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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

続 琵琶湖の外来魚、捕獲量激減 ~ フナやモロコが獲れないのはバスのせい?

前回の「琵琶湖の外来魚、捕獲量激減」の裏には根強いバス=害魚論があることは自明。
改めて問う。



フナやホンモロコが獲れなくなったのはバスのせいなのか?
 
滋賀県のまとめた「滋賀県の水産業」によれば、琵琶湖の総漁獲量は昭和30年には10000t。50年代末まで5000t。平成に入って大幅に減少しH28年は外来魚を除き947tになった。その外来魚は約400tだ。内訳を見るとS30年には8000tであった貝類、主にシジミがH28年では53tと激減している。フナ類が836tからニゴロブナの52tへ、ホンモロコも250tから25tに減少した。一方、アユは461tで実はS30年代から変わらない。ワカサギに至ってはS30年の統計なしから66tとむしろ増えている。

これがある漁協に限ったデータでは
2011年の総漁獲量63tのうち、外来魚の捕獲量は50t。実に全漁獲量の約80%が外来魚なのだ。
 
では、フナが獲れなくなったのはバスの食害のためなのか?
OSK200901280059.jpg 

フナもバスも浅瀬で産卵し、稚魚時代はそのまま浅瀬で過ごし、成魚になった後は主に深場に移動する。特に冬季においては水深の深い場所を好む。なのでマクロにはフナとバスの生息域は重複する。
しかしミクロに見たら? 釣り人も漁師も知っている。フナの群れの中にバスがいる事は少なし、バスの群れの中のフナはもっと少ない。ゲンゴロウブナは沖合の表・中層で生活し、主として植物プランクトンを捕食する。ニゴロブナであれば沖合の中・低層で生活し、水底の底生動物、動物プランクトン、付着藻類を捕食する。即ち底面の土質は砂または泥の地域を好む。対してバスは? ハードボトムやストラクチャ廻り、泥の地域は嫌うはずだ。フナを狙ったポイントに定置網を仕掛けたらバスなんか掛からない。
 
そして現在の結果は? 漁獲量の8割が外来魚だ。それはフナが絶滅してバスしかいなくなったからじゃなく、バスを狙って網を仕掛けているからじゃないのか?
漁師にとって外来魚は憎き敵、根こそぎ獲りたくなるなる気持ちは分かる。そしてそれが獲れれば、県からの買取価格はフナの2倍だ。じゃあどっちを狙うか。自明であろう。
 
別に非難する気は毛頭ない。ただ県や研究機関はより深く事象を掘り下げてほしいだけだ。あたかも琵琶湖に生息する魚類の80%が外来魚になってしまったように書かれているが、その真実はどうなのか? 在来種が減少した真の原因は何なのか?
 
霞が浦水系の在来種激減ついては「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」で解説した通り、茨城県内水面水産試験場の調査報告として、その原因は外来種ではなく水質悪化と沿岸開発にあるとされている。本報告書にはバスのバの字も、ギルのギの字も出てこない。茨城県内水面水産試験場の研究者は冷静で公平な調査報告をしたのだ。ぜひ振り返って欲しい。

では琵琶湖の在来種は? いくつかの研究報告がなされていて、そこには水質悪化を主な原因とする文献も少なくない。しかし琵琶湖を管理し条例を制定する滋賀県の見解は、外来種による食害という事になっている。それは恣意的であり合理的なデータに基づく結論とは言い難い。
滋賀県自体も水質悪化という客観的事実に目をつぶることはできず、2015年発行の「琵琶湖の現状及び課題について」では
  • 1990年以降にCODが急増していること
  • 溶存珪酸が増加し珪藻類が激増していること
  • ・ オバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウ等の外来浮遊植物が湖面を覆う程増殖し水質を悪化させていること
を報告している。



外来種がどこにでもいていい訳はない。それは分かっている。何度も言うが私は合法違法に関わらず、これ以上バスの生息地を広げる事には反対だ。絶対数としてももっと少なくても良いと思っている。バス釣りはもっと難しくていいんだ
それら全てを認識した上で、それでも在来種減少の原因はバスであり、完全駆逐が必要だと。それはバスが増えたタイミングと、在来種の減ったタイミングが合致するというだけの理由だ。では上記のCODや外来植物の急増とは何の関係もないのか?


