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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から
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18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察 - 1

(熊丸;茨城県内水面水産試験場調査研究報告 35,25-41(1999) )

今回のテーマは我々バサーの原罪と言える。
「在来魚種の減少はバスのせいなのか?」
バスが湖にいる事がアタリマエの若い世代にはそんな原罪は無縁かもしれないし、釣り具メーカーに言わせれば何おか言わんやってとこだろう。しかしかつては日本に存在しなかったバスの侵入が在来魚種の減少、場合によっては根絶をもたらしたのではないかという「罪の意識」を、古いバサー、特に色々な釣りを楽しんでいる釣り人は感じている。
今回の論文はその原罪に一筋の光を射すことになるかも・・・

熊丸(茨城県内水試)は霞が浦および北浦における過去の漁獲量、水質、施設環境の変化を調査し、漁獲量減少の原因を調査分析した。水産業側の研究者によるその結果は、巷で声高にアジテートされてきた事象とは異なる事実を明らかにしている。
17pにおよぶ長文献なので、前後編に分けて著者の言葉を追っていく。私の文章は青字で、著者の原文は黒字で表す。


農林水産統計による霞が浦北浦における漁獲量の推移は、1978年以降明らかに急激な減少傾向を示している。少なくともハゼ、テナガエビ、イサザアミ、ワカサギ、シラウオ、コイ、フナといった主要漁獲対象魚種は減少したものと見られる。ここでは内水試湖沼観測結果等、既知資料および著者の行った試験結果により、資源減少原因について検討を行う。

1977年以降20年間における主要魚種漁獲量の推移を農林水産統計より抜粋して俵1、図1に示した。さらに各魚種の減少傾向について回帰分析した結果を図2に示した。なおここでは、資源減少の原因が藻場(産卵場)の減少にあることが明らかであり、生息の場が湖岸帯に限られているコイ、フナ類については除いた。

18-表1
18-表1_北浦

回帰分析の結果から、主要魚種の中でも漁獲量の多いイサザアミ、ハゼ類、テナガエビについては年率3~4%で直線的に減少していることから、これらの資源変動は湖内物質循環において年々徐々に変化している何らかの要因が関与しているものと考えられる。そこで過去20年間における湖内流入負荷量、湖内水質と漁獲量の推移について対比して検討を行った。

18-図2

一つは茨城県公共水域の水質測定結果によるもので、両湖に収入する代表的な下記の河川について測定最下流地点の水質(T-N,T-P)と流量を乗じて単位時間当たりの負荷量を求めた後、流入湖沼別に合計して得た値を各湖への流入負荷量とした。
 霞が浦:神明川,花室川,桜川,恋瀬川,園部川
 北浦 :巴川,鉾田川

以上により求めた流入河川からの霞が浦,北浦別、負荷量推移を図3,図4に示した。これらから、T-NおよびT-Pについては両湖とも1992年以降で減少傾向が認められるものの、20年間全体では漁獲量に見られるような漸減傾向にはなっていない

18-図3
18-図4

次に霞が浦、北浦流域における全負荷量(生活系及び各産業種別負荷量の合計)の推移を、霞が浦対策課資料を基に表3に示した。表3では湖内負荷量の増減変化はほとんど認められず、平衡状態にあることを示している。

18-表3

以上の2つの資料から、過去20年間における霞が浦北浦への流入負荷量に大きな変化はなく、少なくとも漁獲量に見られるような漸減傾向は認められないことが確認された。

この他にも湖内水質の推移を検証するため、溶存態栄養塩類:DIN,DIP,一次生産指標としてChl.a,COD,分解指標として全菌数を取り上げ、過去20年間の推移と漁獲量推移を対比した。
その結果、全菌数だけが漸減傾向を示しており、漁獲量の減少傾向と同様な傾向となっていた。他の指標はいずれも周期変動や季節変動は示すものの、20年間にわたってはほぼ平衡状態と見られる。

以上の事から過去20年間における漁獲量減少の主な原因は流入負荷量や一次生産にあるのではなくバクテリアの減少がもたらす要因、即ち湖内物質循環における分解過程に何らかの変化が起きていることによるものと考えるべきであろう。


どうです?水産資源減少という事実を、感情論や政治手法ではなく科学的に分析すればこのような過程を辿っていくことになる。実に真っ当な手法だ。ここまでの分析では漁獲量減少の原因は分かっていない。そしてこれまでのどこにもバスのバの字もブルーギルのブの字も出てこない。私はそれに(我ながら)違和感さえ覚えたのだが、後編ではさらに科学的分析を進めて真の原因を探りだしていく。

          (後編に続く)
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