FC2ブログ
プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

50.水草の密度と大きさからバスの有無を知る

「外来魚による捕食を軽減する植生の効果」
   坂野(水産総合研究センター)日本水産学会,78(5),988-990(2012)

バスはAmbush Predator、すなわち獲物を待ち伏せして捕食するのが基本的な生存戦略だという事を、「44.バスの遊泳能力はどれほどなのか?」で述べた。
芦原の奥の奥に潜んでいるバスをフリッピングで叩くと言うのは、特に夏のバスの基本的攻略法の一つだ。
一方で水草が密度濃く生い茂る植生の中は、ベイトフィッシュにとっては格好の隠れ家になる。水草がびっしりと生い茂る広い植生エリアにはバスは入り込めないか、入れたとしても小魚たちに容易に逃げられてしまう。
ならばその境目があるはずだ。どんな水草エリアならバスは入り込んでベイトを捕食しようとするのか?どこまで密集すればバスは入れこめなくなるのか?

本論文はここに着目し、在来魚保護の観点からどの程度の密度、どの程度の大きさの植生であれば、在来魚がバスの攻撃から逃れられるのかを実験により確かめた。裏を返せば、ここで述べられた密度・大きさの植生エリアの中にはバスはいない、という事だ。我々バサーにとって大いに参考になるかもよ。

坂野は、直径2m、高さ1.2mの円形の実験用水槽にモツゴオオクチバスを放し、その中央に植生としてクサヨシを規定量配置し、一定の実験期間を経過した後のモツゴの生存匹数を比較した。実験に使用したクサヨシは水辺で普通に見受けられるイネ科の抽水植物。

クサヨシ

これを鉢に植えて所定の密度、面積で実験水槽に並べて行った。
 A) 低密度:125本/㎡
 B) 高密度:250本/㎡
 a) 小面積:水槽の40%=1.26㎡
 b) 大面積:水槽の80%=2.51㎡
小面積ではクサヨシ帯の周囲に37cmのスペースが残り、大面積では11cmしか残っていないことになる。

50-図1

ここに大型モツゴ(4.0g)4尾と、小型モツゴ(1.4g)16尾、オオクチバス2尾を投入し、2週間観察実験を行った。実験期間中の水温は14.9℃から20.7℃と言うから、バスは活発に活動できる環境だ。
植生密度125本/㎡はクサヨシ1本当たり80㎠、すなわち約9cm毎にクサヨシがびっしりと並んでいることになる。同様に250本/㎡なら1本当たり40㎠、すなわち約6.3cm毎に並んでいる。かなりのジャングルだ。

さて2週間にわたる実験の後、オオクチバスに捕食されずに生き残ったモツゴの数が問題だ。

50-図2

図2に示されたのは、植生の面積を無処理・小面積・大面積と変えた場合のモツゴの生存尾数である。植生の面積が大きくなるほど、小モツゴの生存尾数が増えていく
一方、植生の密度を変えた実験では、密度の大小による生存尾数の差は見られなかったと言う(具体データなし)。
ここから筆者は、在来魚をオオクチバスから保護するためには、ある程度の植生の広さが必要であると結論付けた。

植生密度については他の研究者による、ベイトとしてブルーギルの仔魚、捕食魚としてオオクチバスを用いた実験により、植生密度50本/㎡まではバスはブルーギルを摂餌できるが、250本/㎡ではほとんど摂餌できなくなることが確認されている。
また別の研究者が、ベイトとしてブルーギルとファットヘッドミノーを用い、植生密度1000本/㎡の疑似水生植物(イミテーションであろう)と共にオオクチバスの摂餌活動を観察した実験では、バスは植生の中に入り込んでブルーギルを捕食した。一方でファットヘッドミノーに対しては植生の外側で待ち伏せして捕食するという行動を見せた。
ファットヘッドミノーとは北米大陸に生存するハヤの仲間だ。おそらくは1000本/㎡(すなわち3.1cm毎に1本)という密な植生の中での遊泳能力の差が、ブルーギルとファットヘッドミノーに対する摂餌活動の差に繋がったのであろう。むしろ3.1cm毎などというジャングルにバスが突っ込んでいって仔ギルを捕食できる事が驚きだ。この点は前述の研究と食い違っているが、自然科学の分野ではよくある事と思った方が良い。実験条件のちょっとした違いで結果が異なってしまう。


これらをまとめると以下のようになるだろう。
①ベイトフィッシュは水草の植生の中に隠れてバスの襲撃を逃れることができる。水草が密に生い茂っているほど、植生エリアが広いほど、ベイトフィッシュは逃げやすい。
②3.1cm毎に水草が生い茂るような密な植生エリアでは、バスはシャッドの類を捕食することは難しい。この場合、バスは植生の外側でシャッドを待ち伏せる戦略を取る。
③6.3cm毎に水草が生い茂っている程度の植生であれば、バスはその中でベイトフィッシュを捕食できる。特に仔ギルのような遊泳能力の低い魚は容易に捕食する。


水草はベイトフィッシュにとっての隠れ家になるのと同様、バスにとっても格好の隠れ家になる。釣り人によるプレッシャーが高ければなおさらだ。その意味からも水草エリアは重要なポイントなのだ。さらにその植生密度に注目することにより、水草エリアの中を狙うべきか、外を狙うべきかが判断できる。何でも中がいい訳じゃない。

これからは水草の密度にも着目して釣りをするとしよう。
バスリンク
バス記事満載、釣りブログはこちら
にほんブログ村 釣りブログ バスフィッシングへ
にほんブログ村 釣りの世界
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム
検索フォーム