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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

36.琵琶湖ディープホールのバスはサスペンドする

(鉛直循環と無酸素層の形成;熊谷他,Jpn. J. Limnol,, 41, 1986.)

ちょっと気の早い夏の釣りのお話。
滋賀県琵琶湖研究所の熊谷らは、琵琶湖深水層中の低酸素化の実態を調査し、その発生メカニズムをシミュレーションにより解き明かした。夏場のディープエリアでバスを狙おうとする際、大いに参考になる事実が含まれているので注目してほしい。

まず深水層の状況について測定が行われた。測定場所は南湖矢橋帰帆島沖の浚渫窪地。この窪地は一辺500mの正方形状をしており、窪地の周囲の水深が4mであるのに対して、窪地内は13mと深くなっている。
いわゆるディープホールですね。夏の琵琶湖では、この駆け上がりやディープエリアのエッジを狙って、正方形の浚渫跡のエッジ形状通りにバスボートが並ぶ様がよく見受けられる。しかしそのディープに溶存酸素がほとんど含まれなくなるとしたら、当然そんな所に魚はいない。その低酸素化の起こる条件を理解しておけば、居もしないバスをいつまでも狙い続ける愚を犯さないですむ。
その条件とは?

36-3.jpg

まずは水温。Fig.3は浚渫窪地の鉛直方向の水温分布を、5月25日から10月5日まで測定した結果である。5月25日には水深0mでは約20℃、水深12mでは10℃以下だった水温が、8月8日には0mで30℃、12mで18℃となった。
バスの適水温は17~25℃と言われている。だから夏場のバスは20℃程度となるディープに潜んでいることが多いのだ。

しかしここに溶存酸素と言うもう一つのファクターが絡んでくる。fig.6にはfig.3と同様に季節毎の溶存酸素量の水深別分布が示されている。5月25日の水深0mは10ppm、12mでは1ppmであった溶存酸素量が、8月8日では0mで8ppm、12mでは0.1ppm以下となっている。

36-6.jpg

夏場、正確には6月から9月まで、10m以深のディープエリアには溶存酸素はほぼないのだ。そんな所にベイトフィッシュがいるか? いや「33.ベジテーションの攻略法を科学する」で紹介したように、仮に低酸素状態に強いベイトフィッシュがいたとしても、それを追うバスがいるか?

さあややこしいぞ。水温だけを考えれば真夏、8月のディープホールなら深いほど冷たい水層となり、10m以深の底をしっかりと取って狙いたいところだ。一方で溶存酸素的には、表層に近い程、溶存酸素量は高くなり魚の活性も上がるだろう。
となると、その両者のバランスが重要になってくる。魚の活性を考えれば溶存酸素量は1ppm以上が望ましい。すなわちFig.6の白いグラフエリアより浅い領域だ。そこの水温をFig.3から求めると、8月8日なら水深8mで約23℃。ここならバスは十分な活性を持って動いているだろう。

するとバスは浚渫窪地のブレイク沿いの8mラインの湖底、もしくはより湖底水深のあるエリアであれば8mラインにサスペンドしている可能性が高い。そこが狙い目となるだろう。


もう一つ、重要なことに気が付く。私はいつも水温計水温計と騒いでいるが、ここでは水温と溶存酸素量はシンクロしていないのだ。特に6月においては10mラインの水温は20℃以下であるにも関わらず、そこの溶存酸素量は0.1ppmレベルとなってしまう。水温測定は無意味になる。

では何が溶存酸素量を決めるのか? 本研究はそれをシミュレーションにより推察した。その結果、
有機物の沈降速度が大きいほど、底部の溶存酸素量は減少する。
・溶存酸素量を最小とする反応速度定数が存在する。

有機物の沈降速度は本研究では0~500cm/dayでシミュレーションされた。この沈降速度を決定する要素については触れていないが、考えられるのは赤潮等のプランクトンの大量発生だろう。それらの死骸がディープに沈んでいくことにより、溶存酸素量は低下していく。わざわざ赤潮の下を釣ろうとは思わないだろうが、最深部であっても溶存酸素量は影響を受けているのだ。


またFig.6には水深10m以下のディープエリアの溶存酸素量が、6月初旬から末まで0.1ppm以下になっていたものが、7月のほぼ1か月間は0.1~1ppmのレベルに上がっている。これは何を示すのか?
サーモクラインはFig.3の水温を示す曲線の水深方向(縦)の間隔が狭い程、強固な水温躍層が形成される。例えば6月10日の表層温度は約27℃、12mでは約12℃。温度差は15℃。これが7月15日では表層が28℃、12mが18℃。温度差10℃になる。これによりこの時期、上下層の循環が容易になり、一時的に低酸素状態から脱却したと推察できる。

そのような条件が成り立てば、ディープエリアに酸素が行き渡り、結果としてバスはディープに行くし、活性も上がる。それは例えば
・比較的低温が続いた。
・冷たい雨が降り続いた。
・強い風が吹いた。
10mを超す水層での循環は数時間のレベルでは発生しない。これらの気象条件が長期間続いた時、バスはディープに移動すると考えられる。


しかしながらいつも言っているように、自然科学の研究には例外がつきものである。100%そうなる、と言う事はできない。種々の環境条件の変動により、事象は変化する。
「ディープホールの12m以深で爆釣したよ。」
「サスペンドしていたのは5mラインだった。」
それは起こりうる事だろう。問題はその時、どのような気象条件で、どのような釣りをしたかだ。それらを蓄積していけば、ものすごく貴重なデータバンクができると思うよ。




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