プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から
バスリンク

Ponanzaが将棋の名人に勝った。 じゃバス釣りもAI化?

 AIの進化が止まらない。将棋の世界ではPonanzaが、碁においてはアルファ碁が、ついに人間の名人を打ち破った。あれほど複雑なゲームにおいても、既にコンピュータは人間を凌いでしまったのだ。これを素晴らしい出来事と見るか、恐ろしい未来の前兆と見るか、見解は様々だ。そこの議論はここでは脇に置いておこう。私がそこで考えたのは、じゃあバス釣りだったらどうなのか、だ。(何を見ても釣りに辿りついてしまうのは、相当中毒症状が進んだ証拠か)

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 実は私は船釣りが嫌いだ。ベテランの船頭さんにその日その時のベストポイントに連れて行ってもらい、さあどうぞと釣りを始める海の船釣りが大嫌いだ。だってつまらないでしょ。試験の答えを船頭さんが教えてくれていて、我々はその答えを解答用紙に書くだけなんだから。時には船頭さんが間違った答えを教えてくれちゃう事もあるし、解答の仕方(即ち釣りのテクニック)で点数(釣果)が変わったりするのだが、所詮は船頭さんの掌の上で釣りをしているに過ぎない。そこが今一つ好きになれない理由だ。
 もちろん分かっているのよ。船釣りをするにも、知らなければならない事、工夫しなければならない事がたくさんあり、釣果は腕次第で奥が深いってことは。まあ個人的好みの問題なんだけどね。

 で、その船頭さんの代わりにAIがポイントを教えてくれたら、どう思う? 過去の実績、その日の天候、潮廻り、直近の釣果データ等から、その日の最適ポイントをはじき出すことは、現代ならコンピュータの方が信用できるかもしれないよ。何たってメモリのサイズがそこいらの船頭さんよりはるかにでかいんだから。それでも船釣りは面白いだろうね。人に案内されてもAIに案内されても同じだもんね。

 ではバス釣りなら? AIが教えてくれた今日のベストポイントで、AIの指示に従ったタックルとルアー、釣り方で釣りをしたい
「今日はアフタースポーニングの雌バスを狙ってください。ポイントは〇〇湖の××ワンド。朝6時までに到着してフリッピングロッドに4/3Ozのラバージグ、スカートは黒赤、3inのクローをセットして下さい。図示した通りワンド東端から2つ目の葦のクビレ目から約30cm毎に1投、チェックを重ねて下さい。シェイクは上限に5cm、7回以内で行います。それから。。。」
 じゃかましいわ! AIごときに一々釣りの指示されてたまるかい!って思うでしょ。そんな事は自分で考えて自分で決めるわい!って思わない? ねっ、考える釣りの楽しさが分かるでしょ。考えないで釣っているって、AIに指示される釣り並みにむなしいんじゃない?

 そのうちAIに操縦されたドローンが、勝手にルアーを投げ込んで勝手にバスを釣ってくる時代が来るかもよ。アルファ碁ならぬアルファバスのトーナメントが開かれるようになったら、君は見に行く?
 

なんでバスプロってバカっぽいの?

 たまに釣りVisionのバス番組を見る。いや、よく見る。だが大半の番組は半分も見ないうちにチャンネルを変える。面白くないから。面白くないだけでなく、バカっぽくて不愉快になるから。ベテランと呼ばれるプロの釣りや、本気のトーナメントの実況は面白いよね。田辺、川辺、菊本あたりは見ていて参考になるし、ちゃんと釣りしている。たまにやる公式戦の中継はもっと面白い。
 でもよく知らないバスプロ(なんだろうな、たぶん)が出てきて、やたらにはしゃいでいるのを見るとゲンナリする。「よっしゃ~、ウギャァドギャァ」 竿を持って水辺で踊ったり、でかいおにぎり一気喰いしたり、自慢にもならない自慢こいたり・・・。こういう下品なのを若いバサーは喜んで見ているのかなあ? キャプションにしたって「この新しいルアーが良かった」「前回ここに魚がいた」「新発売のロッドが功を奏した」・・・。つまらない。参考にも何もならん。

 これは前述のベテラン達も同じ。もちろんもう少しパターンフィッシング的なことを言ってはいるが所詮、後出しジャンケン。「今日は急に気温が上がったし、水は濁りが入っていた。日光もきつかったので〇〇のポイントで××の釣りをしたら、魚が出た。」 結果論じゃなくて釣る前の仮設を言ってよ。彼らクラスならその時の気温・天気・風、直近の天候変化、人のプレッシャー、上下流の状況(耕作とか水門とか)etcetc・・・。たぶん頭の中では種々の情報をかき集め分析しているんだと思う。でもそれらを番組では解説してくれない。なぜ? 視聴者はそんな事に興味がないのかな?
 
