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プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

46.バスとベイトフィッシュの遊泳能力比較

44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」「45.魚類の遊泳速度と遊泳能力」でブラックバスおよびベイトフィッシュであるアユやブルーギルなどの遊泳能力についての文献を紐解いた。では問題の核心である「バスはベイトフィッシュより遊泳能力が劣っているのか?」について分析していこう。

「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」で示されたブラックバスの遊泳能力を表す指数は、17.0cmのバスについて実測された瞬間最大遊泳速度
Burst speed=98.6 (cm/sec)
がある。また、このサンプル魚の耐久速度をmatsunagaらの示したFig.3から読み取ると、
Endurance speed=45.9 (cm/sec)
となっていた。

これを「45.魚類の遊泳速度と遊泳能力」の図-2上にプロットしてみよう。

45-図2c

元文献の塚本・梶原(東大海洋研究所)は種々の速度についての遊泳時間を測定しているのに対して、オオクチバスの実験を行ったMatsunagaらのデータは2点だけ。また元々実験系が異なるので両者のデータを同一視することはできない。それを承知で比較すると「17.0cmのバスの遊泳能力はブルーギル以下、キンギョ以上」となる。

では40cmのバスではどうなるか?
「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」では遊泳速度は体長に比例するという立場を取っている。そこから単純計算により求めた瞬間最大遊泳速度と耐久速度は、
 Burst speed=232 (cm/sec)
 Endurance speed=108 (cm/sec)
これまた無理を承知で図-2上に破線でプロットしてみた。

45-図2d

バス最強!
いやいや、これは無理がある。17.0cmのバスのデータは信頼できるにしても、それを40cmのバスに延長しようとした「遊泳速度は体長に比例」という原則は、ここでは成立しないと見るのが正しいだろう。前述の通り実験系も違うのだし。


こういう時には他の文献を調査するのが常道だ。すると「魚道の設計に資する淡水魚類の耐久遊泳速度」(鈴木(建設省東北地方建設局河川情報管理官),土木学会論文集 No.622/Ⅶ-11,1999.5)が見つかった。

鈴木は種々の魚に対して実物大の試験用魚道における耐久遊泳速度を測定した。ここではその速度で60分間遊泳させた時に複数のサンプル魚が100%その速度に留まれた時、その速度を耐久遊泳速度と定義した。魚種はイワナ、ウグイ、オオクチバス等の12種。これを種々の速度に設定した試験水路で遊泳させ、60分間でどれだけの魚がそこに留まっていたか、あるいは流されていったかを観察した。サンプル数は様々だが、オオクチバスは10尾、ウグイは50尾を放った。

その結果の一部を図-10に示す。

46-Fig1.jpg

オオクチバスであれば45cm/sまでは全サンプル魚が水路に留まったが、70cm/sになると1匹も留まれなかった。即ちバスの耐久遊泳速度は45cm/sとなる。イワナ・ウグイは85cm/sなら100%、100cm/s以上となると0%となる。

バス、耐久力無!

このようにして求めた耐久遊泳速度が以下の通り。

46-Table1.jpg

バスはやはり最低ライン。小さなホンモロコやカワムツにも劣る。ちなみにカマツカの耐久遊泳速度がやけに高いが、これはカマツカが底面にへばり付いて頑張っていたため、流されずに済んだという事であり、そこで泳いでいた訳ではない。念のため。

このオオクチバスの耐久遊泳速度はmatsunagaらの求めた17cmのバスのEnduranse Speed=45.9cm/sとほぼ合致する。

では魚の体長と耐久遊泳速度の関係はどうであろうか。
鈴木は実験結果を図-12としてまとめた。オオクチバスのデータについて見やすくするため赤マークで表した。

46-Fig12b.jpg

図上には耐久遊泳速度:Veに対して、魚の標準体長:SLとの関係を1次式で表した2本の直性が引かれている。すなわち
Ve=5 SL と Ve=1.7 SL
確かにこの2本の直線の間にデータはほぼ収まっているが、かと言って単純な相関関係があるようには見えない。実際、10cmのオオクチバスは耐久遊泳速度=65cm/sなのに、30cmのオオクチバスは55cm/sとなっている。

もちろんサンプル数不足によるデータの揺らぎの影響もあろうが、単純に「体長と遊泳速度は比例する」とは言えない。それは耐久遊泳速度にも最大遊泳速度にも言える事だろう。

