
ただし、第1稿の錘体と桿体の分布を思い出していただきたい。魚にとって色を認識できるのは自分の正面の限られた角度であるということを。やはりなにより、バスが今、どこにいるのかを探し出すことが先決なのだ。

 もう一つ、色感覚についての情報。水は無色のようだが、実はスペクトル特性を持っている。水そのものと言うよりは、水中の微少な不純物による散乱が原因なのだが、水深が深くなるにつれ波長の長い光(即ち赤に近い色)が減衰され、波長の短い青みがかった世界になる。これは直感的にも理解できるであろう。この状態では、赤に近い色はみな黒く見えることになる。ディープな(条件にもよるが10m程度)釣りでは、赤、オレンジ等はあまり使い分けても意味がない。

 では、バスへのタクティクスとしてまとめよう。
1.まずはバスのいるポイントを探し出す。この時にはバスに見えやすい黄色~緑系のカラーが有効となるはず。
2.カラーチェンジをする場合は、黄色~緑では微妙な色の変化が効果を示すかも。赤からのチェンジなら大胆に違う系統のカラーに。
3.ディープな釣りでは緑~青系のカラーが有利となる。
  念のため、波長の長い方から色を並べていくと、虹の七色は以下の順になる。
  赤、オレンジ、黄、黄緑、緑、青、紫   


1.魚類の視角に関する研究

人は色をどのようにして感じているのだろうか。ここではまず、色覚知のメカニズムを解説し、そこからどのように見えているのかを、過去の文献を引用しながら考察していきたい


 人の(人に限らず動物の)眼は、外界の光を網膜上に結像し、このスクリーンに結んだ光を網膜の感覚器である錘体および桿体で感じ取ることで、物体の視覚的情報を得ている。この錘体および桿体は、網膜上でその分布区分があり、中心付近に錘体、周辺部に桿体が存在する。そして色を感じることのできるのは錘体のみであり、桿体は光の明暗を感じるだけである。しかも錘体の分布は眼の中心から、視野にしてわずか2°の範囲に限られ、それよりも外側は本来、色を感じ取ることができないモノクロの世界となる。
「なに言うてんねん。わしの見えているもんには全部色が付いとるわい。」
西の御人は言うかもしれない。ところが事実なのである。

 実験をしてみよう。色の付いた紙を何枚か用意すれば簡単にできる。
1) まず自分の正面に何か注視できるものを置いて、これだけを強く見つめ続ける。
2 )この状態で用意した色紙を、手をいっぱいに横に延ばした状態で持つ。
ここではまだ色紙は見えないはず。
3) 徐々に手を前の方へ移動していくと、色紙の存在は確認できる位置にくる。しかし まだ、その色は確認できない。(ちゃんと正面を注視し続けないとだめだよ。)
4) もうちょっと前(正面から30°くらい)までくると、ようやく何色か見えてくる。
5) ここから逆に手を横方向へ戻してみよう。一回認識された色紙は、かなり後ろまで 戻しても色が付いているように見える。

「なるほど、色がわかるのは記憶によるものが大きい訳ね。」
東のお方はおっしゃるかもしれない。その通りなのである。

 色の認識は一瞬、視線を移したことにより錘体で感じ取られた色を記憶していることで、脳が画像情報の補正をしているのである。その他にも直接錘体が見なくても、過去の記憶から色補正を行う場合もある。
いずれにしても我々は、視線の中央部でだけ色を認識し、周辺部では明暗、ものの動きだけを識別しているのである。
(”色彩ワンポイント” 日本規格協会)


 さて、本題に入ろう。それでは魚の場合、どうなっているか。
 魚の両眼は人に比べて側面に位置しているため、片眼視野はほとんど360°全部にわたっている。逆に両眼での視野は、正面から約30°の狭い範囲に限られる。そしてやはり、色を認識できるのはほとんど正面のわずかな範囲のみとなる。魚の場合に記憶による色の補正がどの程度行われているのか、まだ定かではない。が、側方については人の場合以上に光の明暗あるいは動きしか感じられないとみるのが妥当であろう。
 次に垂直方向の視覚分布はどうであろう。これは眼底における錘体および桿体の分布密度を調査することにより知ることができる。魚の場合、魚種により面白い結果が現れている。これは海水棲の魚種についての研究結果であるが、マグロ、鰹の仲間では眼底の下半分に錘体、桿体が密度濃く分布している。一方、鯛等では上半分の分布密度が高い。これは何を意味するのか。