 それはねぇ、バスフィッシングにとって一番おもしろい処をパスっているに等しいよ。シーズナルパターン、地形を読むマクロにミクロに、気候を読む、水・風・日光・気圧、ベイト・水鳥・人の動き、考える事は山ほどある。バスプロも初めて入る湖では地図を頼りに色々と考えを巡らせて釣るんでしょ。その「考え」を教えてほしい。
これを突き詰めると、実際にフィールドに出なくてもけっこう楽しめる。いわば詰将棋のおもしろさだ。

さあ君も明日からロッキンチェアーアングラーの仲間入りだ! 

20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化

(碓井ら;日本水産学会誌 81(6)964-972 (2015) )

東京大学、茨城大学、茨城県水産試験が共同調査した本研究は、北浦のヨシ原に生息する魚類の構成を年間を通して調査し、その季節変化を追跡したものだ。Match the bait を標榜するバサーなら知っておいて損はないよ。
例によって論文に記載されている内容は黒字で、私のコメントは青字で表示した。


ヨシを主要な構成種とする抽水植物群落(以下、ヨシ原)は日本国内の湖沼や河川下流域の典型的な水辺植生であり、多種多様な魚類が出現する場所である。抽水植物帯は、沈水植物帯と比べて水中での構造的な複雑性が小さいものの、沈水植物帯と同じように魚類の餌場や捕食者からの避難場として機能していると言われている。最近では保障の岸際がコンクリートで護岸されてヨシ帯が消失すると。7魚類の種多様性と総個体数の低下が起きることが報告されている。
本研究では,霞ヶ浦を構成する湖の一つである北浦に 残存する典型的なヨシ帯において,小型地曳網による 2年間の定量採集を行い,ヨシ帯に出現する魚類の種数, 個体数,種組成,体長といった魚類群集構造の季節的変化を明らかにしたので,ここに報告する。

かつて北浦の湖岸全域には広大なヨシ帯がみられたが,1971 年からの霞ヶ浦総合開発事業の干拓や埋立て,護岸整備によりヨシ帯の多くが直接的に破壊された。近年でも,治水利水のために高水位管理が行われている時期には,波浪による浸食作用などが原因でヨシが倒壊し,ヨシ帯の劣化や消失が続いている。現在,北浦のヨシ帯は流入河川の河口付近や入り江の湾入部など,波浪の影響を受けにくい場所にわずか に存在するのみとなっている。
本研究では,北浦の西岸に位置する宇崎地先のヨシ帯 を調査地に選定した(Fig. 1)。本調査地は入り江の湾入部に位置しているため,波浪の影響を受けにくく,湖岸線に沿って長さ800 m 程度の大きなヨシ帯が存在している。また,水深は1m以浅で,底質は砂泥である。調査地から400 mの位置には,小規模な河川(雁通川)が流入している。

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ヨシ帯に出現する魚類の季節変化を明ら かにするために,2009 年 4 月から2011 年 3 月にかけ て,宇崎のヨシ帯前縁において(Fig. 1),毎月1 回の 頻度で日中に魚類の採集を行った。採集には小型地曳網 (袖網長4m,高さ1m,目合2 mm×2 mm胴網部の 長さ4m,目合 1 mm×1 mm)を用いた。
ヨシ帯において,小型地曳網により採集した魚類の種数と総個体数および優占種の個体数は,1 曳網(80m2)あたりの平均値で示した。

調査地のヨシ帯における水温,電気伝導度,濁度,溶存酸素量の経月変化をFig. 2 に示した。電気伝導度の平均値は0.18~0.33 mS/ cm の間で推移し,水温と同じように夏季に高く,冬季に低くなる傾向がみられた。一方,濁度溶存酸素量の平均値は,調査期間中それぞれ約18~57NTU と 7.5~14.8 mg/L の範囲で変動し,季節的な変化は認められなかった。

