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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から
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13.さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響

(応用生態工学6(1),2003;斎藤ら)

 一昨日、関東には春一番が吹いた。待ち望んだ春はすぐそこ。釣り人もボチボチロッドを出そうかな、という季節だ。(もちろん冬なんぞに負けないモノノフもおる) お魚界では1年で最大のイベント、スポーニングに向けて準備を始める。待ってました!
 ではここで、スポーニングの真実を探る文献をご紹介しよう。斎藤らは、福島県のさくら湖の増減水がバスの繁殖に与える影響について調査した。そこには湖の水位と水温、他の魚種の繁殖期との関係等が書かれている。

 「湖沼の水位変動がオオクチバスの産卵や仔の保護などの繁殖活動に与える影響についての報告はほとんど無い。本研究では、さくら湖(三春ダム)において洪水期に向けたダムの放流に伴う水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響を把握し、繁殖期を決定づける最も強い要因と考えられる水温との関係について検討した。」

  まずさくら湖の位置だが、福島県田村郡、郡山市の東10kmの山間、阿武隈川の支流となる大滝根川のダム湖である。湛水面積2.9平方km。(Fig.1)このさくら湖において投げ網による魚類の捕獲を行い、バスおよび他の魚類の数量変遷を調査した。

13_Fig1.jpg

 その結果、「試験湛水前から継続した捕獲調査の結果、オオクチバスは侵入直後に増加し、特に水位低下のない前貯水池において激増する傾向が認められた。侵入直後に増加したオオクチバスは、すぐに減少する傾向が全水域に共通して認められたが、オオチバスが激増した前貯水池では、本種の被食魚が激減し、オオクチバスが減少してもその傾向が継続することが示された。」

13_Fig3.jpg

「その後、2000年からは蛇石川においても捕獲個体数が減少したが、そのいっぽうで、モツ ゴPseudorasbora parvaや タモロコGnathopogon elongatus elongatus等のオオクチバスによる被食魚となり得る魚種の個体数も減少していた(Table.2)。 」
つまり、水位低下前は産卵直前の個体と産卵途中の個体が混在して確認された。」

13_Table2.jpg

「成魚の生殖腺分析、当歳魚の耳石輪紋計数の結果、さくら湖における繁殖期は、日平均水温が15℃から21℃に上昇する5月上旬から6月下旬であると推定された。水位低下後に採取した当歳魚には、水位低下中の前貯水池で孵化した個体が含まれなかったことや、水位低下中の湖岸で孵化後20日程度の当歳魚の群れが水際で死亡していることが確認される など、オオクチバスの繁殖期に合わせた水位低下が本種の繁殖を抑制するものと考えられる。以上の結果から、日平均水温が15℃から21℃に上昇する時期に0,27m/day以上の速度で2.5m以上(約9日間以上)水位低下することは、本種の繁殖抑制につながることが推察された。」

 本論文の結論は上記の通り。バスの繁殖をダム湖の水位調整により抑制することが目的であるので、その意味で当初の目的は果たせたと言える。我々バサーの着眼点はむしろその周辺情報にある。例えば、

「オオクチバスは水温が16~20℃ のときに、水深が1~2.5mの砂礫底に産卵するとされている(西原・三栖)」
「さくら湖では5月上旬~6月中旬にオオクチバスが産卵,孵化しており、産卵期のピークは水温が18.0℃の頃と考えられる。モツゴは4月上旬~7月上旬に水辺のヨシの茎や竹木類、石面および貝殻の内外面、キンブナとギンブナは3月下旬~6月下旬に岸近くのマコモの茎や枯れ葉など水面に浮いているもの、コイは4月下旬~5月上旬に沿岸の水草その他の浮遊物、タモロコは4月~7月にヤナギの根や浮いている水草あるいは板囲いの縁などにそれぞれ産卵する。つまり、オオクチバスが砂礫底に産卵するのに対して、前述の魚種は水草や浮遊物に産卵することが多いので、浮島の構築等により水位低下の影響を受けにくい産卵環境の確保が可能と考えられる。」

 水温18℃、覚えておきましょうね。釣り場には温度計必須ですよ。それにベイトフィッシュの産卵場所、すなわち仔魚の居場所はやはりヨシ・マコモ、浮遊水草になる。この辺は「5. 小魚、稚魚の分布調査」で述べた通りだ。

体長230mm以上の個体が産卵に関与するという山中(1989)の報告を参考に、ここでは便宜上全長200mm以上の個体を成魚とみなし、全長,体長,体重,生殖腺重量を測定し、生殖腺体重比
(GSI=生殖腺重量 ×100/体重) の算出をおこなった。」
「邱ほか(1991)によると、印旛沼では雌のGSIが約6~8に達する4~6月(水温 が18~25℃)が産卵期と推定されている。」

「さらに、本種は平均水温21.0℃では、受精後孵化を開始するまでに64~65時間、孵化後浮上を開始するまでには118~119時間かかり(西原・三栖1989)、自由に泳げるようになるのは、20℃の場合孵化後240時間かかる(Laurence 1969)。従って、この時期に12日間2.5m(0.21m/day)以上の速度で水位低下が起こることは、産卵場の乾出等によって本種の繁殖抑制につながると推察される。」

 バスの仔魚が自由に泳ぐようになるのに、10日間が必要とのこと。その間は親バスが子守をしているのだろう。非常に攻撃的になっているこのバスをあえて打つ!というのも有りだと思うよ。
 えっ?バスの保護に繋がらない?その点については別の場で議論したい。
 
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