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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

29.関西空港護岸域のスズキの移動と回遊

「超音波バイオテレメトリーを用いたスズキの移動と回遊の記録」
    (平岡ら,水産学会誌 69(6),910-916(2003) )

今回の論文もなかなか興味深い。バスではない、シーバスだ。関西空港周辺で採集したスズキに小型発信機を取り付け、放流後の回遊をトレースしたのだ。
スパイ映画でお馴染のシーンが既に海の中で行われていたのだ。スズキは食餌や産卵のためにいつどこへ行くのか。そこに何等かのパターンがあるのか。ならばどこへいつ釣に行くべきか。大きなヒントが得られるはずだ

(黒字:原文 青字:ころた)

29-Fig1.jpg
実験に用いたサンプルのスズキは関西空港東側護岸のタンカーバースでルアー釣りにより採集した。これを開腹し腹腔内に超音波コード化発信機を埋め込む。大きさは8.5×25mm、重さ2.2g。発信機からは90秒ごとに超音波信号が発され、これを関西空港周辺に設置した10台の受信機で受信し、いつどの個体が近づいたかが記録される。

29-Fig2.jpg

実験は2回にわたり実施され、2001年8月30日に9個体、同11月16日に11個体を放流した。試験個体の体長は435~740mm、体重は640~3270gであった。

29-Fig4.jpg

結果はFig.4のように表示される。例えばF5という個体はStation-5から放たれたが、すぐに6-7-8-9-10と移動していき、その後は受信エリアから離れてしまった。F6の個体はしばらくStatrion-6に留まった後、受信エリアを離れ、10月になって再び空港周辺に戻って来たが、その後は護岸を離れた。F7は空港周辺の移動を繰り返しているが、受信エリアを離れることなく空港周辺に居ついていた。このように放流後に空港周辺の受信エリアを離れて行った個体が10体、ほぼ空港護岸域周辺に居ついていた個体が同じく10体あった。

遊漁者の間ではスズキには一地点に留まる「居着型」と、広範囲に移動する「回遊型」の2つの行動パターンがあると言われている。護岸域に留まった個体において、小潮期に複数個体が沖合へと移動する傾向と、寒波,低気圧の到来に一致した沖合への移動が見られた。この行動パターンから、小潮期には餌料生物であるイワシ類、アジ類、イカナゴなどが空港護岸域に回遊しないため、スズキは沖合へ索餌のため移動したと推測される。

大阪湾でのスズキの産卵期は11~2月、盛期は12月下旬~1月中旬であり、産卵場所は大阪湾南部、西部の比較的外洋水の影響の強い海域とされている。1月上旬の複数個体が護岸域を離れている時期はこの産卵盛期である。1月上旬に見られた沖合への移動は、低気圧の通過、寒波の襲来に伴う混合により生じた急激な水温変化に誘発された産卵回遊であることが考えられる。

29-Fig7.jpg

以上は大阪湾のスズキの回遊についてだが、東京湾でも同様の生態を示していると考えられる。これまでをまとめると次のような戦略が立てられる。
・居付型のスズキと回遊型のスズキがいる。
・回遊型のスズキの内にもFig.4に示したF6のように、休息のために護岸域に立ち寄る個体もある。
・居付型のスズキでも、小潮期には護岸域を離れ沖合に移動する。
→ 岸からスズキを狙うなら、小潮は避けよ。
  逆にボートなら、スズキは居付型も沖合にベイトを追って来ている。ベイトの群れを見つけられればチャンスだ。
・1月の産卵期は湾入口の外洋水の影響の濃いの産卵海域に移動するが、それは低気圧の通過や寒波の襲来に喚起される。
→ 1月の低気圧時は家でおとなしくしていた方がよさそうだ。

バイオテレメトリー、恐るべし。もっと色々な魚でやってくれないかな。特にバス。で、探してみたら、あったよ。バスのテレメトリー論文。でもね英文なんだ。ちょっと読み解くのに時間が掛かるな。
という事で、次回のココロだぁ~。