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調査期間を通して採集された魚類は, 9 科 22 種 13,892 個体であった(Table 1)。科別の種数はコイ科が9 種と最も多く,次いでハゼ科の5 種で, 残りの7 科では1 種もしくは2 種のみであった。個体数では,ハゼ科が8,873 個体と最も多く,全体の63.9%を占め,次いでサンフィッシュ科(2,781 個体,20.0 %),シラウオ科(1,161 個体,8.4%)であった。最も優占した種はヨシノボリ属の一種Rhinogobius sp. で全採集個体数の47.1%を占め,次いでブルーギルLepomis macrochirus macrochirus(19.8%),ヌマチチブ Tridentiger brevispinis ( 12.5 %), シラウオSalangichthys microdon(8.4%),ウキゴリGymnogobius urotaenia(3.6%),モツゴPseudorasbora parva(2.9%),ワカサギHypomesus nipponensis(2.0%),クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius(1.4%)であった(Table 1)。これらの 8 種で全採集個体数の 97.7% を占めた。
優占種上位8 種の個体数密度の経月変化をFig. 4 に示した。
ヨシノボリ属の一種は主に春季から夏季にかけて採集され,6 月に個体数密度のピークがみられた。ウキゴリとクルメサヨリの2 種は春季から夏季の数か月間にのみ出現し,5 月から 7 月に個体数密度のピークが存在した。一方,ブルーギル,ヌマチチブ,シラウオ,モツゴ,ワカサギの5種は半年からほぼ周年にわたって出現し,4月から9月に個体数密度のピークがみられた。

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ここまでで、あれって思った人はいます?そう、成魚がいないのよ、バスの。北浦のヨシ原ならば少しは捕まってもいいと思うが、2年間で捕獲総数25匹、最大長 307mm、出現率は13892尾中の0.18%。これは解析圏外だな。でも、捕獲方法が小型地引網なので、成魚は素早く逃げた可能性が高い。春のヨシ原で全くバスがいないっていうのは寂しいよね。

本研究で採集された魚種の多くは水温が上昇する春季から夏季にかけて繁殖し,成長するものであり,調査期間中にはそれらの成魚や仔稚魚も多く採集された。したがって,このような種数,総個体数,種組成の季節変化は,春季から夏季に繁殖や成長のために多くの魚類がヨシ帯やその近傍に来遊してくることによるものと考えられる。

いずれの種も岸近くで産卵するが産卵時期や産卵基質は種によって異なっており,モツゴは春季に植物体の枝や茎に,ブルーギル は夏季に砂礫底に掘ったすり鉢状の巣に,ワカサギとシラウオは冬季から早春に砂底に,ヌマチチブは春季から秋季に礫などの下に産卵することが知られている。
ワカサギとシラウオについては,沿岸帯から沖帯まで湖全体の表層から底層を遊泳し,ヨシ等の構造物に群れる習性はなく,ヨシ帯での個体数密度は近接する護岸帯と同等,またはそれより低いことも確認されている。

通過遇来型にはヨシノボリ属の一種のみが属した。本種は夏季(主に初夏)に仔稚魚が大量に出現したが, ヨシ帯で成長する傾向は認められなかった。霞ヶ浦において,本種の成魚はウキゴリと同様に流入河川に主に生息するが,仔魚は湖沼で浮遊生活を送り,底生生活へ移行した稚魚が河川へと遡上することが知られている。

以上のことから,本調査地のヨシ帯の魚類群集構造は 春季から秋季の期間と冬季の期間でまったく異なるこ と,またヨシ帯が多くの魚種によって一時的な成長の場,あるいは定住の場として利用されていることが示唆された。


なるほどね。我々が抱いていた感覚と大きなズレはないが、やはり参考になる部分が多い。
1)ヨシ原に最も魚が集まるのは春から夏。特に6月から8月だ。
2)逆に冬季にはほとんど魚が見られなくなる。わずかにモッゴとブルーギルが見られるが、その数は夏季の1/10程度。
3)ヨシノボリ等のハゼ類が圧倒的に多い。ついでモッゴ等のシャッド系。ワカサギはあまり寄ってこない。

という事で、我々が春から夏にヨシ原を撃っているのは見当外れではない。ベイトがいるからバスがいて、バサーもいるのだ。ヨシノボリチックなジグヘッドやラバジで底を叩くのも正解。
一方でシラウオかワカサギを連想させるダウンショットってどうなのか?ヨシ原じゃやらない? それで正解!
シャッドは?ヨシ原でシャッド系かぁ。どうしようか。そういやぁシャッド系ソフトルアーってないよね。いわゆるシャッドテールはあるけど、あれでモッゴを連想できる? 形も動きも違うよなぁ。もっと平たくて、ピッツピッと跳ねる感じ。姿勢制御が難しいからかな。フックを工夫すればできると思うけど、どっかで作ってないかしら?



