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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

外来生物 2020問題を考える-3: 賛成・反対がっぷり四つ!

前回の「2020問題を考える-2:生物多様性国家戦略」までで、外来生物をめぐる2020年問題の背景と概要を述べた。そして私の予想として
・滋賀県条例と同等の条例が全自治体で制定される。
・バスのリリースは禁止される。

と言う暗い将来を挙げた。

生物多様性の根本理念について異論を唱える人は(少なくともマトモな人間には)いないだろう。ジャングルを際限なく焼き払い畑にする、サンゴ礁をどこまでも埋め立てて基地にする、アマミニクオウサギの住む島にマングースを放つ、ヤマメやイワナの泳ぐ清流にスモールマウスバスを放流する。そんなことを際限なくやっていたら地球はどうなってしまうか。マトモな人間なら分かるはずだ。
しかしここで「総論賛成 各論反対」という人間が現れる。それも山ほど。私もその一人かもしれない。

「そりゃあサンゴ礁は大切にするに越したことはない。しかし辺野古の基地移設は防衛上も外交上も必要なのだ。そのためにサンゴ礁やジュゴンを犠牲にするのは致し方ない。」
「そりゃあアマミノクロウサギが天然記念物なのは承知の上だ。しかしハブの被害を軽減するためマングースは必要だ。クロウサギは絶滅なんかしないだろう。」
「そりゃあスモールマウスバスは元々住んでいた魚達を食べるだろう。しかしバスによる食害なんて大した問題ではない。釣り業界の権益と釣り人の自由を奪うな。」

私はここまで愚かではないつもりだが、生きとし生けるものとしての外来生物の命の尊厳(大げさな言葉だ)を踏みにじってまで守るべき多様性って何だ、とも思う。
なので、生物多様性国家戦略で示された
2020年までに優先度の高い侵略的外来種が制御又は根絶
という文言を見ると怯んでしまう。

こういう時には原理原則に立ち戻ろう。

外来生物被害予防三原則
1.悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
2.飼っている外来生物を野外に捨てない
3.野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない


まったくその通りだ。どの条文にも全面的に賛成する。
日本各地にフロリダバスを放ち、北海道にまでスモールマウスバスを違法放流する人間は、いったい何を考えているのか? コソコソと暗闇でバスを放流し、ネットの陰に隠れて理屈にもならない中傷を繰り返す。恥ずかしくないのか。そういう人間は顔を明かして公の場で議論してみるがいい。

私の意見は揺るがない。
・外来生物の違法放流には断固反対。
・外来生物の繁殖・増殖にも反対。

何度も言うがバスフィッシングはもっと難しくていい。必要ならば金が掛かってもいい。
そう思っている。JBや全釣り協がいやいやながら外来生物法を守ります、と言っているのとは訳が違う。本心からバスをこれ以上増やすべきでないと考えている。

バス擁護側の意見を少し紹介しよう。これが意外なほど黙り込んでいるのだ。特定外来生物被害防止法の成立直後の2005年から数年間は、キャンペーンと言えるほど大々的にバス擁護論を展開してきたJB日本釣振興会もここ数年は無言を通し、「ルールには従いましょう」と呼びかける。公的団体としては当然と言えば当然なのだが、なんとも弱腰だ。
 
かの今江克隆も外来生物法成立前後は勇ましくアジっていたのだが、最近は・・・

その論調は「バスを守れ。釣り人の自由や業界の権益を確保しろ。」と叫ぶばかりで、釣り人以外の人達に訴求できるポイントを欠いていた。これでは生物多様性を守るという御旗の前では無力だろう。


一方で2012年策定の生物多様性国家戦略には、
「2020年までに、侵略的外来種及びその定着経路が特定され優先順位付けられ優先度の高い種が制御又は根絶される。」
と明記されている。そしてその「優先度の高い種」がバス・ブルーギル等なのだ。
その「優先度の高い種」に選ばれた基準をもう一度確認してみよう。基準は5つ。
①生態系に係る潜在的な影響・被害が特に甚大
②生物多様性保全上重要な地域に侵入・定着し被害をもたらす可能性が高い
③絶滅危惧種等の生息・生育に甚大な被害を及ぼす可能性が高い
④人の生命・身体や農林水産業等社会経済に対し甚大な被害を及ぼす
⑤防除手法が開発されている、又は開発される見込みがある等、一定程度の知見があり、対策の目標を立て得る。

