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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

3.琵琶湖における水温、水流の年間変化

(園,野村,琵琶湖生態系モデルに関する研究-1次元水温モデル,滋賀衛環セ所報 25,44-56,1990)※1 より

湖の水温を決定する因子は、気温、降水量、気流、地形、蒸発量、流出量等、多岐にわたっている。園、野村(滋賀県立衛生環境センター)は、これらにより決定される琵琶湖の水温、溶存酸素濃度を、測定とコンピュータシミュレーションによって求めている。

琵琶湖北湖の平均水深は44m。この水が、夏期には表面への日照、気流、降雨等により暖められ、冬期には冷やされる。それにより湖の水は、表面から底部へ伝熱すると共に対流を起こす。図1を見てもらいたい。
図1は、これらの現象をコンピュータシミュレーションし、各水深での水温の変化を求めたものである。同時に表層の測定温度も示している。ここからわかることは
(1) 表層温度は8月に29℃と最高値を示し、2月に6℃と最低値を示す。
(2) 水深40mより深いところでは、水温は6℃で年間を通して一定となる。
(3) その間の水深の水温は年間変動を起こすが、春と秋で全く違う。
(4) 春(4月から7月)は表層から暖められていくため、水深に応じた水温の傾斜が形成され、夏に近づくにつれてその差(グラフの間隔)が広がっていく。
(5) 秋(9月から12月)は逆に、夏までに形成された水温の傾斜が、上から冷やされることにより次第に解消してくる。

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この水温の傾斜のことを、水温躍層、カタカナ好きのバサーの言うところのサーモクライン:Thermo-cline と呼ぶ。図2に示した、月毎の垂直方向の水温分布を見れば、よりわかりやすいだろう。測定地点は北湖今津沖(水深90m)、および北小松沖(水深60m)。水温躍層の形成される部分の水温グラフは、図2では傾斜線で示される。
 ここからわかることは
(1) 4月から8月までは30m以浅で傾斜線が見られ、夏に近づくにつれ傾斜がきつくなっている。つまり深くなるにつれ、急激に水温が低下していく。
(2) 9月を過ぎると、この傾斜線の上部つまり表層部が平らになってくる。10月であれば20m以浅の水温は一定になってしまう。
 この水温が平らな部分では対流が発生しており、表層と底部の水が撹拌されることで一定の水温の層ができていいる。これがいわゆるフォールターンオーバーというやつである。冬に近づくにつれて一定水温層は深部に広がっていくのがわかる。

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この水の対流、即ちターンオーバーはバサーには忌み嫌われている。対流による湖底部のよどみが表層にまで広がって、釣りにならないと言うのだ。。が、湖の生態系にとってターンオーバーは非常に重要な意味を持つ。それは底部への酸素供給および表層への硝酸態窒素供給に象徴される。
 夏期、表層に近い水域ではプランクトンの活動がきわめて活発となる。結果、この付近のプランクトンの栄養源である硝酸態窒素の濃度は次第に低下し、9月においては表層から水深10mまで硝酸態窒素濃度はほぼ0となる。逆に底部においては、プランクトンによる有機物の分解により酸素の消費がなされ、酸素の供給がない夏から秋にかけて酸素濃度は減少していく。10月における溶存酸素量は飽和濃度の10%にまで減少する。
 これがターンオーバーによる水の循環により解消されるのである。秋以降のターンオーバーにより、表層から酸素を含む水が供給されることで、底部の溶存酸素濃度は上昇し、2月には溶存酸素濃度はほぼ飽和濃度に達する。同様に植物プランクトンの死骸等として下層に蓄積された硝酸態窒素は、秋以降、上部に拡散していく。
これが年間の琵琶湖の水温、水流の周期である。湖の生態系を決定する上で、こういった水の循環は大きな意味を持っているのである。