津久井湖釣行を計画する(後編)

津久井湖釣行を計画する(前編)に引き続き、後編を。

さてスポーニング真っ盛りの沼本ワンドで、もう釣れて釣れて飽きちゃった。でもネストを守っているバスは雄。第1陣のスポーニングバスは大きい魚から産卵するというセオリー通り、40cmはあるそこそこサイズだが、ここ津久井では50cmを越えないとランカーと呼ぶには程遠い。では50cmをゆうゆうと超える雌バスはどこに?
実は雌のバスは、体内に宿した卵を一度の産卵で全て産み付けるのではない。何度かに分けて産卵する。故に今、雌バスたちは次の産卵に備えて体力を養っているはずだ。どこで? 恐らくはネストのあるシャローからさほど離れていない。シャロー近くで身を隠せて、しかも産卵のための食餌にありつけるところ。その条件を満足するのは、①シャローに続くチャネル  ②ブレイクライン ③シャローエリアのカバー、ストラクチャー ④葦際 。①は沼本ワンドには存在しないと言ってよい。②もかなりワンドから離れることになる。ならば③と④だ。③であれば、ワンド内の島の木陰。④は減水からの回復次第だが、この時期の葦芦は成長が早く、5月中旬には十分カバーとしての役割を果たしてくれるだろう。
よし、Bプランは、葦際へのテキサス&ラバジでウェピングを本線にしよう。葦の状態が今一の場合は島廻りのカバー撃ちだ。こっちはノーシンカーの大き目グラブやスティックベイト、フォローでネコかなぁ。

なに? いつまで夢を見ているんだって? いいんだよ、所詮は夢なんだから。でも現実的な想定では、「おっかしいなぁ。ネストバスなんていないのかなぁ?ダメじゃん!」って事もある。そんな時のプランCは?
スポーニングに入ったバスがまだいないのか、あるいはネストバスに口を使わせることができないでいるのか。ネストを作っているか、あるいは既にネストを守っているバスがいるかは、目を凝らせば分かるだろう。ちょっと場を荒らしてでも確認しよう。で、ネストバスはいたと仮定しよう。ならばバスの口を使わせるにはどうする、という問題になる。
この場合はありとあらゆるルアーを使ってみるしかないな。前編ではリザードメインなんて言ったが、バス君がお気に召さないのならしようがない。色々試すしかない。ジグヘッド+チューブで小気味よくつつく。スピナベずる引き。サスペンドミノーをじっくり見せる。ネコでしつこく。なんでもいいや、しつこくしつこく攻めてみよう。

そうではなくて、ネストなんか見当たらないとしたら? まだ時期じゃないのか。あるいはスポーニングエリアを読み違えたか。それはないな。このワンドで産卵しなきゃ、どこに行くって言うの?ありえない!そう信じれば理由は「まだ産卵していないし、ネスト作りもこれから」と言う事になる。この場合もプランBと同じ攻めだな。ただし狙うエリアはシャローに続くブレイクライン、ワンドの奥から右手のインレットよりもっと右、もしくは逆に左側に下って道志川との合流地点だな。

結局今回もロッキンチェアーアングラー止まりなのかぁ? あ~釣りに行きたい!