鈴木はここに体重や体形の影響を勘案した実験式を導入して説明しているが、今ひとつ私自身が納得できていないので割愛する。興味のある方はこのリンクを参照されたし。


長々と述べてきたが、要は40cmクラスのバスの最大遊泳速度は求められていない。「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」では、40cmのバスの最大遊泳速度を232 cm/secと推論したが、どうも不適正な値だったようだ。実際にはそれよりかなり小さい値になるだろう。

ちょっと面白いので、さらに追跡調査してみる。

45.魚類の遊泳速度と遊泳能力

(塚本・梶原(東大海洋研究所),水産土木 Vol.10 No1, 1973)


前回の「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」に続き魚の遊泳能力についての論文を読解する。塚本らの研究は1973年。多くの研究に引用されている論文だ。ベイトフィッシュの泳ぎがバスと比べてどう異なっているのか、紐解いていく。
なお混乱を避けるため、論文中の記号等は「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」のものに統一した。

(黒字:原文 青字:ころた


現在、多くの場合に使用されている魚の遊泳速度としては、瞬間最大遊泳速度最大持続遊泳速度の二つがある。前者はごく短時間だけ維持できる遊泳速度で突進速度(Burst speed)、あるいは単に最大速度ともよばれ、後者はかなり長時間遊泳を維持できる速度の中で最大の速度で耐久速度(Endurance speed)と称されている。

多くの魚類では突進速度は10TL/s前後で(TL :測定魚の体長(cm))、サケ科やサバ科の魚類は10TL/sをこえる値をとる。また、耐久速度は一般に2~3TL/sであるがニシンやサケ科の魚類では3~4TL/sである。

任意の遊泳速度で魚を長時間遊泳させることのできる装置を使用して、各遊泳速度(Ⅴ) における遊泳持続時間(t)を測定し、遊泳速度を横軸に、遊泳時間を縦軸にとってグラフにプロットすると、多くの魚ではⅤとiの関係を示す遊泳曲線が得られる。図一2に淡水魚5種の遊泳曲線を示す。
曲線の高速部分ではⅤに対してtの変化率は小であるが、ある速度以下にすると急にtが増大する。

45-図2

補足するとアユの場合では、瞬間最大遊泳速度は170cm/secに達するが、それを維持できる時間は数秒間となる。同様に135cm/secの速度においても持続時間はせいぜい50秒程度。それよりも低速では持続時間は急激に増え、110cm/secなら1800秒間泳ぎ続けることができる。
対してブルーギル瞬快最大速度110cm/sec、1800秒間泳ぎ続ける最大持続遊泳速度は55cm/secでしかない。まともなアユは絶対にブルーギルには捕まらない。バスは?それは後ほど。

魚の遊泳能力は瞬間最大遊泳速度と最大持続遊泳速度の両方を勘案すべきという観点から、遊泳能力を各遊泳速度における遊泳時間の総和であると考えると、
遊泳曲線によって囲まれる面積が遊泳能力に相当する(図-4)。

45-図4

45-Vt
遊泳能力は①式をt=0から耐久速度の測定単位とした60分, t=3600までの定積分で表わされる(図-4)。すなわち
45-ΣV
によって計算される。②式によって実際に計算された値は、多くの魚で10000以上になるので10000でわった値をとり、これを遊泳能力指数(SAI : Swimming Ability Index)と呼ぶ。図一6にSAIを用いて表わした遊泳能力と体長の関係を示した。

45-図6

例えて言えば、陸上選手に100m走を走らせた後、引き続いて1時間の長距離走をやらせ、合計1時間で走った距離をSAIとしたようなもの。高校のマラソン大会にも必ずいるよね。最初の100mだけダッシュして、後はチンタラ走る奴。少し頭を使えば「最初にダッシュしたってトータルは変わらないじゃん」と考えるけど、ここはあくまでインデックスだから。それにここでの魚はBurst SwimmingとEndurance Swimmingは分けて測定しているから。10種競技に近い考え方かな。

当然、魚の体調が大きくなるほどSAIは大きくなる、すなわち遊泳能力は高くなる。これは前回「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」でも紹介した通り。しかし魚種による差も現れており、図-6の範囲内ではアユが最強となる。


ではブラックバスは?
次回はブラックバスと他の魚種の遊泳能力を比較し、どんな魚のどんな状況ならバスが捕食できるのか、しようとするのかを考えたい。

台風19号による利根川下流域への影響

台風19号の犠牲になられた方のご冥福をお祈りすると共に、被害にあわれた皆様をお見舞い申し上げます。実際に私の会社の宮城事業所の従業員の中にも、被害にあわれた方が多数いました。改めて水害の恐ろしさを実感しました。