しかし日本全国に分布してしまったバスを絶滅させるなんて事は現実的に不可能だ。非現実的な目標を掲げたがために無駄な金と時間を費やした例が今までどれだけあったか考えてほしい。
 
そしてバスは生き物なんだということを再認識して欲しい。ウィルスや病原菌をまき散らす害虫でもなければ、人に危害を加える害獣でもない。そのバスを食べるでもなく食べさせるでもなく、単に殺して焼却する。よくて肥料がわりか。
外来魚を駆除する役目を負わせた琵琶湖ルールキッズの子供達には、どういう説明をしてバスを殺させているのかな。この魚は悪い奴で生きる資格がないんだって教えているのか?ナチスのユダヤ狩りと同じか
 
漁師たちは今のままで満足なのかな。漁に出るモチベーションを維持できるのかな。自分達は肥料を獲っているんだと思って今日も網を上げるのかな。


 
仮にバスを根絶やしにできた時が来て、それでもニゴロブナやホンモロコが帰ってこなかったら、初めて自分達の愚かさに気が付くんだろうか。やるべき事は他にあったんだと。
 
 





琵琶湖の外来魚、捕獲量激減

2018/8/21付け京都新聞に、今年の琵琶湖の外来魚捕獲量が例年に比べ激減しているとの記事が載った。

内容は、漁業者が7月までに捕獲したブルーギルブラックバスの捕獲量が過去最低の34tにとどまり、これは前年同時期の半分に満たないという。琵琶湖での外来魚捕獲量は2008年までは年間400t、2013年以降は200t前後となっている。県の推定している琵琶湖全体での外来魚生息量は1150t、その内バスは200t程度となっていて、生息量に大きな変化はない中で捕獲量が激減した事に困惑していると言う。

琵琶湖の外来魚駆除問題については「27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題」で取り上げた。
そこで衝撃を受けた現在の琵琶湖の魚業実態について繰り返すと、表1の通りだ。今の琵琶湖の漁業者の収入の約半分は外来魚駆除の補助金なのだ。より具体的には外来魚に対して県から300円/kgの補助金が出ている。ちなみに表1から計算した他の魚種のキロ単価は、鮎が824円、ワカサギが386円、フナが163円だった。漁業者にとってブルーギルやバスは十分割の合う獲物なのだ(失礼な言い方かもしれない)。

表1
(山内ら,水資源環境研究,Vol.26,1 (2013))

話を元に戻そう。京都新聞によれば外来魚の生息量は変わらないのに漁獲量は激減していると。その原因は何なのだろうか。いくつか仮説を立ててみよう。
(1) 外来魚の生息量が減っている
 湖沼における魚類の生息量予測法については今後取り上げようと思っているのだが、ちゃんと予測するためにはそれなりの手数と時間が必要になる。滋賀県には琵琶湖博物館や滋賀県水産試験場があり、それなりの精度の下に行われているのだろうが、水産試験場の行った「平成28 年秋における外来魚生息状況調査結果」を見てもデータは変動幅が大きく、ここからどのように琵琶湖全体の生息量を推定したのかがよく分からない。
これだけを見るとH28年のオオクチバスは激減だが、ブルーギルは前年の4倍だ。なのになぜ琵琶湖の外来魚生息量は微減なのか?

