プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

27. 釣りと駆除事業から考える琵琶湖の外来魚問題

  (山内(兵庫六甲農業協同組合)ら;水資源環境研究 Vol.26,1 2013 pp1~6)


 前回の琵琶湖における釣り有料化の議論に引き続き、再び琵琶湖における外来魚問題について考える。山内らは滋賀県の琵琶湖レ ジャー利用適正化条例施行から10年を経過した2012年に、外来魚駆除事業の実態を再確認すると共に、地域住民、バスアングラーへの聞き取り調査を実施し、琵琶湖における外来魚問題について考察した。

 滋賀県は、外来魚対策として琵琶湖レジャー条例により外来魚のリリースを禁止しており、その一環として、釣った外来魚をリリースしないようにするために、湖岸には外来魚の回収ボックス・回収いけすを設置している。また、滋賀県では漁協と共同で定置網による捕獲や、2012年度からは電気ショッカーによる駆除も導入されている(2012年7月8日産経ニュース記事より)。さらに、NPO団体や業界団体による、釣り大会形式の駆除活動も盛んに行われている。そのうちの一つである「外来魚(有効利用)釣り大会」は、滋賀県と日本釣振興会滋賀県支部が共同で主催する地域住民参加型の外来魚駆除イベントである。これは、琵琶湖レジャー条例に対して釣り人の反対意見が多かったものの、釣り人も琵琶湖の環境を保護するために施行されたレジャー条例に協力する義務と責任があるとし、釣り人側も条例に協力していることを公に認知してもらうために行っている。イベントは、琵琶湖において外来魚の中でも生息数が多いとされているブルーギルの駆除に特化した取り組みとなっている。図2に示されるように、ブルーギルは琵琶湖に生息する外来魚の大部分を占めており、ゲームフィッシュとして狙う釣り人がブラックバスのように多くないため、回収ボックス・いけすによる駆除も期待できないほか、在来種・外来種を問わず卵や仔稚魚を捕食する雑食性であるため問題視されている。しかしながら、ブルーギルは比較的容易に釣れる魚であることから、子供からお年寄りまで楽しみながら気軽に参加できるため、釣り大会形式の外来魚駆除活動として、ブルーギルを中心に駆除することは得策とされている。

 さあ、ここまでの議論で違和感を感じた処は?まずは「釣り人もレジャー条例に協力する義務と責任があるとし、釣り人側も条例に協力していることを公に認知してもらうために行っている。」のくだり。悪法だろうが良法だろうが、良識ある国民としては法や条例に従う義務があることは周知の通り。「悪法だろうが」が問題なんだけどね。しかし日本はイスラムや北朝鮮とは違うんだ。悪法は悪法だと正々堂々と議論すべきだ。これについては後段で論じよう。
 もう一つ意外なのが、外来魚駆除イベントの対象がブルーギルであったこと。著者も述べているように、実は在来種への影響はブラックバスよりもブルーギルの方が深刻なのかも知れないが、行政の意図するプロパガンダにはならないよね。それともバス釣り業界への忖度なのかな?
 論文に戻ろう。 


 また、2012年11月9日に実施した、琵琶湖南湖のA漁業協同組合への聞き取りによれば、滋賀県が同組合に対して、漁業被害に対する補助金として、駆除した外来魚1㎏あたりに300円を支給している。表1に示されるように、2011年の漁協の漁獲高に占める外来魚の割合は4割以上に達し、漁業者はこの補助金で生活が成り立っているという。漁業者は、以前のように琵琶湖の在来種のみで生活に必要な収入を得ることは難しく、この補助金がなければ生活していくことが困難な状況となっている。

表1

 う~ん、噂には聞いていたがこれほどとは・・・。漁業収入の約半分は外来魚駆除の助成金だったんだ。フナ、鰻以下は金額にして2%以下だぜ。衝撃的事実だな。これに対する漁業者の生の声が意外にも本論文には載っていない。

