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ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

24.茨城県北浦の沿岸帯におけるチャネルキャットフィッシュの摂餌特性

( 遠藤(茨城大学)ら,水産増殖(Aquacult. Sci.)63(1),49-58(2015))

 今やバス以上の嫌われ者になったチャネルキャットフィッシュは、1970年代に持ち込まれ、江戸川で確認された1982年以降は徐々に利根川水系へと拡大していった。バス同様に日本在来種の生態系を乱し水産業に打撃を与えているばかりか、胸鰭・背鰭のとげで人が負傷したり、網等が破損したりする被害も出ている。
 その嫌われ者は湖で何を食べているのか、茨城大と東京大による共同調査が行われた。


 本研究では 沿岸部に生息するチャネルキャットフィッシュの摂餌特性を調査することを目的とする。調査地点は北浦東岸の爪木と大船津を選んだ。両地点ともヨシ帯とコンクリート垂直護岸帯で構成されており、それらの岸際から沖に向けて50mの範囲は水深1.2m以浅の砂泥底で構造物のない「解放水面」となっている。

Fig.1 サンプリング位置


 調査は2013年4月から10月に、19:30から21:00にスルメイカを餌として釣獲調査を実施し、追加として投げ網漁を実施した。その結果、釣りで268個体、投げ網で31個体の合計268個体(14.7~59.1cm)を採集した。本研究では夏季(7~9月)に全標本の9割が捕獲された。体長35cm以上の大型個体は釣りだけで採集された。
 各地点の各生息場所で釣獲されたチャネルキャットフィッシュの個体数と体長をTable 1 に示す。30分当たりの釣獲個体数の平均値±標準偏差は,爪木のヨシ帯では0.5±0.3個体,護岸帯では0.2±0.2個体,開放 水面では0.5±0.3個体であり,護岸帯よりもヨシ帯または開放水面の方が明らかに多かったが(Wilcoxon signed-ranks test,ヨシ帯と護岸帯, z=-3.00, P < 0.017; 開放水面と護岸帯,z=-2.48, P < 0.017),ヨシ帯と開放水面との間では有意な差は見られなかった(ヨシ帯と開放水面, z=-0.32, P=0.75)。

Fig.2 採集されたチャネルキャットフィッシュの体長分布


 回りくどい言い方だが早い話、ナマズは護岸帯ではなくヨシ帯か開放水面に多くいたと言うことだ。
 
 調査期間中に採集されたチャネルキャットフィッシュ268個体のうち,91個体(34.0%)が空胃であり,胃充満度指数の平均±標準偏差は0.46±1.09であった。本種の胃内容物中に出現した餌項目は,小型魚類(タモロコ Gnathopogon elongatus elongatus, ワカサギ Hypomesus nipponensis, クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius,ブルーギル Lepomis macrochirus macrochirus,モツゴ Pseudorasbora parva,タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus,ヌマチチブ Tridentiger brevispinis の7種で,とくにヌマチチブとモツゴが大半を占めた),大型魚類の断片(ハクレン Hypophthalmichthys molitrix やコイ Cyprinus carpio などの大型コイ科魚類の肉片や鱗,骨,卵巣など),底生・半底生甲殻類(ニッポンドロソコエビ Grandidierella japonica,テナガエビ Macrobrachium nipponense,イサザアミ Neomysis awatschensis,アメリカザリガニ Procambarus clarkii),水生昆虫(コガタシマトビケラ Cheumatopsyche brevilineata,オオユスリカ Chironomus plumosus,ツヤユスリカ属の一種 Cricotopus sp.,カマガタユスリカ属の一種 Cryptochironomus sp.,メスグロユスリカ Dicrotendipes pelochloris,ハイイロユスリカ Glyptotendipes tokunagai,オオミドリユスリカ Lipiniella moderata のユスリカ類6種のほか,ミズアブ類 Stratiomyidae や ガガンボ類 Tipulidae など) ,陸上昆虫(コウチュウ類 Coleoptera,カメムシ類 Hemiptera,ハチ類 Hymenoptera,バッタ類 Orthoptera),陸上植物片(主にヨシの根や茎) ,貝類,糸状藻類など様々であった (Table 2)。

Table.2 摂餌内容物分類

 チャネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中から出現した小型魚類の体長との関係を Fig. 4 に示す。チャネルキャットフィッシュによって捕食されていた小型魚類の体長の平均±標準偏差は,ブルーギルで 2.2±0.4 cm,ヌマチチブで2.7±0.5 cm,モツゴで4.0 ±1.1 cm,タモロコで6.0±0.5 cm,ワカサギで6.0±2.4 cm,クルメサヨリで10.4±1.2 cm であった。
 チャ ネルキャットフィッシュの体長と胃内容物中に出現した小型魚類の最大体長との間には有意な正の直線関係が認められ(単回帰分析, n=20, r²=0.499, P < 0.001),本種は成長するにつれてヌマチチブやモツ だけでなく,タモロコやワカサギ,クルメサヨリな のより大きな魚種も餌として利用することがわかった。

Fig.3 体長別の摂餌内容物の割合

 ちょっとくどかったかも知れないが、要はキャットの主なエサは魚、特にヌマチチブとモッゴだということ。そしてキャットにこそ「ビッグベイト ビッグフィッシュ」が成り立っているということだ。

 本種は12~3月には水深4~12 mの平場から深場(離岸距離約600~800 m)に主に出現するが, 4~9月には平場から深場だけでなく水深1 m 程度の 浅場(離岸距離約50 m)でもよく出現するようになることが確認されている(半澤・荒山 2007)。
 なお,本種は夜行性で昼間は物陰に隠れる習性があるが(Brown et al. 1970; Hubert 1999),本調査地の沿岸帯にはヨシ帯のごく浅い場所を除いて隠れ家となる構造物がなく,昼間の沿岸帯での地曳網調査では全く採集されないことが知られているため(碓井 ら 2014),夜になって沖側のかけ上がりや石積みの離 岸堤などの休息場からヨシ帯へと摂餌のために来遊している可能性が高い。

Fig.5 捕獲場所別の摂餌内容物の割合

 本研究では,霞ヶ浦での成熟サイズ(体長約39 cm)(半澤・ 野内 2006)を超えた体長40cm 以上の個体で空胃率が52.9%と著しく高いことが確認された。これには,繁殖に関わる個体の摂餌意欲の低下や(Bailey and Harrison 1948),オオクチバス Micropterus salmoides などの他魚種で指摘されているように成長期の若齢魚と比べて高齢魚ではあまり摂餌しなくなること(淀・ 木村 1998)などが関わっている可能性が示唆される。

 やっぱりそうなんだ。デカキャットもデカバスもあんまりエサを食べなくなるんだ。当たり前か。人間と違ってでかい魚はデブな訳ではなく、歳を取っている魚だからね。人間だって若いデブはたらふく食うけど、年寄りはたいして食べない。一緒だな。
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