 お気付きの諸兄も多いかと思うが、魚の食性による視点が影響している。すなわちマグロ、鰹の仲間は自分より上方にいる小魚を、下方から監視し捕食する。逆に鯛は海底にいる海老等を上から発見して捕食する。これら餌食を魚の目のレンズ(水晶体)を経て眼底に結像したとき、マグロ、鰹では下半分に、鯛では上半分に錘体、桿体が多く分布していることが求められるのである。
ではバスの場合、どうであろうか?残念ながら現在のところ、直接的にバスの視神経について研究したという文献はない。しかしバスの体型、および目の位置から推測して、バスは本来、主に上方の小魚を捕食して生きてきたと考えられる。図に示した魚体の断面形状と目の位置を参照して頂きたい。
 日本で捕獲されたバスの消化器の内容物を調査した研究では、海老類の占める割合が非常に多いという結果が示されている。これは日本の湖河におけるバスの対象として、海老の存在が非常に大きな割合を示している事実に基づくものであるが、たかだか2,3十年の日本での生息史により食生活は変わっても、バスの本来的な体構造までは変格していないと考えるのが妥当であろう。

魚体と視覚

 まとめに入ろう。バスを釣ろうと考えたとき、バスの持つ視覚という観点からは以下のプランが立てられる。

(1) 魚は動くものに対しては、360°の視野をもつ。ファストムービングルアーは、 どこでどちらを向いているかわからない魚に対し、非常に有効である。
(2) 魚は正面にあるものの色しかわからない。魚の位置や向きと唐変木な場所で、必 殺のカラーを決めてみても無駄である。ファストムービングで色を凝ることも、あ まり意味はない。
(3) バスは上目使いである。いつの世もトップ、サーフェィスが基本!
(4) バスの位置が特定できて初めて、小さな動き、複雑な色が効力を発揮する。あた りが無いからといってルアーの色を変えるよりは、バスが今どこにいてどの水深を 意識しているかを探ることが重要である。そのためのルアーチェンジをする事。

バスフィッシングを科学する

・ 競馬は血統の研究から入る。
・ 車はスペック重視、メカ重視だ。
・ 家電の衝動買いはしない。
そんなあなたなら分かるはず。そう、バスフィッシングは頭脳のスポーツなのです。
釣りは湖に立った時に始まるんじゃない。書斎で地図や天気図、去年の気象を調査している時から始まっている。魚が釣れてから後付けしたような理論は理論じゃない。そこに魚がいるのは「必然」だからだ。そのルアーで釣れるのは「必然」なのだ。その「必然」を科学の目で見つけよう。
(続々更新中)


1. 魚類の視角に関する研究
バスはどこをどのように見ているか?視角という切り口で迫る。  
だからトップだって言ったんだよ!

2. 魚類の色感覚について
バスの見ている世界は?バスの色感覚は人とどのように異なっているか。なんでチャートリュースなのか考えたことある?
             
3. 琵琶湖における水温、水流の年間変化
琵琶湖の水深ごとの水温の年間変化を測定したデータから、フォールターンオーバーの正体がわかる。これ、必見です。

4. 湖の流れを決定するもの
湖の水流の決めるものは何だろう。風?川の流れ?それだけじゃ50点だな。実は意外な事実があるんです。   
                         
5. 小魚、稚魚の分布調査
ベイトフィシュはどこにいる?河川の岸タイプ別に魚種と魚数を調査。とりあえずアシ原からアプローチと思っているあなた、チェックです。
              
6. 魚の視力について
魚の視力ってどのくらいなんだろう。近眼?遠視?水の濁りや水中の明るさによっても、見え方は違うはずだよね。
             
7. ウイードについて考える
北浦のウイードエリアには妙な傾向があるのを知ってます?細長い北浦はなぜか東岸にだけウイードが広がっている。今回はその謎にせまる。

8.実験池におけるオオクチバスの釣られやすさに見られる個体差
バスの釣りやすさって個体差があるのかな?一度針がかりしたバスは学習して2度とルアーに掛からなくなるの?これを真面目に実験で確認した人がいるんです。
     
9.琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる摂餌生態の推定
Match the bait 釣りの基本であるこの言葉を実践するならば、まず敵を知ることが重要だ。今回の論文は琵琶湖のバスを解剖して胃の中に何が入っているかを詳細に分析した。

10.琵琶湖南湖の早春の水流と水温
湖の春はどこからやってくる?琵琶湖北湖と南湖の境界である琵琶湖大橋を中心に、密度流という聞き慣れない流れが生じます。それってなに?

11.コクチバスによって捕食されるウグイの最大体長
Big beit, Big bass. 言い尽くされた言葉だ。でも本当はバスはどのサイズのベイトを食べているんだろう。そしてバスはどのように捕食するんだろう。後ろからチェイスして一飲みだろうって? 普通そう考えるよね。でもどうやら違うらしい

12.ブルーギルの繁殖行動
今回は男と女のお話です。たぶん釣りには何の役にも立ちません。むしろ人生のお役に立てるのではないでしょうか?(嘘つけ!)