  また、ブラックバスを狙った釣り人の増加により、ルアーや釣り糸といったゴミが捨てられるほか、マナーを守らない釣り人が地元との軋轢を生み、社会問題にもなった(2012年9月9日における琵琶湖を戻す会4)への聞き取りより)。
 こうした文化への影響や社会問題に対して、地域住民自身が気付きにくくなっていることが滋賀県によって指摘さ れている。これには、滋賀県外から移住してきた住民が多く存在することや、社会やライフスタイルの変化に伴い、琵琶湖と人とのつながりが希薄になっていることのほか、水辺に近づくことが危険とされている最近の社会的風潮も原因とされている。
 しかし、外来魚の侵入による在来種への悪影響が数多く報告されている中、水域に外来魚が生息しているにも拘らず、在来種の繁殖が確認されている例がある。滋賀県の西の湖では、外来魚の生息密度が高いのにも拘らず、多様な在来種の繁殖が確認されており、繁殖に適した地形環境や、水辺の生態系が整っていることが条件とされている(藤田ほか2009)。また、山梨県の山中湖では、ブラックバスを「おおくちばす漁業」による漁業権魚種として認定し、放流しているもこれについてはのの、在来種の繁殖が確認されている。むしろ捕食されるはずのワカサギの個体数が増えすぎ、個体の委縮化が進んだため、毎年行なっているワカサギの放流の量を減らす方針である。在来種の繁殖との強い関係性をもつのは、良好な水質ではないかと指摘する漁業者の意見もある(2012年9月12日における山梨県河口湖漁業協同組合への聞き取りによる)。
 以上から、外来魚が生息している水域でも、環境が整えば在来種の繁殖が不可能ではないと考えられる。また、在来種の減少には水質悪化による影響も大きいものと考えることができる。そのため、従来からの外来魚駆除に加え、在来種の生息環境の保全や水質の改善も並行して行うことによって、在来種繁殖において更なる効果をあげることが期待できると思われる。

 この辺の議論は以前に紹介した「18.霞が浦北浦における過去20年間の水産有用資源減少要因 に関する考察」でも述べた通り。何を今さらの感があるが、広く承知してもらう事に異議はない。
 筆者は引き続き外来魚を釣りに来る釣り人の聞き取り調査を行った。

 琵琶湖レジャー条例が施行されてから約10年を迎えた今日において、釣り人の条例に対する非協力的傾向が想定される中、問題の当事者でもある釣り人の意識や、釣り人が外来魚駆除に協力しているのかを確認する必要があると考える。さらに、地域住民の水辺離れも指摘されているなかで、外来魚問題のより効果的な解決策を導くためには、外来魚対策に関する地域住民の意識も明らかにする必要があると考える。
そこで、実際に地域住民に対して、2012年6月17日に行われた外来魚有効利用釣り大会での一般の参加者16名 に対して聞き取りを行った(表2)。また、釣り人に対しては、2012年7月22日に滋賀県大津市、草津市の湖岸で主にバス釣りを行っている釣り人28名に対して、筆者を含む学生4名で聞き取りを行った(表3)。
 外来魚有効利用釣り大会は、滋賀県と日本釣振興会滋賀 県支部が主催するイベントである。当日の参加者のうち約 9割は滋賀県内在住者で、初めて駆除イベントに参加した人もいれば、他の団体が主催する駆除イベントに参加している人もいるなど、バラつきが見られた。また、参加者の 多くは子供や孫の通う小学校で配布されたチラシによってイベントを知った人が多く、聞き取り対象者に家族連れが多かったことの理由ではないかと考えられる。外来魚に対するイメージを尋ねたところ、ほとんどの回答者が「悪い」と答えた。その理由の多くが、在来の魚を捕食するというものであった。イベントの主催者については、ほとんどが知らないと回答した。イベントの感想については、全員が好意的な意見で、今後も是非参加したいと答えた。

 これは想定内の結果。ブルーギルを対象とする「外来魚有効利用釣り大会」と称したイベントへの参加者の意見としては、至極まっとうだろう。続いてバスマンの意見聴取を行った。

