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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

25.北浦の水層構造の数値解析

(北澤(東京大学),小松(茨城県霞ケ浦環境科学センター);生産研究速報60巻1号,2008)

 秋が深まって来た。我々、湖を主戦場とするバサーにとっては、盛夏の高水温から回復したバス達が盛んにベイトを追ういい季節になって来た。しかし並行して、いやな季節も近づいてくる。それはFall Turn Over。表層部の水温低下と共に湖の上下水層が入れ替わるアレである。日本最大の湖:琵琶湖のFall Turn Overについては、「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で詳しく紹介した。
では我がメインレイク、北浦ではどうなのか? ちゃんと解析してくれています。

 北澤らは、琵琶湖で行われた解析と同様の方法により、北浦の流動場、密度場を3次元解析した。いつものように私のコメントは青字、著者の論文は黒字で示す。

 図2に北浦の格子分割方法を示す。水平方向に500m、鉛直方向に50cmの格子で分割し、最大水深は8mとしたため、最大で16層に分割した。各格子において、流速と圧力、密度の変数をスタッガードに配置し、2.1の基礎方程式を有限差分法により解いた。
 タイムステップは30秒とした。計算期間は2006年3月1日~9月30日とし、風摩擦、熱フラックスの条件を計算するための気象データとして水戸、館野の気象観測データおよび釜谷沖の風向、風速データを用いた。また計算結果と比較をを行うための観測結果として、江川沖の水温データと阿玉沖の流速データを用いた。

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 図3に2006年6月20日~9月30日の江川沖(水深約7m)の水温観測値と計算値との比較を示す。
6月から7月にかけては、観測結果、計算結果ともに比較的長期間にわたって表層と底層とで水温差が生じていた。特に6月20日から7月5日までは、安定な成層が形成され、表層と低層とで最大約4℃の差が見られた。図4に、2006年6月20日~9月30日のバルク法により推定された湖面での熱フラックス流入量と風速の変動を示す。6月20日から7月5日にかけて、湖面への熱フラックス流入量は多く、7月5日に熱フラックスが流出(冷却)に転じたことで、コメンが冷却され、成層が一時的に消滅した。しかしながら、その後は再び湖面への熱フラックス流入量は多い時期が続き、7月18日頃まで比較的長期間の成層が形成された。
 一方、8月になると成層構造が長期間維持されることはまれになり、日成層、または数日間の成層が形成されるにとどまっていた。これは、低層の水温が成層期初期より少しずつ上昇し、6~7月は表層と底層の水温がほぼ同じ温度になるためである。
 9月になると、日成層もほとんど観測されなくなり、水温は鉛直方向にほぼ均一となる。特に、9月13日頃に、強い風と湖面冷却の進行により、湖水の鉛直混合が強まると共に、数日間で水温が5℃程度も低下した。これらの水温変化の特徴は数値シミュレーションによって概ね再現された。

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 ちょっと意外じゃない? いわゆるサーモクラインは夏の初めまでで、8月にはむしろ解消しているんだ。真夏は底層の水温の低い層にバスはいるって思いこんでいませんでした? 少なくとも北浦の底層は、水温は高いは酸素は薄いは、いい事ないみたいだよ。

 図5に、2006年8月28日~9月6日までの阿玉沖(水深約4.5m)表層と底層の南北方向流速変動を示す。計算結果においては、表層では風の向きとほぼ同じ方向に流れが生じ、底層では表層と逆向きの流れが形成された。流速は最大で0.2m/s程度であった。一方、観測結果は、10分ごとのでーたであるため高周波の変動があるが、計算結果と同様に表層と底層とで逆向きに流れが生じる様子が見られた。
 流速計測が行われた阿玉沖は、その北側から巴川と鉾田川が流れ込み、かつ湖底が勾配を持つ水域であるため、流れが河川からの密度流の影響を受けた可能性がある。

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 図6に2006年6月30日、9月6日の阿玉沖を通る長手方向鉛直断面の流速、水温分布を示す(右側が概ね北の方向)。6月30日は比較的長期的な成層が形成されている時期であった。この時は南寄りの風により表層では北向きの流れが生じ、また比較的温度が高い水が風下側に拭き寄せられるため、北側では水温が高くなった。さらに中層と底層では表層と逆向きの流れが生じており、湖内の水収支と保っていた。一方9月6日は、成層が消滅し、湖内全域の水温がほぼ30℃となっていた。北寄りの風が吹いたことによって、表層水が南向きに流れ、中層水と底層水は北向きに流れていた。いずれの場合においても、鉛直断面においては鉛直循環流が見られ、水平流速は0.1m/s程度、鉛直流速は0.1mm/s程度となっっていた。
 成層が存在している場合は、成層面での鉛直方向の運動量輸送が抑制されるため、表層と底層とで逆向きの流れが生じやすく、鉛直循環流が湖全体で発達しやすい傾向にあった。このように成層面の有無は鉛直循環の形態に影響を及ぼし、日成層が形成される浅水湖においてはその重要性が増すものと考えられる。

