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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

41.北浦で何が起こっているんだ?

ずっと追跡している北浦上流部のアルカリ水問題。またも安塚観測所で奇怪なデータが観測されてしまった。
もう何がなんだか・・・

水質20190510

これは5月10日の安塚観測所の水質データだ。
(国土交通省 川の防災情報:
http://www.river.go.jp/kawabou/ipSuisituPast.do?init=init&obsrvId=2127000600008&gamenId=01-1105&fldCtlParty=no )

GW前半、関東は雨が続いた。後半は一転して晴天が続き、5月10日は全国で夏日となる最高気温が記録された日だ。
その日まで安塚のpHは上がる一方だった。5月9日には最高pH11.8、10日の8時にはなんとpH11.9に達している。なんという強アルカリ性だ。バス、溶けちゃうよ。
それがなぜか10日の9時から17時まで安塚観測所は閉局されていて、自動測定されるはずのデータはなし。そして18時に突然pH9.7が測定された。同時に8時に9.7であったDO(溶存酸素濃度)は、18時に11.7と測定されている。5月11日以降のデータも、10日に再開された測定データを引き継ぐようなpH10弱、DO10前後のデータが続く。

なに? 何が起きたの??

気象データを見てみよう。
気象20190510

気象庁の過去データから引用した5月10日の気象データでは、6時から17時までフルに日照時間があり、気温は10~16時まで24℃、13時に最高気温25.7℃を記録してる。降水量はもちろん0mm、風速は最大3.8m/s、基本的には南東の風だ。
晴天、南東の弱風、雨はなし。それならば北浦最上流部、安塚では植物プランクトンの活動が活性化し、しかも風により安塚方向にプランクトンが吹き寄せられるのが普通だ。するとどうなるか。pHは上昇し、DOも上昇していく。そう考えるのが普通だ。

しかし安塚の測定データは真逆。pHは下降し、DOは上昇した。なぜ? 何が起きた??

もう少し気象状況を深堀しよう。下図は5月の鉾田の1日ごとの気象データだ。
鉾田では5月1日にまとまった雨が降った後、2日から6日まで晴天、7日に弱い雨が降り、8日からは再び晴天が続いた。気温は雨の降った7日を除いて最高気温20℃を超えており、10日に26.1℃となった。風は平均で2m/s前後、最大風速でも4~5m/sと特に強風があった訳でも、無風が続いた訳でもない。

気象201905

39.北浦上流部が強アルカリ性になった原因を探る」では、水質がアルカリ化する要因として、
 (1) 石灰等の化学肥料が流域で使用された。
 (2) 打ち立てのコンクリート等から溶液が漏れた。
 (3) 植物プランクトンの活性が高い。
の3項を挙げた、
そして私なりの結論として(3)をチョイスした。しかし5月10日のデータはどうか。気温がこの春最高となった日に植物プランクトンの活動に伴うpH上昇が、逆に降下に転じることはあり得ない。むしろpHはより上昇するはずだ。

一方、(1)(2)の仮説が起きたのであれば、pHが上昇すると共にDOは減少する。例えば恒常的に(1)(2)にような汚染水が流入していると仮定すると、そこに清浄な水が流入したと仮定すれば、pHは下降すると同時にDOは上昇するはずだ。

なんだって、「39.北浦上流部が強アルカリ性になった原因を探る」は根本から検討し直さなければならないのか?

