プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

4.湖の水流を決定するもの

(遠藤、最近の測流結果からみた琵琶湖の流況、地質学論集第36号 1990)より

 湖の水流を決めるものは何なのだろう?湖面を渡る風、川からの流れ込み・流れだし。もちろん大きな要因だ。そのほかには?大きなファクターとして、温度が挙げられることを前項で示した。
しかし論文を読み進めていくと、どうも水流のファクターは意外なところにもあるようだ。遠藤は琵琶湖における水流の測定結果から、湖水の流れの季節変動を、原因・時間・空間スケールの違いにより分類した。ここで示されている水流の原因は大きく分けて3つ。
①熱 ②風 ③転向力 である。

 熱については既に説明した通り。暖められた(あるいは冷やされた)水による対流が引き起こす流れである。また風についても、説明するまでもないだろう。季節毎、あるいは1日の中で定常的に吹いている風により促されて水流が発生する。
 ③の転向力とは何か?いわゆるコリオリの力である。地球の自転により北半球では左回りのねじりの加速度が常に加わっている。風呂の水栓を抜くと水は左回りの渦を描いて下水に吸い込まれていく。あれである。琵琶湖のような大きく深い湖では、このコリオリの力により発生する慣性円運動流(あるいは環流)が見られる。図1を見てみよう。

hokkokita.jpg

 これは漂流ブイの位置をレーダーにより追跡したものである。これによると北湖では2、3日で左回りに湖を1週する水流(第1環流とよぶ)が発生し、その流速は10~30cm/secに達する。魚類の生態にとっては決して無視できるほど遅い流速ではないだろう。

hokko.gif

 さらに図2には、第1環流のいわば反流として発生する第2環流が北湖南側に存在することを示している。これは明神崎沖で西から東に流れる水流に引っ張られるように発生すると考えられる。第2環流もまた、2,3日で湖を1周する。

 すると、明神崎沖というのは、宮城の金華山沖のように南北の水流の合流地点となる訳だ。ここってそんなに好ポイントだったっけ?まあ海と湖は違うからね。
いずれにしろ北湖では明神崎を境界にして左右の回転方向に、ダイナミックな水流があることは覚えておいた方がよさそうだ。ただし環流は沿岸部では支配的ではないので、その点ご注意を。

 もう一つ、遠藤によると、この環流は琵琶湖にしか見られないであろうとコメントしている。コリオリの力が支配的に作用するには、十分な大きさと深さが必要であることからの推察である。小さな湖、細長いダム湖のようなところでは考慮する必要はなさそうだ。とはいうものの、霞ヶ浦や芦ノ湖のような広い、あるいは深い湖ではちょっと気にとめておいた方がいいかもしれない。風のない、流れも期待できない日には、左回りの水流が起きているかもしれない。


 さて、どう釣るか?
正直言って僕は琵琶湖沖の釣りというのをやったことがない。当然、そういう水域のこともわからない。よってあまり偉そうなことも言えないのだが、まあ通い詰めた北浦、芦ノ湖のつもりで分析してみよう。

①まず環流は1年を通して定常的に発生していることに注目。いわば流れのない湖に川のような流れが存在することになる。とすると、岬や島あるいはワンドに対してのアプローチの方向性がはっきりしてくる。たとえば多景島。北湖北側の多景島には左回りの環流が絶えず南から当たっている。推測するに島の南側は水流により岩場が多く、北側には砂、泥が堆積する。(当たってる?だれか教えて!)
その他の岬等も同様の考え方ができる。姉川河口であれば、南側の方が北側よりシャローが多いとか・・・。あとはその日その時の状況により、ドン深の岩場がいいのか、土のシャローがいいのかを考えていけばいい。

②風の全くない日でも、環流は表層から深層まで流れていることを覚えておこう。すると沖合のストラクチャー、ホールや水中島へのアプローチ方向もおのずと決まってくる。特にディープの釣りでは結構、キーポイントになると思うよ。
たとえば犬上川沖に水中島を見つけたとしよう。(そんなもん、あるのかどうか知らん!)ここは第1、第2環流が合流して対岸側から南西に流れが絶えない。とすると、バスは水中島の南西側に東北を向いてサスペンドしている確率が高い。それがわかれば船の位置、キャストの方向でよけいなプレッシャーをバスに与えることのないようなアプローチ法がとれる。

③植生に与える影響も考えてみよう。水流はウィードエリアの形成にも大きく関係する。ウィードの育成には十分な日照と、適度な水流が必要となる。その点から言えば、環流の作用はウィード育成にちょうどよい水流を与えていると考えられ、この環流の当たるエリアにウィードが育っていると推測される。
また遠藤によれば、環流には水平方向の流れだけでなく、垂直方向の流れが存在する。それは環流の中心(すなわち湖の中心)では下向きに、周辺部では下から上向きに流れている。ただし0.001cm/secという非常に遅い速度である。しかしこれにより湖の浮遊物質の内、比較的粗い粒子は湖中心に堆積し、細かな粒子は外側から巻き上げられるようにして湖を巡っていくことになる。沿岸部のウィードにとってこれもまた望ましく、深層の硝酸塩等の栄養物が絶えず供給されることになる。
こう考えると、環流の当たる明神崎南側、姉川河口、愛知川河口等は絶好のウィードエリアということになるのだが・・・。(これまた誰か教えて!)

 まあ、琵琶湖なんていう超メジャーレイクで、今さらここがポイントだ!なんておこがましいし、過去の実釣データの方が当てになることはわかっている。でも初めて訪れた湖で地図を眺めながらポイントを絞り込んでいくとき、きっとヒントになると思う。何より考えるというバスフィッシング本来の楽しみを与えてくれると思うよ。現に僕なんか最近、すっかりロッキンチェアアングラーだ。金もいらなきゃ時間もかからん。あ~こりゃこりゃ。

関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

バスリンク
バス記事満載、釣りブログはこちら
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム
検索フォーム