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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

2年連続だ。 「琵琶湖の深呼吸:全層循環、今年も確認されず」

やはり今年もか。。。
京都新聞の4月2日付け記事に
「琵琶湖の深呼吸」全層循環、今年も確認されず 暖冬影響か
と言う記事が掲載された。2019年に続き2年連続だ。

全層循環とはバサーにお馴染み、ターンオーバーのこと。昨年も「琵琶湖がターンオーバーしていない事の影響について」で述べたが、今津沖の水深90mの第一海盆で、例年であれば冬季の表層の冷却により水底までの水が表層の水と循環して発生する全層循環が起きなかったのだ。
そして滋賀県の見解として
県琵琶湖保全再生課は「昨年同様に暖冬で、表層と底層の水温差が縮まらず混ざりにくい状況だった」と分析。ヨコエビなど湖底生物への影響は確認できていないが、全層循環の未確認は「未知の状況」だとして、今後も継続的な調査を続ける。
としている。

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     (京都新聞より)

本当に生態系への影響はないのだろうか? もう少し深堀していこう。

ターンオーバーの正体については「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で詳しく述べた。夏季に温められた表層と、水温の低いままの底層の間で発生するサーモクラインが、冬季の気温低下に伴う表層水温低下により底層の水と温度差がなくなり、全層にわたって還流が発生する。同時に溶存酸素を使い切ってほぼ酸欠状態となっている底層に、表層の豊かな酸素が供給され、逆に表層にはプランクトンの栄養源である硝酸態窒素が底層より供給される。
自然の摂理とは実にうまくできているのだ。しかしここに人間の手が加わると、自然界はバランスを崩してしまう。ここでは地球の温暖化が影響したのであろうか。

表層と底層の水質の季節変化を深堀していこう。
滋賀県琵琶湖環境科学研究センターでは通年にわたって琵琶湖の各地点で水質観察を行っており、そのデータを公開している。下図にそのデータから、過去3年間の今津沖の表層と底層の水質の季節変化をグラフ化して示す。

2017年度

2018年度

2019年度

2017年度は例年通り、1月以降に底層の溶存酸素濃度は急上昇し、表層と同レベルとなった。これは1月以降に底層以浅の水温が低下して底層と同じになり、全層循環が発生した事を示している。
一方2018年度においては、3/4,5の溶存酸素濃度が一度上昇しているものの表層と同じレベルには至らず、以後再び低下に転じた。
そして2019年度は、これも3/2,3に一度上昇したが、3/23のデータでは差が拡大している。ただしその差は2018年度に比べれば小さい。
3月下旬のデータでは溶存酸素濃度の表層-底層の差は、
 2017年度  0.7 (mg/L)
 2018年度  7.6
 2019年度  2.2
となっていた。今年は全層循環に至ってはいないものの、昨年に比べれば改善されていると言ってよい。

また2019年度は台風19号の影響で、19号通過後の10月中旬に一度、全層循環っぽい現象が観察されている。「47.「琵琶湖、台風19号の強風で深呼吸」の持つ意味」で取り上げた通りだ。
その時は、全層循環とまでは言えないものの、台風による強風の影響が底層にまで及び底層の溶存酸素濃度が上昇している。今春の琵琶湖底層の溶存酸素濃度が2018年度よりも高いのは、それが影響している可能性もある。


地球は確実に暖かくなりつつある。今後、琵琶湖において毎年のように全層循環が発生しないという現象が起こらないとも限らない。今年はその影響は小さいと言っても、毎年続けば間違いなく琵琶湖の生態系は変わってしまう。
自然のバランスを保つ事は難しい。我々も自然の恩恵を受けて生き楽しみ憩わせてもらっているのなら、せめて自分にできる範囲で自然を守る努力をしていこう。ゴミのポイ捨てなんて言語道断だ。
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