津久井湖釣行を計画する(前編)

時はまさにゴールデンウィークの真っ最中。後輩達も飽きもせず常陸利根川、鰐川といつもいつものドックを巡って来たようだ。リタイアマンの俺は好き好んでこんな時に出かけない。と、激混みの中でスキを見つけて3人が一応型を見たと報告が入った。まあね、この時期だから釣れてアタリマエなんだけどね。例によって例のごとくドックってぇのが何とも情けないが・・・。なぜシャローに行かない。なぜサーフェースで勝負しない。

しかしそんな話を聞くと、ロッキンチェアーアングラーの腕が疼きだす。では久々にバーチャル釣行に行くか。今回はどこにしようかな、と言う事でご近所の津久井湖に決定。慣れ親しんだ沼本ボートから手漕ぎで出船だ。沼本ワンドは大好きな釣り場。ワンドのシャローと芦原、島、リバーチャネル、崖下への小さなインレット、マンメイドストラクチャー、道志川本流・・・。ありとあらゆるスポットが点在し、そのどこにバスがいるのかを見つけ出す楽しさが味わえる。めっちゃしぶいんだけどね。
日時はそうだな、GWで叩かれまくった余韻が消える頃、5月15日にしよう。「8.オオクチバスの釣られやすさに見られる個体差」でも紹介した通り、バスは1週間は釣られた、と言うか刺激を与えられた記憶を残しているようなので。
5月15日の天気予報はまだ詳細に出ていないが、1か月予報では概ね晴れ、気温は高めという。水温や水位の情報は、沼本ボート津久井観光のHPを参照する。5/02時点の沼本ワンドは水位はほぼ満水、水温15℃。GW以降の日照と高気温により5/15にはもう1,2℃上昇しているだろう。水質はクリア、水位はゆっくり減水しているとのこと。そして特筆すべきはこの春、津久井は大減水していた。ワンドにまで水が入ったのはほんの1か月前、それまでは干上がっていたのだ。これをどう見るか?(画像は沼本ボートHPから)

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         満水時

沼本ワンド
         減水時

広大な沼本ワンドのシャローは恰好のスポーニングエリアであり、ベイトフィッシュも多いことから、本来なら今の時期は第一級のスポットとなる。しかし1月前まで草原だったと言うことは、、、。いや、いけるな。ウィードの再生力はすさまじく、1か月あればそこそこ回復しているのではないか。そしてほぼ1か月干上がっていたことが、むしろスポーニングには適した硬い底質に変えてくれたのではないかと推察する。ならばワンドを中心に組み立てよう。
狙いはネストバス。そう、ネストのバスは撃つべし!なのだ。[「アカゲザルの交雑種駆除」からブラックバスの現在を考える]でも述べたが、ネストバスは釣つべきだと考えているのだ。どう撃つか?私ならリザードのキャロだな。サスペンドプラグでもいい。これをネストに近付ける。見えればよし。見えなくても、ワンドの1mラインを中心にねちっこく。ネストのバスはベイトフィッシュを食べようとはしない。卵に近付く外敵を威嚇、排除するのだ。だからスコンと吸い込みはしないだろう。コツッと一瞬突いておわり。一瞬の勝負だ。ショートバイトとも違う。これを掛けるにはオフセットのフック1本では不十分。アシストフックを使おう。プラグのトレブルフックなら文句はないが、よ~く研いでおこう。
14.移植されたコクチバスの繁殖特性」で示した通り、ネストは集中的に1m間隔で並んでいる。1つ見つければ宝の山だ。そしておそらく、あくまで想像だが(仮説と言ってもいい)ネストのバスは卵を守るという本能に基づいて行動するので、隣のネストのバスが釣られても、あるいは自分が昨日釣られていても、目の前の敵は突きに来ると思う。ならばなおさら宝の山だ。
これは一度実験してみようかな。釣れたバスの(あくまで釣れたらの話)背ビレの一部を切り欠いてマーキングし、しばらくしてもう一度釣ってみよう。もう一度掛かるようなら、この仮説は成り立つことになる。

話は変わるが、沼本ボートの水位情報を見ると、上流の道志ダムの放流情報と共に、宮ケ瀬ダムの情報が載っている。あれっ?って思いませんか。宮ケ瀬ダムは中津川上流のダムなので、相模川と合流するのはずっと下流、厚木だ。なぜ沼本ワンドの水位に関係するのか? 実は宮ケ瀬湖と道志ダムの奥相模湖は地下の道志導水管で繋がっている。同じく宮ケ瀬ダム下の中津川と沼本のすぐ上流の道志川も津久井導水管で繋がっている。相模水系はこれらを総合的に管理して水量調整を行っている。だから宮ケ瀬ダムが放水すれば、その水は津久井導水管を経由して津久井湖にもやってくるのだ。
宮ケ瀬ダムの放流情報は国交省のダム情報ページ。相模ダム等の情報は神奈川県ダム放流情報ページを参照のこと。
これは平成10年開設、まだ運用から20年も経っていない。治水、水源利用は大いに結構なのだが、またまた自然を歪めちゃったね。ちなみに宮ケ瀬湖は全面釣り禁止だから。既にどこかのバカがバスを違法放流したようだが、頼むからこれ以上自然を歪めないでくれ。