このうちオオクチバスは①~⑤の全て、コクチバスは①②③⑤に該当し、緊急対策外来種と認定された。①②③は納得するしかない。バスの食害はある。生態系に影響がない訳がない。このブログでも、ある条件が揃えばそこにいる在来種を根こそぎ食い尽くすことも確認されている。それは例えば閉鎖性の強い小規模湖沼で、湖岸に水草や葦などの小魚の隠れ場所のない水域だ。そこではバス侵入から数年でまさにバスしかいなくなる事が確認されている。
一方で在来種の減少はバスの食害が原因の全てではない事も事実だ。例えば「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」で紹介したように、霞ヶ浦の在来種激減はバスの食害などではなく、利根川水門の完成による霞ヶ浦の淡水化、およびそれに伴う水流の停滞に原因がある事が、科学的考察から明らかとなっている。

④はちと引っかかる。バスの場合は「農林水産業等社会経済に甚大な被害を及ぼす」部分が該当すると言うのだろうが、上述の通り霞ヶ浦の水産資源激減はバスの食害によるものではなく、琵琶湖についても同様の研究結果が紹介されている。また何より、日本人の食文化の変化により、例えそれら在来種が減らなかったとしても淡水域の水産業は衰退する運命にあった。あなたは最近、フナやコイ、モッゴを食べました?スーパーで見かけた?水産業は獲れないから衰退したのではない。売れないから衰退したのだ。琵琶湖・霞ヶ浦の漁業従事者の年齢を見れば、それは明らかだ。
(この辺は「琵琶湖の外来魚、捕獲量激減」で考察したので、参照されたし)

⑤はまさに政治的判断だ。どこに防除手法が開発されている? 何の対策の目標を立て得る?
環境庁の示した緊急対策外来生物は33種。そのすべてが⑤に該当するとなっている。いや⑤に該当する種が緊急対策外来生物に指定されたのだ。その中にはクマネズミやカミツキガメ、アメリカザリガニ、セアカゴケグモなどが含まれている。
どうやって? どうやってブラックバスやクマネズミ、アメリカザリガニを根絶すると言うのだろうか。防除技術が開発されていると言いきらなければ、根絶を目標とする緊急対策は打てないし、具体的に予算を取って活動を開始することもできない。ここは「開発されている」と言わざるを得ないのだ

ここが私が最も納得できない点だ。根絶できるはずのないものを「できる」と言いはって活動を開始するのだ。その歪は思いがけない形で跳ね返ってくるように思えてならない。本気で根絶しようと思ったら何をする? 網や釣りによる捕獲で根絶できると本気で考えているとは思えない。苦し紛れに考え付くのは遺伝子操作か毒物か。
例えばバスの繁殖を妨げるような遺伝子操作をした雄バスを放流するとしよう。思惑通りに事が運べばいいが、とんでもない生物が生まれたり、他の種に影響が出るなんて事もありうる。
例えば仔バスにだけ効果の出る毒物を流したとしよう。それが他の種、最悪の場合には人間に害が及ぶ事は絶対にない、なんて誰も言えない。まして遺伝的な悪影響で数代後まで害が及ぶことだってあり得る。


人間はいったいどれだけの生物を絶滅に追いやってきたのだろう。日本でだけ考えてみても、ニホンオオオカミ、ニホンカワウソ、コウノトリ・・・。生物を根絶するのなんてたやすいことだ。
おいおい、違うだろう。それらは根絶しようと思ってやった事じゃない。図らずも絶滅させてしまったのだ。では逆に意図して根絶した害獣・害虫はなに?
ウリミバエ、ミカンミバエは放射線を用いた不妊虫放飼法により根絶した。大量の不妊ミバエを放つことで自然界にいたミバエの繁殖の機会を奪ったのだ。沖縄で展開されたこの放飼法で放たれたミバエの数は実に625億匹! 沖縄だけでだよ。途方もない数が必要なのだ。

動物ではどうか。一部地域のカナダガン、タイワンザルの駆除が挙げられる程度。全国的に繁殖が確認された害獣・害魚が駆逐された例はほぼない。
それをやろうとしているのが今の生物多様性国家戦略なのだ。現実性と経済性を熟慮した科学的アプローチなどとは無縁の政治的判断と言わざるを得ない。

私が何より気にくわないのはこの部分だ。生物多様性の志は良しとして、ではそれは現実性があるのか。政治的プロパガンダで終わってしまうのなら、何もしない方がよっぽどまし。人間にとっても社会にとっても生物にとってさえもだ。

ではどうするべきなのか?
私自身の考えを次回で述べていく。
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