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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

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5.稚魚の生息範囲

                             (平松、大阪府淡水魚試験場業務報告 H5年)

 本文献は大阪府内を流れる淀川流域における、河岸の種類別に魚類の生息数を調査したものである。調査は8月上旬、中旬の2回行われ、河岸の種類毎に複数のサンプリング地点から、魚類の生息数の他、水温、流速等について調査が行われた。河岸の種類は下記および図1に示す6種類であり、そこにおいて採集できた魚類の種類、匹数を場所毎、時刻毎に整理している。
 A.開けた泥岸
 B.樹木の生え込み
 C.アシ、ヨシ原
 D.岩場
 E.コンクリート護岸

seisoku.gif


採集された魚は主に以下の4種であり、サイズ的には稚魚または小魚と呼んで良い。
 a.オイカワ、ハス・・・体長6~7mm
 b.タナゴ ・・・ 6~7mm
 c.メダカ ・・・ 8~11mm
 d.ヨシノボリ ・・・ 9~14mm
大きさからいって、直接バスのベイトになるかについては、意見の分かれる点であろう。が、稚魚は成魚にある程度連動して生息しているものと考えられることから、バスフィッシングに大きなヒントを与えてくれるであろう。

 結果を表1に示す。結論を言えば圧倒的に、樹木の陰が安定して多くの魚をストックしていた。平松はその原因として、樹木が小魚の生息に適した遅い流速域を生み出すこと、水中の枝が格好の隠れ家になっていること等を挙げている。これについては我々バサーも過去の経験から十分納得がいく。実際、樹木が水没した、あるいは樹木のたれ込んだ場所はバスにとって一級のポイントになっている。
興味深いのはその次である。なんとアシやヨシの茂る河岸や、ごつごつした岩原をおさえて、開けた何もない泥岸がNo.2にランクされているのだ。これはおそらく稚魚にとっての補食対象であるプランクトンや小さな水生動物が、多く泥岸に生息していることによるものであろう。

表1 タイプ別に見た岸辺の稚魚生息密度、体調、出現魚種
生息数

 バスフィッシングにとって開けた泥岸は、いわば最も敬遠されるタイプの岸である。いわく、バスはハードボトムを好むだの、何らかのストラクチャーが必要だの・・・。あなたが朝一番のゴールデンタイムにバスを狙うとしたら、どこになるかを思い出すまでもないだろう。しかしベイトフィッシュの生息域という観点から見ると、実は我々は確認もせずに一級ポイントを見過ごしていたのかもしれない。バスが積極的にフィーディングに出ているような季節、時間帯には、泥岸は真っ先にチェックを入れるべきポイントになりうるのである。

 さらに平松は、これら小魚の時刻毎の分布についても触れている。それによると日中は岸から1m以内の何物かの陰に多く分布し、日没後はワンドの奥などの水の淀み、あるいは逆に沖の水深の深い底部に移動する。またコンクリート護岸に見られる小魚群は、非常に移動性が大きいことも確認された。
この情報もまた、我々に大きなヒントを与える。いきなり河岸、湖岸に立ってのアプローチがどれほど愚かなものであるか、ベイトフィッシュとバスの所在を考えれば明白である。またコンクリート護岸に回遊性の稚魚が多いということは、同様の環境といえる人造湖における切り立った岩盤等にも当てはまるであろう。バスのスクールがこういった地点を回遊しているのを目撃したバサーも多いと思うが、これも上記の稚魚の行動と無関係とはいえない。

 次に各河岸の種類毎の魚種については、オイカワ、ハス、タナゴ等のいわゆるシャッドが各河岸に平均的に生息しているのに対し、ヨシノボリは砂岸または樹木のある岸に限定されていた。
また水温は、コンクリート護岸がもっとも高く、樹木のある岸、岩場が最低となっている。これは各河岸での水深、流速にも関係するが、コンクリート護岸は調査ポイント中、最深であるにも関わらず、水温は高い点が注目される。

以上、バスにとってのベイトとなる小魚の生息場所から、ポイントを考えてきた。もう一度まとめてみよう。

(1)樹木の立ち込みは第1級ポイントである。しかも岸から1m以内のブッシュの奥にル アーを送り込むことが重要。
(2)バスがフィーディングに出ている時間には、泥岸も貴重なポイントになりうる。ベイ トフィッシュも捕食していることをイメージしてルアー操作する。
(3)コンクリート護岸、岩盤には居着きのベイトフィッシュはいない。逆に回遊性のベイ トを意識してゲームプランを立てるなら、これらのポイントはキーになりうる。
(4)マッチ・ザ・ベイトは岸の種類により使い分ける。ハゼ類はアシ原や岩盤にはいない。シャッド系はオールマイティに使える。
(5)コンクリート護岸の水温は上がりやすく、樹木のある岸、岩場は上がりにくい。水温 を考慮したポイント選択の参考となる。

 もちろんその河川湖沼の特性や、季節・天候で魚の行動は大いに変わってくるだろう。通いなれたフィールドで自分だけの秘密を持ち、それを頼りに釣りを組み立てるのももちろんあり。しかし初めてのフィールドで地図を頼りに推理を巡らせることは、より深い釣りの楽しさを教えてくれる。
俺はそう思うよ。
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