話は大きく逸れてしまった。元に戻せば、5月15日の釣行は沼本ワンド一本でいいと思っている。それで釣れて釣れて、もう飽きちゃったら(一度でもそんな目にあってみたい)、逆にウンともスンとも言わなかったら・・・・

(後編に続く)

19.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 2

(熊丸;茨城県内水面水産試験場調査研究報告 35,25-41(1999) )

熊丸は霞が浦北浦における漁獲量が1999年から過去20年間に減少した原因を調査するうち、両湖に流入する有機物等の負荷量は大きく変化していないことを確認した。一方、全菌数については斬減傾向を示しており、漁獲量の減少はバクテリアの減少がもたらす要因、即ち湖内物質循環における分解過程に何らかの変化が起きていると考えた。
以下では前編に引き続き、著者の原文を黒字で、私のコメントを青字で記した。



それでは分解過程のどこに変化が生じているのであろうか。バクテリアの増殖を左右する要因(水温条件、有機物の量的・質的条件,好気的・嫌気的条件等)についての経時的な把握検討が必要となる。このうち、水温条件については過去20年間において徐々に低下してきた経過はない。また有機物については既に20年間で平衡状態であったことを既に述べた。したがって以下では溶存酸素量バクテリア増殖の関係及び有機物の質的な問題について検討する。

図13に霞が浦湖心についての水深別DO平均値を示す。図13から湖心における平均DO値は各水深とも年々低下傾向にあることが伺え、特に最深部における低下が激しいことを示している。
湖内物質循環において、酸素消費の多くは水中及び底泥の有機物を分解するバクテリアによって行われるが、霞が浦北浦においては水中有機物量は平衡状態にありながら、水中全菌数は漸減傾向にあることや、図13の水深別DO値の推移に見られる底層の減少傾向が大きいことから、有機物量の増加及びそれに伴う酸素消費量の増加は、水中よりも底泥に原因がありそうである。これを確認するため、霞が浦湖心底泥コアにおける泥深別N,P,C等成分について分析を行い、底泥堆積状態を調べた。

18-図13

採泥直後における泥の色は、泥表から泥深11cmまでは暗黒色、それ以下の泥深においては茶褐色を呈していた。このことは泥の深層部よりもむしろ泥表に近い層が定常的還元状態となっていて、低層付近における慢性的な低酸素水魂発生源になっていることを示している。泥層別成分分析の結果を図14に示したが、これらの結果から、強熱減量,T-C,T-N,T-Pの何れについても深層から表層に向けて増加しており、底泥堆積有機物量は年々増加していることが分かる。

18-図14
18-図14-2

さらに各指標について増加パターンを見ると、N,Cは22cm層から12cm層に掛けて急激に増加し、12cmより表層に向けてはやや緩やかな増加となっている。一方、Pは23~8cm層は緩やかに、8cmより上層で急増となっている。
これらのことから、12~13cm層に変極点があり、その前後において何らかの原因でN,Cに対するPの堆積比率が少なかった時代があったと思われる。
そうした変動が何によって生じたかを明らかにするためには、各泥層の年代把握が必要となる。浜田等(41976)は1975年に霞が浦湖心における柱状採取底泥についてCuと塩素量を分析し、それら含有率から昭和30~50年における平均堆積速度を6mm/year、表層付近は10mm/yearと推定している。
Naは海水の逆流量を、Cuは利根川からの流入水量をそれぞれ表す指標と見なされるが、1963年に常陸川水門が建設され、1974年以降は順流開放の完全操作が行われるようになったため、これ以降はこれら流入水量は極めて少量となっている。