琵琶湖_図1
琵琶湖_図2
(平成28 年秋における外来魚生息状況調査結果, 田口ら)

(2) 外来魚が定置網に掛からなくなった
 「30.琵琶湖のバスの行動パターンを追跡する」では定置網(エリ)周辺に生息するオオクチバスの行動をバイオテレメトリーにより追跡した。これによるとバスは夜をエリ周辺で過ごし、朝になると岸近くに移動する。
このバスはエリになんか掛かりゃしない。「続、バスの記憶は遺伝する」でも仮説を述べたが、より慎重でルアーや網に掛からない個体が増えているとしたら、定置網による漁獲量が減ってきても不思議ではない。

(3) 一時的に今年春の漁獲量が減っただけ
 (1)で紹介したデータでも年毎、エリア毎の生息数データのばらつきは大きい。それが今年の春の漁獲高に表れただけではないか。

(4) 漁業者の意欲が失われた
 H25年のデータだが琵琶湖の漁業就業者数は687人。うち60歳以上が525人、70歳以上が274人。実に40%が70歳以上であり、毎年5%のペースで就業者が減っている。そして漁に出れば漁獲した魚の80%が外来魚であり、それらは誰に食べられるでもなく廃棄される
虚しくなるだろうな。何のために漁に出ているんだと。誰にも喜ばれない、誰もその魚を待っていない。
生活のため? 仮に琵琶湖の総漁獲高 3459万円が全て均等に漁業就業者に分配されたと仮定しても、平均年収は487,000円。やってられないよね。もう漁をやめようと思う人も増えるだろう。


現時点ではまだ原因は不明だが、(1)ではないだろう。(3)(4)についても、もう少し状況を見定めれば明らかになるはずだ。
(2)が原因だったら? 私的にはそれが一番おもしろいんだけどね。

32.真夏のベジテーション攻略法は大間違いだった!

ラムサール条約湿地・片野鴨池の溶存酸素量の経時変化と水生植物の関係
       ※1 田尻ほか,伊豆沼内沼研究報告8号,pp23-34(2014)

真夏のバス釣りは太陽との闘い。バスもバサーもお日様から逃れようと必死だ。そんな時、頼りになるのがべジテーション。でもマツモだろうがオニビシだろうが同じという訳ではなさそうだ。本文献をじっくり読んでみよう。

田尻らは、 ラムサール条約登録湿地である石川県加賀市の片野鴨池において,野外調査および採集した植物を用いた実験によって溶存酸素量の経時変化と水生植物の関係についての調査を行なった。実験を行った片野鴨池は多くの水鳥が飛来する自然の湿地で、周囲3km、面積10haほどの池である。隣接する下福田貯水池と水路で繋がっているが、下福田貯水池にはバスが多いが、池全面を水草で覆われた片野鴨池にはバスが少ないと言う特徴がある。
これを田尻らは、低溶存酸素状態に弱いバスの生態と関係があるものと推定して、水草と溶存酸素量の関係について調査した。

片野鴨池の地形と水草の生育地を図1に示す。東方の下福田貯水池から水路を経て流入があり、池のほぼ全面をオニビシ、クロモ、マツモ、ホソバミズヒキモ、ヨシ、マコモが覆っている。国内有数のガンカモ類の越冬地となっており、計10000羽近くのマガンやトモエガモが飛来し、1996年にラムサール条約湿地に指定されている。
生息している魚類にはモツゴ、タモロコ、ウキゴリ、コイ、フナの他、外来種であるカムルチー、ブルーギル、オオクチバスが確認されている。当然、バスは禁漁である。

32_図1
図1(※1より)

溶存酸素の測定は6月12日8月9日の2回、図1に示した定点1~6の地点で24時間にわたって記録した。定点1~6の水草の植生の概要を図2及び表1に示す。

32_図2
図2(※1より)

32_表1
表1(※1より)
いい感じだよね。朝一番に乗り込んで、図2の5)や6)のオニビシやハスの切れ目にテキサスを落としこもうか。1)のマツモをすり抜けてジグヘッドのグラブを泳がそうか。そんな事を考えるよね。しかし調査結果は意外なものだった。