私のホームレイクである利根川下流域も例外ではありませんでしたが、豊かな田園地帯に洪水の被害が及ばなかった事は不幸中の幸いでした。
あの日、霞ヶ浦・北浦をはじめとする利根川下流域はどのような状況なのか、その後どうなっているのかを調査しました。

large.jpg

まず史上最強と言われた台風19号の進路ですが、静岡に上陸し関東・東北を縦断するという最悪のコースをたどり、各地に大雨を降らせました。10月17日時点で死者77名、堤防の決壊は、59河川の90か所に上っています。  (国際気象海洋(株)提供
その雨量は神奈川県箱根町では12日の降水量が922.5ミリに達して国内最高記録を更新したのをはじめ、各地で記録的な大雨となりました。土浦気象台では10月12日の降水量が135mm、最大風速13.0m/secと記録されています。霞ヶ浦・北浦からは雨の芯は外れたのですね。

この影響を受け霞ヶ浦・北浦の水位は以下のようになっています。

グラフィックス1
国土交通省 川の防災より引用 

霞ヶ浦河川事務所のTwitterを見ても、利根川下流域は洪水を逃れたようで、何よりです。

それでも湖岸や河岸のコンクリート護岸は全て水没しました。1017日現在でもまだ水没したままです。

また常陸川水門は台風来襲時には高潮のため閉門されていたのですが、かなりの量の海水が水門を越えて常陸利根川に流入した模様です。その後の開門操作により海水の影響はなくなったとは思いますが。

 

では水質はどうだったのでしょうか?

同じく「川の防災」のHPから追っていきます。地点は「41.北浦で何が起こっているんだ?」でも紹介した北浦の安塚を取り上げます。

グラフィックス2

10/12 21時に台風19号により暴風雨圏となった北浦は、瞬時に濁度が上昇しCODも高まりました。水温、PHはこの時点では微動の範囲。10/13以降は濁度とCODは平常値にむかって減少し、PHは台風前よりも低下しています。水質的には魚類には好ましい状況となったと言えるでしょう。少なくとも「41.北浦で何が起こっているんだ?」で紹介したPH11.9などという悲惨な状況ではありません。

ちなみに北浦上流部の湖水がこのPH11.9という強アルカリ性の状態をいつ脱したのか、恥ずかしながら追跡できていません。我ながら飽きっぽいと言うか、無責任と言うか・・・

 

 

さて、一応釣りブログなので「では利根川下流域でどのようにバスを釣るんだ」という観点で考えてみましょう。この非常時に何を呑気なことを言っているんだ、と言うお叱りはごもっともですが、当分は空想上の Rocking Cheir Fishing ですのでご容赦下さい。

 

上述の通り水質的には、特に北浦上流部は劇的と言っていい程、改善しました。また(元々、霞・北では影響は小さいとは言え)フォール・ターンオーバーも一気に解消したと言っていいでしょう。水温は約20℃とこれも絶好。

また周囲の田んぼもすでに稲刈りを終えていて水はとうに抜かれているため、田んぼからの濁水の流入は多くないでしょう。あるとすれば収穫期である蓮田からの泥水の影響。しかしこれも逆に大量の雨水に薄められたのではないでしょうか?

 

こう考えるとバス釣りには良い条件ができたことになります。秋の乱食いシーズンに一気になだれ込んだことが期待できます。

ならばバスはベイトについて動き、さかんにフィーディングするのではないでしょうか。肝はベイトの位置だと考えます。5060cm上昇した水位は当分このままでしょう。すると今まで繁っていた岸沿いの水草は水没している。ベイトはここに集まっていると見ました。そこでは身も潜めるし、小さな虫などの餌になるものもある。通常は水深030cm程度だった超浅瀬も、今は1m近くあります。バスは十分に入ってこられる。

まずはこういったエリアを狙いたい。霞ヶ浦、北浦の水草エリアです。

 

支流や常陸利根川本流はさすがに流れに翻弄されてしまったのではないでしょうか。台風の最中はバスも本湖のディープやワンドの奥に逃げ込んでいたと思われます。そこから元居た場所に積極的に戻ってくるのか? 戻るべき要素があれば戻るでしょう。それは水温、水質、ベイト。しかし、どれをとっても今の時点でバスが積極的に支流等に戻るとは思えません。

私なら支流・本流は選択肢から外します。本湖一本勝負

 

 

今回は最初のお見舞い文から始めたので、終始「ですます」調になってしまいました。我ながら違和感がありますね。次回は元のぶっきらぼうな文体に戻します。あしからず。


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