底泥堆積物中にPの割合が増加する原因としては次の4つのケース
 ①C,Nに比べて特にPの流入負荷量が増大した。
 ②好気的条件下でのPの溶出が抑制された。
 ③C,NがそれぞれCO2,N2となって系外により多く排出された。
 ④嫌気的条件によってバクテリアによる有機物の分解が抑制された。
の何れかが考えられる。過去20年以降においてPのみの負荷量増量および、低層における環境条件の好転は考えにくいため、恐らく③または④の理由によるものと考えられる。このような底泥へのP蓄積増加傾向はまた、湖内物質循環におけるバランスのとれた生物生産活動がこの20年間において低下してきていることを示唆しており、漁獲量減少の原因もおそらくこのことが関係しているものと考えられる。

これを証明するため著者は、嫌気的条件及び好気的条件下での湖底泥有機物のバクテリアによる分解過程を再現実験した。その結果、湖底泥有機物を分解するバクテリアの増殖は、溶存酸素量が多ければ活発に行われることが確認された。
そして実験開始後の泥の成分分析の結果、嫌気的条件ではNおよびCの減少率が大きく、Pは増加していた。即ち上記4ケースの④の可能性が示されたこととなる。


なお霞が浦下流に建設された常陸川水門操作は、利根川河川水の逆流阻止による湖内置換率の低下(希釈効果の低下)と同時に、湖流を弱めることによる湖水の停滞、湖底への酸素供給量減少傾向を強めることになった可能性が大であり、その結果として近年の霞が浦湖底泥における有機物蓄積量増大はむしろ必然的な現象と言えるかもしれない。湖底泥有機物蓄積量の増大はまた、このものによる酸素消費量を増大させ、低層の慢性的残存酸素量低下をもたらすという悪循環が現在の霞が浦に生じている疑いがもたれる。さらにバクテリアは魚類の餌科生物である原生動物、ワムシ、ミジンコ等の重要な餌となっており、湖底の嫌気的環境条件によるバクテリアの減少は魚類資源にも少なからぬ影響を及ぼしているものと思われる。

以上、霞が浦北浦における過去20年間に渡って水産資源量が減少し続けている原因について水質の経年変化、底泥の有機物堆積状態により検討した結果、最も矛盾のない説明として、「湖水の置換率低下及び湖流の減少等、湖内環境の変化に伴って底泥蓄積の増加と低層における慢性的な還元状態が生じ、その結果底泥からの回帰が抑制され、湖内の物質循環が効率よく行われなくなったことが原因であるとの結論に至った。


ご理解頂けたであろうか。霞が浦北浦の漁獲量減少のメカニズムとして著者が示したのは、以下の通りである。
①常陸川水門は1974年以降、順流開放の完全操作が行われるようになった。
②湖内置換率が低下し、湖流を弱めることにもなった。
③湖水が停滞し、湖底への酸素供給量が減少した。
④湖底泥における有機物蓄積量は増大した。
⑤酸素消費量が増大し、低層の慢性的残存酸素量低下をもたらした。
⑥湖底の酸素量減少により、バクテリアが減少し、これを餌とする原生動物、ワムシ、ミジンコも減少した。
⑦原生動物などを餌とするイサザアミ、テナガエビ、ハゼ等の水産資源が減少した。

つまりは日本中で繰り返されてきた開発と自然のバランスの問題なのだ。諫早湾しかり、八郎潟しかり、多くのダムしかり。愚かな人間が自然に手を加えようとした時、その反動としてのアンバランスが自然界に発生する。東日本大震災後に建設中の東北各地の大防潮堤も同様の問題が発生するだろう。
そして驚くべきことに、この論文のどこにもブラックバスの名が出てこない。そうなのだ。このようなスケールの大きな環境変化要因に比べれば、バスの捕食の影響など取るに足らないレベルなのだ。
ただしこれは霞が浦、北浦という大きな、そして多様な環境を持った湖だから言える事だ。以前にも述べたが、より小さな単純化した湖沼にバスが侵入すれば、生態系は一挙に変わる。ある場合には在来魚種を文字通り食い尽くす。「15.滋賀県湖南地域における魚類の分布パターンと地形との関係」でも紹介した通りだ。
我々バサーはこの論文を免罪符にしてはならないことを肝に銘じよう。


18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 1

(熊丸;茨城県内水面水産試験場調査研究報告 35,25-41(1999) )