あ”~、分からん。辻褄が合わなすぎる。それに(1)(2)では、それ以前のpHとDOの変化が説明できなくなる。何より、晴天が続いた5月2日以降の水質変化、特に10日のデータ中断前後の水質と気象の関係からは、そこで突然、データが飛躍する事が説明できない。


私が苦し紛れに考え付いた答えは、
安塚観測所が閉局になっていた時、測定器を校正しpHとDOセンサを調整し直した。」

何とも安易な答えだが、そうとしか考えられない。閉局前のpH11.9という値はあまりにも極端すぎる。ひょっとしてpHセンサが異常だったんじゃないのか?それを観測所の担当者が気付いて校正し直した。その結果、作業時間中の測定データが表示されず、作業後のデータは作業前のものと飛躍した値になった。
(これは確定じゃないから。私の推定だから。念のため。)


このような事は実験や観測ではたびたび起こる事ではある。技術者や科学者はこういったノイズデータに惑わされないで分析を進める事も重要なのだ。
バス釣りだって同じだよ。なぜかたまたま釣れてしまった1匹のパターンを信じてやり続け、以後の一日を無駄に過ごした経験、あなたにもあるでしょ。ましてやどこの誰だか知らないバサーの昨日の釣果を頼りにする釣りなんて、つまらないよ。やめやめ。

40.魚のアルカリ耐性について

(汚染汚濁物質の魚類に及ぼす影響;小田,宇野,生活衛生11-4)

39.北浦上流部が強アルカリ性になった原因を探る」で、北浦上流部安塚周辺でpH10.5というとんでもないアルカリ性が測定されたことを紹介した。そんな所に魚はいない。そう結論付けた。
でも実際には魚はどの程度までアルカリ性に耐えられるのか?
今回はこれを調査する。

大阪市立衛生研究所の小田,宇野は、魚類の水質に対する強弱を実験により確かめた。
実験で想定したのは工場排水によるpHの変動。鉱山や製鉄、メッキ工場等からの排液は、硝酸、硫酸、リン酸等の混入により酸性化している可能性がある。また皮革、化学薬品工場、セメント工場等からの廃液は、苛性ソーダ、水酸化カルシウム等によりpH12~14の強アルカリ水が混入している可能性がある。
もちろん今日の日本では、水質汚濁防止法により工場等からの排水はpHは5.8~8.6に収まっていなければならない旨の規制があり、上記にような極端な例は(少なくとも公には)あり得ないはずだ。
鉾田市にはセメント工場や電材工場等があるが、それらが原因だとは思わない。

それには船越らの示した「セメントによる水質変化と魚に及ぼす影響の基礎的研究」(船越ら,砂防学会誌,Vol.55,No3,2002)が参考となる。
これによると水にセメントが混入した時の溶液のpH変化は図6の通り。比較的短時間でpH10を超え、pH11前後で飽和値に達する。


40-fig6 pH

そしてpH上昇と同時にDOは低下していく

40-fig7 DO

ここが北浦上流部で発生しているpH上昇の現象とは相いれない。即ち安塚観測所のpH上昇の原因はセメント混入とは考えにくい


小田らの実験の結果に戻ろう。小田らはpHを調整できる水層中での魚の行動および生存時間を調査した。
40-図3トゲウオ

図3ではトゲウオを用いてpHの違いによる魚の感応度を調査した。それによるとトゲウオは酸性側ではpH5.8以下で著しく嫌忌度が高まり、アルカリ性側ではpH7.0~11.0ではほとんど感応を示さないが、pH11.4以上になると著しく嫌忌度が高まった。

40-図4ニジマス

またニジマスによる実験ではpH4以下の酸性、pH10以上のアルカリ性水では生存時間が短縮してくることが分かった。
またラージマウスバスでの実験ではpH10.4~10.5流水中で7日間生存し、pH11に上昇した時、2~5時間で死亡した


魚種によりアルカリ性に対する耐性は異なるものの。pH10.5という高アルカリ下では魚は忌避行動を示すことが分かった。
このアルカリ化の原因については植物プランクトンの活性化と推察されるが、ここまでの調査では確証はない。おそらくアオコのように極表層面で植物プランクトンが活性化し、それに伴うpH上昇を上層を測定している安塚の自動観測機が捉えたものと思われる。
ならば極表面水のみの現象であり、下層部はより中性の水が占めている可能性もある。

アオコ発生時の下層水の水質が問題となるな。文献調査を進めなければ。
いや、これは現地に行って調査が必要だな。
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