 さらにその年の気候の変動が影響を与える。底層へ供給される酸素は表層が冷却されることによって起こる水の循環による。例えば、北湖平野部の冬期の積雪量が多いか、冬期の気温が低い年には循環量が多くなり、溶存酸素量は増加する。また降雨量の多い年には雨による表層への酸素の供給が活発化することで、溶存酸素量は増加する。こういった様々な気象条件が湖の水温、水の循環を支配している。

 さて、ではどう釣るか?
答えはすでにデータの中に表されているようなものだ。ターンオーバー中の対流の中では、底部の溶存酸素濃度の低い水が表層に上がってくることで、バスにとっては住み難い環境が急に現れることになる。これがバスの活性が落ちる原因であろう。これにさらに濁りが追い打ちをかける。となれば、ターンオーバーの中をわざわざ釣るのは賢明ではないことは簡単にわかるだろう。
 ではどこを釣る?答えは水深とエリアだろう。
冬に近づくにつれてターンオーバーの深度が次第に深くなっていく。それなら、まだターンオーバーを起こしていない深度で釣ればいい。たとえば10月初旬なら10~15mのどこかにターンオーバーしていない水深がある。これは実際に水温を計ってみないと、今どこまでターンオーバーが進んでいるのかわからない。秋の釣りに水温計は欠かせない。

 エリアについて話そう。
ターンオーバーといっても湖全体が一気にドロドロになるわけではない。ここはバス釣りのセオリーである水のよいところを探すにかぎる。よく言われるのは水通しのよいエリアということ。でも本当だろうか?水通しがよいといえばインレット、これは正解。当然、新鮮な水が供給されて、低くなった溶存酸素濃度も、濁りも解消されるだろう。
あとは岬?、メインチャンネル?いやいや、ちがうでしょ。水通しがよいところは水平方向の流れもあるが、垂直方向の水の循環も起きやすい。となると、ターンオーバーの水も流れてくることになり、ターンオーバーの影響はむしろ受けやすくなる。
 むしろ岬の陰の部分だろう。垂直方向の水の循環は至る所で無制限に起こるわけではないだろう。何かのきっかけにより比較的小さな水の循環が、個々のエリアで起こっているのだ。どこで?どうやって?カギはやはり水流。

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縦方向に循環しようとしているターンオーバー時には、どこかに水平方向の流れが生じればそこにたやすく水の循環が発生する。例えば風により表層に水流が起これば、風下では下方向への、風上では上方向への循環が発生するだろう。もちろん湖全体を覆うような大きな循環とは限らないが、この方向への小さな循環が連続して発生していると考えられる。となると、風上では低層に溜まっていた硝酸態窒素、濁りが表層に浮き上がってくる。風下にもそれはいずれ流れてくるが、表層の風に触れた分、酸素濃度は高くなっているだろう。こう考えるとターンオーバー期には風下を狙えということになる。

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さらに水温の水平分布にも大いに関係する。水に比べて陸地は比熱が小さく、暖まりやすく冷えやすい。琵琶湖においては、北湖の水温は沿岸部に比べ中央部が4℃も低い。湖全体の平均では陸地と水温の差は2℃となる。暖かい岸寄りの水域では上昇水流が発生し、それを補うように低層では沖から岸へ、表層では岸から沖への循環が発生すると考えられる。ここでも岸寄りの水は濁りが多くなるだろう。ただしこれは岸の傾斜が急で、水深が急深になっている場所に限る。広大なシャローは別。

そう、シャローはターンオーバーの影響が最も少ない場所の一つとなろう。沖との水流の程度にもよるが、シャローの中だけでのターンオーバーというものは考えにくく、この時期最も安定して狙えるエリアであろう。
それでは本日のまとめ
(1)春から夏にかけてはサーモクラインの動きに注意する。どこかにバスの住み易い水深がある。
(2)秋から冬にかけてはターンオーバーの水深を探る。冬に近づくほどディープを狙う。
(3)ターンオーバー期の選択エリアは
 a.インレット
 b.シャロー
 c.風上
 d.流れに対して岬の裏

 さらに湖の流れを決めるもう一つの大きなファクターがあった。それは・・・
ゴメン、次回アップまでおあずけ!




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