 この日行った聞き取りの対象者の28名のうち、17名が県外からの釣り人であり、主に京都府、大阪府、愛知県、三重県からブラックバスを釣りに訪れていた。琵琶湖で釣りをする頻度は、週1〜月1回など、バラつきがみられたが、県外から来ている釣り人は、月1回程度の頻度がもっとも多かった。条例によるリリース禁止については全員が認識し、必要性も理解していたが、キャッチ&リリースが主流とされているバス釣りにおいて、釣ったブラックバスを回収ボックスへ入れて殺すことへの抵抗から、リリースを行っている釣り人が半数以上いた。
 以上から、リリース禁止条例自体に対しては賛成で、協力しなければならないと考えている釣り人もいるが、実際にリリース禁止に協力している釣り人は多くないことが確認できた。その理由として、一般的にバス釣りにおいてキャッチ&リリースがルールとされているほか、釣った外来魚を殺すことへの抵抗が大きいことが考えられる。また、外来魚駆除のイベントについての認知はされているものの、実際に参加している人がいないことや、釣振興会の認知度が低いことも伺えた。

 ここ、どうなの?みんなはキャッチ&リリースがバス釣りのルールだからバスを殺さないの?バス以外の魚ならハゼでも小メジナでも陸におっぽり投げて殺すの?違うでしょ。生き物だからだよね。生きているものを何の理由もなく、即ち食べるでも食べさせるでも役に立てるでもなく無駄に殺すなんてことをしたくないからだよね。なんでそこが分からないのかな。
 結論を聞こう。


 現代の日本においては、外来魚問題に対する認識は高まり、小規模な河川や湖沼における外来魚駆除については、ある程度の成果はあがってきていると思われる。しかし、琵琶湖については、日本最大の面積を有するため、県が目指す外来魚の根絶は不可能である。だが、根絶は不可能であっても、繁殖を抑制する外来魚の駆除や条例によるリリース禁止は非常に重要であり、今後も琵琶湖の生態系を維持していく上では欠かすことができない取り組みである。

 これは本当にそうなのか?前段で環境改良こそが在来種を増やす有効な手段だと紹介していたのは、どこへ行った?そもそも釣り人の釣った魚程度の量で、抑制に有効な手段となり得るのか、検証が必要だろう。

 実際に外来魚を釣って楽しむのは釣り人自身である。その真偽が定かではないとされているものの、外来魚の生息域拡大は釣り人の不正放流が原因とされている。湖岸のゴミ問題やマナーを巡るトラブルといった問題を起こしてきたのも、一部とはいえ釣り人であることは間違いない。ブラックバスやブルーギルといった外来魚が水域にいることによって利益を受けるのは、釣り具メーカーやレンタルボート店、フィッシングガイドといった釣り関連業界である。業界団体として、こうしたイメージを改善するために外来魚有効利用釣り大会などの駆除イベントを実施しているものの、イベントの参加者は主催者が誰かといったことは気にしていなかった。そこで、主催者が誰であるか参加者に一目でわかるように、PRの方法を工夫する必要があると考える。 また、少数の心ない釣り人の行動は、ブラックバス釣りを行う釣り人全体のイメージダウンにつながるため、業界団体としての取り組みに加え、琵琶湖で釣りを行う全ての人の意識を変えていくことが重要であると考えられる。
 なお、釣り人の外来魚問題に対する意識が高いことからも、生きたまま回収するいけすを湖岸に増設すれば、生き物を殺すことへの抵抗が軽減されるため、リリース禁止にむけてさらなる協力を促すことが可能ではないかと考えられる。また、影響力の強いバスプロらによって、琵琶湖の環境や生態系の保全を尊重するようなバスフィッシングのルールが作られ、それが実践されれば、釣り人側の社会貢献として広く世間に認知され、一般の釣り人の意識をも変えることができるのではないかと思われる。
 一方で、子供や孫の参加が動機となって外来魚駆除イベントに参加していた地域住民は、外来魚問題に対する認識度が高いことが聞き取り調査から伺うことができた。子供からお年寄りまで気軽に参加でき、楽しみながら行える地域住民参加型の釣り大会形式の外来魚駆除イベントは、地域住民が本来身近である水辺に目を向ける機会となり、琵琶湖の生態系や環境に対する問題意識も芽生えることから、外来魚の駆除を促進する上で有効といえる。このイベントは、簡単に釣れ、かつ生息数も多いとされるブルーギルの駆除に特化した取り組みであり、琵琶湖の生態系を維持していく上でも有効であると考える。

 釣り人自身の引き起こすゴミ投棄等の問題については、全面的に賛同せざるを得ない。これは前回の「琵琶湖のバス釣り有料化?」で述べた通り、厳罰に処してでもやめさせるべきだ。
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