目的別文献索引

これまで読み解いた科学文献を、知りたい項目ごとに関連付けて整理してみた。

(1) バスの生態を知りたい
バスの視聴覚、産卵と成長、行動と性質等々。敵を知れば百戦危うからず、だな。
1.魚類の視角に関する研究
2.魚類の色彩感覚について
6. 魚の視力について
 まずはバスの「目」について。世のバス用ルアーになぜ黄色からグリーンのものが多いのか。水深と濁りによりルアーの選択はどうすべきか。科学的理由が解き明かされる。

16.「魚は傷みを感じるか?」 分析編 - 1 
17.「魚は傷みを感じるか?」 分析編 - 2
 衝撃の1冊。針に掛かった魚が暴れるのは、魚が傷みを感じていたからなのだ。ここから何を感じるかはあなた次第。私は釣りに対する考えがすこし変わってしまった。
魚は傷みを感じるか? も併せて読んでね。

8.オオクチバスの釣られやすさに見られる個体差
 そんな痛みを感じたバスは、リリースされた後、再びルアーを追うのか。実験により確かめた。

(2) バスの食性とベイトの習性
 バスは何をどこで食べているのか。Match the Bait . 基本中の基本もそれを知らなきゃ意味がない。
9.琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバスとブルーギルの胃内容物と糞中DNAによる摂餌生態の推定
 なんとダイレクトな研究か。我々バサーのための研究のようだ。必見です!

5.稚魚の生息範囲
20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化
 そんなバス君のベイトはどこにいる? 5.では淀川の河岸の種類ごとに稚魚の分布を、20.では北浦のヨシ原に生息する魚類を分析した。

11.コクチバスによって捕食されるウグイの最大体長
 ではそのベイトの大きさはどれくらいが最適なのか? Big Bait, Big Bass. は本当なのか。そしてバスはどのようにベイトを飲み込むのか。

(3) スポーニングについて
ブラックバスにとって最大のイベントはスポーニング。およそ生物はそのために生きているのだから。そしてバサーの戦略もスポーニングを軸に考える。
14.移植されたコクチバスの繁殖特性
 バスはどこにネストを作るのか、青木湖と野尻湖で調査した。

13.さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響
 スポーニングはいつなのか。キモはもちろん水温だ。

12.ブルーギルの繁殖行動
26.琵琶湖北湖における外来魚ブルーギルの繁殖生態
 オトモダチのブルーギルのスポーニングについてもお勉強しましょう。

(4) 湖の水流を知り、バスの行動を予測する
誰かがドコソコで釣れたという情報だけを頼りにする釣りでは面白くない。「なぜ」がそこになければ。何も情報のない湖で釣りをする時、キーの一つが水流だ。これぞ Science Fishing !
3.琵琶湖における水温、水流の年間変化
 水流を決定する基本は気温と水温。これで季節パターンが理解できる。

25.北浦の水層構造の数値解析
 これの北浦バージョンが本論文。勉強になるなぁ。

4.湖の水流を決定するもの
  地球の自転が湖の流れにも影響を与えるのだ。そう、コリオリの力。

10. 琵琶湖南湖の早春の水流と水温
 まだあった。「密度流」って知ってる? プリスポーニングのバスを予測するキモになるかも。

(5) 外来魚問題について考える
いやな話にも耳を傾けることも科学的スタイル。そして自分で考えて自分なりの結論を出すのだよ。
15.滋賀県湖南地域における魚類の分布パターンと地形との関係
 何よりも事実を確認しよう。バスは本当に在来種を食い尽くすのか。事実はYesでもありNoでもある。

18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 1
19.霞が浦北下線文浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 -2
 しかし別の事実もある。霞が浦の漁獲高が激減したのをバスのせいにするんじゃない。水産学者も怒っているぞ!

21. 稚魚まで食べるブラックバスの駆除も“リバウンド現象”で稚魚が急増
27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題
 そんな中でも行政は外来魚駆除に躍起になっている。ナンセンスなんだけどねぇ。

23.白樺湖における生物操作に伴う移入種オオクチバスの食性変化
 一方で白樺湖で行われた Bio-Manipulation は、れっきとした国内外来種移植だった。なんだかなぁ。

22.仮説:デカバスは子バス淘汰が生み出す
 そんな中、私の持論はこれ。どうよ!

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