今回のテーマは我々バサーの原罪と言える。
「在来魚種の減少はバスのせいなのか?」
バスが湖にいる事がアタリマエの若い世代にはそんな原罪は無縁かもしれないし、釣り具メーカーに言わせれば何おか言わんやってとこだろう。しかしかつては日本に存在しなかったバスの侵入が在来魚種の減少、場合によっては根絶をもたらしたのではないかという「罪の意識」を、古いバサー、特に色々な釣りを楽しんでいる釣り人は感じている。
今回の論文はその原罪に一筋の光を射すことになるかも・・・

熊丸(茨城県内水試)は霞が浦および北浦における過去の漁獲量、水質、施設環境の変化を調査し、漁獲量減少の原因を調査分析した。水産業側の研究者によるその結果は、巷で声高にアジテートされてきた事象とは異なる事実を明らかにしている。
17pにおよぶ長文献なので、前後編に分けて著者の言葉を追っていく。私の文章は青字で、著者の原文は黒字で表す。


農林水産統計による霞が浦北浦における漁獲量の推移は、1978年以降明らかに急激な減少傾向を示している。少なくともハゼ、テナガエビ、イサザアミ、ワカサギ、シラウオ、コイ、フナといった主要漁獲対象魚種は減少したものと見られる。ここでは内水試湖沼観測結果等、既知資料および著者の行った試験結果により、資源減少原因について検討を行う。

1977年以降20年間における主要魚種漁獲量の推移を農林水産統計より抜粋して俵1、図1に示した。さらに各魚種の減少傾向について回帰分析した結果を図2に示した。なおここでは、資源減少の原因が藻場(産卵場)の減少にあることが明らかであり、生息の場が湖岸帯に限られているコイ、フナ類については除いた。

18-表1
18-表1_北浦

回帰分析の結果から、主要魚種の中でも漁獲量の多いイサザアミ、ハゼ類、テナガエビについては年率3~4%で直線的に減少していることから、これらの資源変動は湖内物質循環において年々徐々に変化している何らかの要因が関与しているものと考えられる。そこで過去20年間における湖内流入負荷量、湖内水質と漁獲量の推移について対比して検討を行った。

18-図2

一つは茨城県公共水域の水質測定結果によるもので、両湖に収入する代表的な下記の河川について測定最下流地点の水質(T-N,T-P)と流量を乗じて単位時間当たりの負荷量を求めた後、流入湖沼別に合計して得た値を各湖への流入負荷量とした。
 霞が浦:神明川,花室川,桜川,恋瀬川,園部川
 北浦 :巴川,鉾田川

以上により求めた流入河川からの霞が浦,北浦別、負荷量推移を図3,図4に示した。これらから、T-NおよびT-Pについては両湖とも1992年以降で減少傾向が認められるものの、20年間全体では漁獲量に見られるような漸減傾向にはなっていない

18-図3
18-図4

次に霞が浦、北浦流域における全負荷量(生活系及び各産業種別負荷量の合計)の推移を、霞が浦対策課資料を基に表3に示した。表3では湖内負荷量の増減変化はほとんど認められず、平衡状態にあることを示している。

18-表3

以上の2つの資料から、過去20年間における霞が浦北浦への流入負荷量に大きな変化はなく、少なくとも漁獲量に見られるような漸減傾向は認められないことが確認された。

この他にも湖内水質の推移を検証するため、溶存態栄養塩類:DIN,DIP,一次生産指標としてChl.a,COD,分解指標として全菌数を取り上げ、過去20年間の推移と漁獲量推移を対比した。
その結果、全菌数だけが漸減傾向を示しており、漁獲量の減少傾向と同様な傾向となっていた。他の指標はいずれも周期変動や季節変動は示すものの、20年間にわたってはほぼ平衡状態と見られる。

以上の事から過去20年間における漁獲量減少の主な原因は流入負荷量や一次生産にあるのではなくバクテリアの減少がもたらす要因、即ち湖内物質循環における分解過程に何らかの変化が起きていることによるものと考えるべきであろう。


どうです?水産資源減少という事実を、感情論や政治手法ではなく科学的に分析すればこのような過程を辿っていくことになる。実に真っ当な手法だ。ここまでの分析では漁獲量減少の原因は分かっていない。そしてこれまでのどこにもバスのバの字もブルーギルのブの字も出てこない。私はそれに(我ながら)違和感さえ覚えたのだが、後編ではさらに科学的分析を進めて真の原因を探りだしていく。

          (後編に続く)
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