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 成層構造の変化は、北浦における貧酸素水塊の形成や消失に関与すると思われ、実際に北浦の複数の地点で6~7月に底層水が貧酸素化し、8月に回復する様子が観測されている。このような水質変化を再現し、流動場モデルと低次生態系モデルを結合した数値モデルにより、富栄養化や底層水の貧酸素化のメカニズムを解析する必要がある。


 この表層と底層の水平流の違いは憶えておいて損はない。底層において常時0.2~0.4m/sの流れが存在しているって事は、バスやベイトの動き、水草や水底の沈殿物・土砂の状態に間違いなく影響する。「ロッキンチェアー アングラーの1日 Vol.2」で検討した通りだ。
 そしてこれから湖はFall Turn Overの時期を迎える。バスもベイトもちょっと元気をなくす季節だが、だからこそ狙い処は絞り込める。頭を使おう、頭を!

あっちのドックは釣れるが、こっちのドックは釣れない、のは何故か?

 ホームグラウンドである北浦・常陸利根川水系には多数のドックが存在して、バスのポイントになっている。しかし、いつ行ってもほぼバスを掛けることのできるドックと、何回行っても釣れないドックがある。その差は何なのか? 考察してみよう。( と言うか、単独釣行の時には「釣れない、バスがいない」と思われるドックにはハナから行かないが)

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 例えば常陸利根川下流域の某ドック。ドック自体には何の変哲もないドックだが、バスのストックは多く、ほぼボウズを食らわない。それはなぜ?
ポイントは潮の干満であろう。川で潮流?と思うだろう。まして常陸利根川は常陸川水門により潮を堰き止めていて、利根川本流と同様に今は完全淡水化されている。しかし逆に潮の干満に合わせて水門の操作を行っているため、川の水位は潮の水位と共に上下する。満潮時には海からの逆流を防ぐため水門を閉鎖し、干潮時には開放する。よって常陸利根川の水位は潮とほぼ同期して上下するのだ。
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 すると何が起こるか。ドックは呼吸をするのだ。常陸利根川の水位変化に合わせて、高水位時はドックには川からの深浅な水が流入し、低水位時には流出する。澱んでいるのが常のドックに新鮮な水が供給される。それだけではない。狭い水門を通る水流にドックの底に溜まっているヘドロ・ゴミが流される。ドックの澪筋にはバスの好きなきれいなボトムが出現することになる。よって後輩達がしきりに岸際やボート裏を狙っている中で、俺はもっぱら澪筋狙い。それが功を奏する時も、後輩にしてやられる時も・・・
 まあ、釣りは己が納得できるかどうかだから。偶然バスが釣れたっておもしろくないでしょ。自分の組み立てたタクティクスの証拠がバスなんだから。

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 しかしそれならば、常陸利根川下流部のドックはどれも同じだ。でもココは釣れてアソコは釣れない。じゃあココには何がある? 実はココは常陸利根川南岸で常陸水門から最初のドックなのだ。バスは基本的に岸沿いにマイグレーションしてくる。その彼らが最初にたどり着くのがこのドックになる。
 一方で川の北岸にはより多数のドックが存在する。もっと水門に近いドックもたくさんあるが、それらに実績があるかと言うと、そうでもない。言わば密度が低いのだ。バスが多数のドックに分散しているのだ。

 水門操作による水位変化は最大で50cm程度。ドックにとっては大きいよ。バスもベイトも水流に誘われて移動するので、水位上昇に伴い水がドックに流入している時はドック内を、流出している時はドック外を狙う。タイミングは潮位表と水門操作スケジュールを照らしあわせれば計画できる。スケジュールは。「霞ヶ浦河川事務所」を参照されたし。(以前の「釣れ釣れなるままに」でも書いたね。)
 雨が多くて常陸利根川の水位が高い時には、潮位とは関係なく水門操作をする時もある。下の写真撮影時には干潮時、海側の水位は常陸利根川の水位より1mも低くなっていた。水門操作は行われず、ドックの水位はほぼ変化なしだった。

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 などと考えながらポイント選定していくと、ここはダメそうでアッチはヨサゲなんて考えるようになる。それがはまった時のうれしさはまた格別。外れたら? また考えればいいさ。
 


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