FC2ブログ
プロフィール

ころた

Author:ころた
芦ノ湖と相模湖にしかバスがいない頃にルアーを始めた。師匠は常見忠、開高健(心の師匠ね)。吉田幸二よりは若い、ちょっとだけ。
30数年間の技術者としてのサラリーマン生活を終え、いまや悠々自適(と言うほど余裕はない)。技術者の悪い癖で理屈ばかりにやたらうるさい。当然、釣りも理屈詰めとなる。よって頼りにしたのは科学文献。文献検索を重ね魚類や湖、その植生などを紐解くと、出るは出るは面白情報の山。その一部をおすそ分けします。

HP復活から

34.琵琶湖における湖陸風を味方につける

(枝川,中島,京都大学;地理学評論 54-10 1981)

海岸沿いでは日射による陸地の温度上昇により、海風・山風が発生する。日中に陸の温度が上昇することで海から山に向かって風が吹き、夜間には逆に海水の温度の方が高くなることにより山から海に向かって風が吹く。
大きな湖でもこれが発生し、湖陸風と呼ばれる。琵琶湖や霞ヶ浦をメインに釣りをしている諸君にはお馴染みであろう。ではその湖陸風はどのようなタイミングでどの方向から吹くのだろうか。
京都大学の枝川らは琵琶湖周辺の風の季節変化について調査し、湖陸風の全容を明らかにした。

調査地点は琵琶湖周辺の気象庁地域気象観測所8か所。調査期間は1979年1月~12月の1年間だ。以下では象徴的な東岸の彦根と、西岸の今津を取り上げよう。
琵琶湖の風は春夏の季節風、周囲の山からの山谷風といった「一般風」が支配的だが、それらが弱い時には日中は湖風、夜間には陸風の吹くことが多い。その頻度は4~9月の温暖期には60日、10~3月の寒冷期には45日をカウントした。発生率にすると温暖期では33%、寒冷期では25%となる。釣りをする上では意識しなければならないレベルの高い発生率だと言える。

ではこの湖陸風はどのように吹くのか。
図4に各測定地点での温暖期の風向と風速を、図6に寒冷期を示した。

図4

     図4 温暖期の湖陸風

図6

     図6 寒冷期の湖陸風

少し分かりづらいので図4-1で説明しよう。

これはホドグラフと言う風向、風速を表すベクトルグラフであり、図4-1には温暖期の彦根のホドグラフを抜き出した。グラフ上の折れ線は1日の時刻ごとの風向、風速を表し、グラフの原点から各時刻を示す折れ線上の点を結んだベクトルが風を示す。x-y軸の1目盛りが1m/secを表すので、6時であれば南南東の風 0.7m/sec、9時であれば西の風 0.9m/secと読む事ができる。

図4-1
    図4-1 彦根におけるホドグラフ


すると図4、図6から次のような事が分かってくる。
1) 日中は湖から陸に向かって湖風が吹く。すなわち東岸では西風、西岸では東風が吹く。
2) 湖風は最大で2m/sec程度。温暖期の方が湖風は強くなる。
3) 湖風は12~15時に最大となり、24時間をかけて360°風向が変化していく。東岸では時計回りに、西岸では反時計回りに風向の変化が進む。

1)ではざっくり言ったが、正しくは「湖岸の法線方向」に吹く。東北~南西に湖岸線が延びる彦根ならば昼間の湖風は北西から、南北に湖岸線が延びる虎姫ならば昼間は西風が吹くことになる。
西岸の今津や北小松でも考え方は同様だ。一方、南湖の端に位置して直線状の広い湖岸を持たない大津では、顕著な湖陸風は見られないようだ。


さて、釣りのタクティクスに落とし込んでいこう。
バスの動き、ベイトの動きと風は大いに関係する。釣りのしやすさ、リグの選択にも大いに関与する。そして季節によっても風の影響度は異なってくる。季節風が強い時には湖陸風は考慮する必要はない。風の弱い日にこそ湖陸風を考えよう

例えば3月の無風時、まだ冷たい湖水に何か変化を与えるものが欲しい。水流でもいいだろうし、日射の変化でもいいかもしれない。そして何より、少し暖かくなってきた風が食いを誘う事が期待できる。
西岸の今津で12時に釣りをするのであれば、南東からの湖陸風が助けになる。ここは風による水温上昇が期待できる南東に開けたワンドやシャローだ。特に朝9時の無風状態から12時に1.5m/secの風が吹き始める時間帯。変化を見逃してはならない。
逆に朝6時には山側からの西北西の風が1.2m/secほど吹いているだろう。早朝の気温と水温の兼ね合いにより、風裏がいいのか風面がいいのかを考えよう。ちなみに琵琶湖の水温の年間変化については「3.琵琶湖における水温、水流の年間変化」で示した。参考にしてほしい。3月の琵琶湖の湖面水温は約5℃、4月初めで10℃だ。そして3月の彦根の最低気温は3.3℃、最高気温は11.0℃だ。早朝は風を避ける方が賢明だし、日中は風面が正解だろう。

琵琶湖で湖陸風が支配的となるような、一般風が弱い日は年間で約100日。琵琶湖以外でも、同様の湖陸風は霞ヶ浦や猪苗代湖などの大きな湖では発生しうる。天気予報とにらめっこして釣り当日はどんな風が吹くかを予想した上で現地に向かうのと、何の準備もなしに向かうのとでは雲泥の差だ。そして当日の現地の風の状況、気温水温を見てプランを微調整していく。

調査→仮説→実証→修正→・・・。PDCAサイクルかって?
色気がないなぁ。せめてプラグマティズムと呼んでほしいね。
関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

バスリンク
バス記事満載、釣りブログはこちら
にほんブログ村 釣りブログ バスフィッシングへ
にほんブログ村 釣りの世界
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム
検索フォーム