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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

40.魚のアルカリ耐性について

(汚染汚濁物質の魚類に及ぼす影響;小田,宇野,生活衛生11-4)

39.北浦上流部が強アルカリ性になった原因を探る」で、北浦上流部安塚周辺でpH10.5というとんでもないアルカリ性が測定されたことを紹介した。そんな所に魚はいない。そう結論付けた。
でも実際には魚はどの程度までアルカリ性に耐えられるのか?
今回はこれを調査する。

大阪市立衛生研究所の小田,宇野は、魚類の水質に対する強弱を実験により確かめた。
実験で想定したのは工場排水によるpHの変動。鉱山や製鉄、メッキ工場等からの排液は、硝酸、硫酸、リン酸等の混入により酸性化している可能性がある。また皮革、化学薬品工場、セメント工場等からの廃液は、苛性ソーダ、水酸化カルシウム等によりpH12~14の強アルカリ水が混入している可能性がある。
もちろん今日の日本では、水質汚濁防止法により工場等からの排水はpHは5.8~8.6に収まっていなければならない旨の規制があり、上記にような極端な例は(少なくとも公には)あり得ないはずだ。
鉾田市にはセメント工場や電材工場等があるが、それらが原因だとは思わない。

それには船越らの示した「セメントによる水質変化と魚に及ぼす影響の基礎的研究」(船越ら,砂防学会誌,Vol.55,No3,2002)が参考となる。
これによると水にセメントが混入した時の溶液のpH変化は図6の通り。比較的短時間でpH10を超え、pH11前後で飽和値に達する。


40-fig6 pH

そしてpH上昇と同時にDOは低下していく

40-fig7 DO

ここが北浦上流部で発生しているpH上昇の現象とは相いれない。即ち安塚観測所のpH上昇の原因はセメント混入とは考えにくい


小田らの実験の結果に戻ろう。小田らはpHを調整できる水層中での魚の行動および生存時間を調査した。
40-図3トゲウオ

図3ではトゲウオを用いてpHの違いによる魚の感応度を調査した。それによるとトゲウオは酸性側ではpH5.8以下で著しく嫌忌度が高まり、アルカリ性側ではpH7.0~11.0ではほとんど感応を示さないが、pH11.4以上になると著しく嫌忌度が高まった。

40-図4ニジマス

またニジマスによる実験ではpH4以下の酸性、pH10以上のアルカリ性水では生存時間が短縮してくることが分かった。
またラージマウスバスでの実験ではpH10.4~10.5流水中で7日間生存し、pH11に上昇した時、2~5時間で死亡した


魚種によりアルカリ性に対する耐性は異なるものの。pH10.5という高アルカリ下では魚は忌避行動を示すことが分かった。
このアルカリ化の原因については植物プランクトンの活性化と推察されるが、ここまでの調査では確証はない。おそらくアオコのように極表層面で植物プランクトンが活性化し、それに伴うpH上昇を上層を測定している安塚の自動観測機が捉えたものと思われる。
ならば極表面水のみの現象であり、下層部はより中性の水が占めている可能性もある。

アオコ発生時の下層水の水質が問題となるな。文献調査を進めなければ。
いや、これは現地に行って調査が必要だな。
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