図3に6月12日、図4に8月9日の溶存酸素量測定結果を示す。表層とは水深5cm、中層は水深1mを示す。表層の溶存酸素量は太陽による光合成に伴い日の出時刻から増えて行き、日没時に最高となった後、夜間は減り続けて日の出時には最低となる。
そして水深1mでは溶存酸素量は終始5mg/L以下。夜間の定点5に至ってはほぼ0だ。これが真夏の8月9日にはより極端になる。マツモの生い茂る定点1を除いては、どの地点も中層ではほぼ0だ。

32_図3
図3(※1より)

32_図4
図4(※1より)

そこで筆者は片野鴨池から水草を採集し、日照と溶存酸素量の関係を実験により確かめた。実験に用いた水草はオニビシ、マツモ、ホソバミズヒキモ。これらを分類して水槽に入れ、日照時間と溶存酸素量の関係を求めた。
結果を図5に示す。測定結果ではマツモ、ホソバミズヒキモを配した水槽の溶存酸素量は日照時間中に増加し、夜間に漸減するのに対し、オニビシの水槽の溶存酸素量は日照時間中にわずかに増加したものの、全体としては減少し続けるのだ。

32_図5
図5(※1より)

びっくりしたでしょ。オニビシって水中の酸素量を減らすんですよ。筆者はこれをオニビシの葉が水上に存在することから、日中に光合成により発生した酸素は空中に排出され、夜間に呼吸により吸収する酸素は水中から得ているためと説明している。

そう、植物は呼吸するんです。中学の理科で習いましたよね。植物は光合成により日中は二酸化炭素を取り込んで酸素を生成し、夜間は酸素を吸収する。総量として酸素を増やしているが、出しっぱなしって訳ではない。知っていますよね?
なので全体が水の中にあるマツモやホソバミズヒキモの周辺では日中に酸素量は増えるのに対して、オニビシの下では酸素量はむしろ減っていくのだ。これはオニビシに限った現象ではなく、水上に大きく葉を広げるハスやホテイアオイでも同様であろう。

そしてこれに追い打ちをかける様に「バスは低溶存酸素状態に弱い」という研究結果が見つかった。詳細は別章で述べようと思うが、オオクチバスはベイトフィッシュであるモツゴやヌマチチブに比べて低溶存酸素耐性が低く、低溶存酸素環境下ではベイトを追わなくなると言うのだ。つまり浮遊性の水草の下にベイトは居られても、バスは居られないことになる。

さあ大変! 今までのベジテーション攻略法は間違いだったのだ。もう一度整理する。
1)マコモ、マツモなどの沈水性の水草は昼間に酸素を放出し、夜間に酸素を吸収する。このため明け方には溶存酸素濃度は最低となり、時間を追うごとに酸素濃度は高まる。
2)オニビシ等の浮葉性の水草の下は低溶存酸素となる。特に早朝の中層以下では酸欠状態に等しい。
3)水面直下に比べ水深1mの中層の溶存酸素は1/5~1/10しかない。
4)8月の溶存酸素は6月の1/2に低下する。

これを釣りのタクティクスに落とし込んでみよう。
1)オニビシ等の浮遊性植物は敢えて狙わない。ベイトは居てもやる気のあるバスは少ない。それでもべジテーションを割ってバイトするバスを見たいのなら、夕方限定、トップ限定だ。
2)マコモ、マツモ等の沈水性植物の周辺は溶存酸素が多くベイトもバスもいる。でもねらうなら早朝ではなく夕方近くがいい。
3)水草を狙うならサーフェース。水底の溶存酸素は極端に低く、バスの活性も低くなる。水草の上側でノーシンカーのワームを漂わせよう。
4)真夏のベジテーションは敬遠する。太陽は避けられても溶存酸素は低い。

いやぁ知らなかったな。水草=酸素は豊富って思っていませんでした?
早朝のオニビシエリアでフロッグを投げていませんでした?
マコモの根本にダウンショットを落とし込んでいませんでした?
全部間違いなんだって。
溶存酸素量は水草だけではなく、風や水流等にも影響されるので、それらの条件もよく考慮して攻略エリアと攻略法を練るべし。

まだまだ知らない事が多いんだよ。勉強になるなぁ、ご同輩。
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