13.さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響
春一番が吹く2月中旬、バス君はぼちぼち一大イベント:スポーニングの準備を始める。ではバスのスポーニングについての文献を調査し、バスがいつどこでどうやってスポーニングするのか、改めて調べておこう。

14.移植されたコクチバスの繁殖特性
いよいよ春の到来だ。バスはスポーニングに向かい行動を始める。では諸兄はバスのスポーニングについてどの程度知っているだろうか?どこにネストを作り、どういった行動を取るのか?確認しておこう。

15.滋賀県湖南地域における魚類の分布パターンと地形との関係
バスを求めて琵琶湖本湖から周囲の内湖やインレットにまで進出しようとしてる諸君、耳かっぽじってよく聞き給え。そんなところにランカーはいない。ブルーギルばっかだよ。と言う事を琵琶湖博物館さんが調べてくれています。

16.「魚は傷みを感じるか?」 分析編 - 1
なぜ魚は針に掛かるとあんなに激しくファイトするんだろう。釣り人は自分勝手に考える。「それは魚が身を守るために、必死で逃げようとするから。」 本書の筆者はそうではない、それだけではないと結論付けた。魚は痛がっているのだ。

17.「魚は傷みを感じるか?」 分析編 - 2
前章で魚は刺激に反応してそれをストレスと感じていることが分かった。では魚はそのストレスで苦しむという「意識」を持っているのか。本章では魚の心の中を覗き込もうとしている。

18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 1
今回のテーマは我々バサーの原罪と言える。「在来魚種の減少はバスのせいなのか?」
霞が浦および北浦における過去の漁獲量、水質、施設環境の変化を調査し、漁獲量減少の原因を調査分析した結果は、巷で声高にアジテートされてきた事象とは異なる事実を明らかにしている。

19.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 2
前編に引き続き、霞が浦および北浦における漁獲量減少の原因を解析した。「バスが小魚を全部食っちまうからヘラなんてもういないよ。」 「霞のワカサギはバスに食われて絶滅だ。」 声高に叫ばれる外来魚根絶の根拠は、なんと的外れだったことか。

20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化
Match the Bait! 北浦のヨシ原に生息する魚類の種類と生息数を、季節ごとに調査した。そうか、そこはピンテールのダウンショットじゃなくて、ジグヘッドのパドルだったんだ。

21. 稚魚まで食べるブラックバスの駆除も“リバウンド現象”で稚魚が急増
琵琶湖内湖の小さな沼でバスの成魚を駆除したら、かえって子バスが増えて琵琶湖水産試験場が驚いたという、小噺みたいな話。アタリマエの事を悪魔の仕業のように書き立てる大新聞にイラっとする。

22.仮説:デカバスは子バス淘汰が生み出す
コロタオリジナルのビッグバス育成理論。当たるも八卦当たらぬも八卦だぁ! だから言っているんだよ。
「ネストは撃て!」

23.白樺湖における生物操作に伴う移入種オオクチバスの食性変化
風光明媚な白樺湖で行われていたのは、Bio-Manipulation 。なんとおぞましい響きか。バスを排除しようと躍起になっている生物学者様は一方でこんなことをやっていたのだ。所詮外来生物法なんて、人に都合が良いか良くないかが分かれ道なのだよ。

24.茨城県北浦の沿岸帯におけるチャネルキャットフィッシュの摂餌特性
たまにはナマズ釣りもいいよね。ひたすらジタバグを投げるのもいいが、本気で釣りたいならナマズ君の食性を知らなければ。基本は Big Bait, Big Fish ! なのだよ。

25.北浦の水層構造の数値解析
北浦における3次元手的な水流を数値解析により求めた。春から夏、そして秋へと移ろう季節で水はどう流れ、水温はどのようになるのか。バサーたるもの水温計くらいは持って行って、魚のいる層を考えながら釣ろうよ。

26.琵琶湖北湖における外来魚ブルーギルの繁殖生態
ブルーギルもブラックバスと同様、ネストを作り産卵と子育てをすることが知られている。これを詳しく調査するとバスとは違う特性も見えてくる。彼らはコロニーを作っているのだ。

27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題
外来魚対策として琵琶湖レジャー条例により外来魚のリリースを禁止した滋賀県。それはどこを目指しているのか、この文献で垣間見ることができるのだが。その合理性のなさよりも何よりも、今の琵琶湖の漁業の実態を見せつけられてたじろぐ。それは方向性として間違っていないか?

28.プリスポーニングの傾向と対策
この編はスポーニングをめぐるこれまでのアーカイブのレビュー。なので新ネタはなしです。


       (続々追加中)

  
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