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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

51.茨城県北浦のヨシ帯と護岸帯での魚類群衆構造の比較

(碓井(東京大学院)ら,日本水産学会誌 80(5),2014)

「この季節なら護岸のハードボトムだ。しかもこの風でベイトは護岸に吹き寄せられる。」
「いや、フィーディングに来るバスはヨシ帯にいる。今の時間帯はヨシ原だ。」
喧々諤々。いいのだよ、それで。考えて考えてバスの居場所を推理するのだ。それをやらずして何のバスフィッシングだ。何がおもしろいのだ。

前回「50.水草の密度と大きさからバスの有無を知る」では、水草帯の密度によりバスの捕食位置が変わってくることを示した。ではその水草帯にはどのような魚が潜んでいるのだろうか。
そして水草帯と対比される護岸帯には、どのような魚がいるのか。本研究では我がホームレイク北浦でヨシ帯と護岸帯に棲む魚類を捕獲し比較した。
論文を読み進めよう。

碓井らの調査した北浦は、言わずもがなの関東のメジャーバスレイク。そこは今回の研究テーマとは関係なく、筆者のテーマは「ヨシ帯の減少が湖の生態系にどのような影響を与えたか」であった。日本の大多数の湖と同様、北浦においても護岸のコンクリート化が進み、自然なヨシ帯はほとんどと言っていい程、残されていない。わずかに流入河川沿いに残っている程度だ。さらに護岸帯においては、垂直護岸に当たった波の反射波が周囲のヨシを倒壊させることで、さらにヨシ帯が減少していく。
本研究では雁通川流入部に位置し波の影響を受けにくい波崎と、西岸のフラットな湖岸線にある爪木を調査地点に選び、各々の地域にあるヨシ帯と護岸帯から小型地引網により魚類を採集し、春から夏にかけての生息魚類の違いを調査した。

51-Fig1.jpg

採集は2009年と2010年の4,6,8月。小型地引網は袖網長4mで岸に沿って人が砂泥底表面を20mにわたって歩き採集した。即ちヨシ帯の中の魚は採集できていない。ここは要注意。
採集された全魚種をTable.1に示す。

51-Table1A.jpg

表中赤字には魚種の学名に日本語表記を付記した。
表中のFGは各魚種の食性を表し、Bは底生無脊椎動物食、Fは魚食魚、Pは植物食魚、Tは陸生昆虫食魚、Zは動物プランクトン食魚を示す。採集年度下のRSはヨシ帯、BHは護岸帯を示す。
同時に各水域での水温・電気導電度・溶存酸素量を測定した。その結果、水温、水質については季節変動はあるものの地域間の差はないことが分かった。ヨシ帯と護岸帯で水質の差はないのだ。

では採集された魚種について詳しく見て行こう。筆者は統計的手法を用いて分析しているが、ここではTable.1について読み取れることをザックリと述べていきたい。
まず採集された魚類の総数を見ると、ヨシ帯の方が護岸帯よりも多い。特に宇崎ではヨシ帯では護岸帯の約2倍の魚類が採集されている。次に宇崎と爪木の比較では、宇崎の方が圧倒的に多かった。その比は8~11倍になる。やはり宇崎は1級スポットなのだ。

次に魚種毎の比較だが、ヨシ帯で多い傾向にあった魚種は、ヨシノボリ、ヌマチチブ、クルメサヨリ、ブルーギル。特にブルーギルの多さに驚かされる。モッゴ、ウキゴリもヨシ帯に多い。
一方、シラウオは護岸帯に多く、ワカサギはヨシ帯・護岸帯の差はなかった。この2種が護岸帯に多いのは食性によるものだろう。主に動物性プランクトンを食べているシラウオとワカサギは、それが多く出没する護岸帯をクルーズしているのだと推察される。
一方、ヨシノボリやモッゴ、クルメサヨリ等は植物食か底生無脊椎動物食なので、それらの生息するヨシ帯を好む。もちろんバス等の捕食者からの隠れ家としてヨシ帯を利用しているという側面も見逃せない。

北浦で風が強く吹き付けた時のシラウオパターンはよく知られる戦略だ。しかしそれを狙うのなら護岸帯とだいう事は憶えておいて損はない。逆に護岸帯で底生のヨシノボリを模したワームでジグヘッドと言うのも、ちと違うかな。

また注目されるのが、採集された魚類の中にオオクチバスがほとんどいない事。総数としてブルーギル:4105尾に対して、オオクチバスはたったの21尾。これはないだろう。おそらくは採集が徒歩での地引網という事から、バスは人の気配を察知して逃げてしまったのだろう。対して小さなベイトフィッシュは大きく泳いで逃げることができず、間口4mという大きな網に捕まったと考えられる。
また、地引網がヨシ帯の中までは入り込めていない事にも留意したい。ヨシノボリやウキゴリ等のヨシの中に潜んでいる魚は捕らえられていない。おそらくこれらの魚種はヨシ帯の中にもっと多く生息しているはずだ。


なおヨシ帯に生息する魚類については、「20.茨城県北浦のヨシ帯における魚類群集構造の季節変化」で同じ筆者らが詳しく調査しているので、こちらも参考にされたし。
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