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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

52.秋の北浦の水温・水質を解析する

(北浦の成層構造の数値解析;北澤,小松,生産研究 60-1(2008))

暑かった夏も終わり季節は秋。湖のバス達にも少しずつ過ごしやすい温度になっていく。琵琶湖のような水深のある湖では、湖水が上層部から冷却されることにより、夏季に発生するサーモクラインが徐々に解消され、最終的には早春において湖底までの全総循環に至る。その様子は「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で紹介した。

では水深の浅い湖ではどうなるのだろう。我がホームレイク、北浦を例にとって解析していこう。東京大学の北澤らは北浦の夏から秋にかけての成層構造を、実測とシミュレーションにより解析した。

茨城県に位置する関東のメジャーレイク北浦は、総面積36㎢、平均水深4.8mの南北に細長い湖だ。かつては常陸利根川から海水が逆流する汽水湖であったが、1974年の常陸川水門の運用開始により淡水湖に姿を変えた。その後は淡水化と水流の低下に加えて、湖岸の護岸化の影響もあり水質は悪化の一途をたどり、現在に至っている。
その北浦の夏から秋への水層の挙動はどうなのか。北澤らのデータを追っていこう。

図3には2006年6月20日から9月30日の江川沖の水温が示されている。上図は測定値であり表層0.5mと低層6.75m(湖底より0.25m)の経時変動を表す。下図は同地点でのシミュレーション結果を示す。

52-Fig3.jpg

季節が盛夏に向かうと共に水温は上昇し、測定値、シミュレーションともに8月24日に最高水温を示している。そしてそこに至るまでは表層水温は低層よりも高く、特に6月20日から7月5日までの間では最大4℃の温度差を示した。これは表層・低層の間に安定した温度成層(いわゆるサーモクライン)が形成されていることを示す。
たかだか水深6mの北浦においても、夏季はサーモクラインが存在し、場所によっては4℃もの温度差が現れる。バスは当然、住みやすい水温を求めて低層に定住するだろう。もちろんフィーディングの場合は除いて、だ。

しかし7月末になると表層・低層間の温度差は解消され、サーモクラインは消失する。湖全体が同じ水温になるのだ。こうなるとバスもより過ごしやすい場所を求めてさまようことになるだろう。それは水流であったり、日陰であったり、隠れられる場所であったり。
湖岸のブッシュやカバーエリアもキーの一つとなるが、そこの水質については「32.真夏のベジテーション攻略法は大間違いだった!」で詳しく述べた。目からうろこの研究結果をぜひ見てほしい。

今回のテーマはそこではなく、夏から秋への湖の変貌である。データの先を見ていこう。
盛夏が過ぎ平均気温がピークを過ぎると、湖は表層から徐々に冷やされていく。水深のある琵琶湖のような湖では上の層から徐々にいわゆるフォールターンオーバーが進行していく。しかし浅い北浦では盛夏に上下層の水温差は消失しており、湖全体が徐々に冷やされる事となる。

ターンオーバー発生中はバスの活性が下がる。それは成層発生時に低層で発生した低酸素濃度の水が、ターンオーバーにより上層に移動し魚の活性を下げるからだ。しかし水深の浅い湖では成層は緩やかであり、低層に明確な低酸素層が形成されない。よって秋の進行と共に上下水の循環が発生しても、魚の活性はさほど落ちない。

それでも湖面を吹く風などの影響により上下層の循環は発生することになる。図6には成層の見られる6月30日と、上下層の温度差が解消していた9月6日における上下層間の水温と水流をシミュレーションした結果が示されている。場所は阿玉沖から湖水を南北に断面した図である(右が北)。
北澤らは断面位置を明示していないのだが、阿玉沖から南への断面で途中の岬や湖底の変化から推定すると、図に赤線で示した直線におけるシミュレーションと推察する。すなわち阿玉から江川、釜谷を経て神宮橋に至る直線である。

図6の上図、6月30日では南風の影響もあり、表層では北側に向かって約20cm/secの水流が発生し、北に行くほど水温は高くなる。そして低層と表層の温度差は3~4℃。上下方向への水流は見られない。
これに対して下図の9月6日では、風は北からに変わって表層の水流も北から南に向かっている。水温は上下層で変化はなく、上下を循環するような大きな流れが発生している。流れは大まかに言って北に面した岬の手前で下方に向かい、最深部で上に向かう循環が発生している。その反流として最深部の北側には下方に向かう流れが見られている。

52-Fig6.jpg
52-Fig2-b.jpg

これはちょっと意外な事実だ。湖全体で大きな上下の循環流が発生するのではなく、最深部で分割された二つの渦ができるのだ。
普通に考えれば、秋風に冷やされた新鮮な水の当たる岬の北側を真っ先に狙いたいところだ。しかし上下流を考えれば、最深部付近の複雑な水流も案外捨てがたい。しかも北浦では前述のとおり低層での低酸素化は比較亭弱く、ターンオーバーによる悪影響は少ない。
ではどこがその上下流のヨレが起きるのか?ミクロなポイントは分からないし、時々刻々変わるだろう。これは現地で水面をよく見て判断するしかない。判断要素はたくさんある。水質の変化、濁りのヨレ、ベイトの動きetc.。
サーモクラインが発生しない北浦では水温があてにならないのが辛いね。これが相模湖とかで発生していれば、表層の水温を放射温度計で測って、温度のムラが現れている場所がそういうポイントだろう。
どうなのかな?いわば寒流暖流のぶつかる金華山沖だよ。底層の硝酸態窒素が豊富な水がプランクトンを呼び寄せて、それに表層に乗ってきたベイトフィッシュが群がるなんて事が起きるかもしれない。あるいは単に水質を悪化させて魚が逃げるだけかもしれない。どっちかな? 一度、そういうポイントを見つけて試してみよう。

まだまだ新しい発見ができる。
だからバス釣りはやめられない。ロッキンチェアフィッシュイングはやめられない。
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